大相撲秋場所千秋楽
今年(2024年)初場所には1横綱4大関だったのが、霧島関と貴景勝関が陥落し、1横綱2大関となりました。横綱の照ノ富士関は満身創痍でいつ引退しても不思議ではなさそうですし、大関の豊昇龍関と琴櫻関は取りこぼしが多く、安定感に欠けるところもあるので、長期の横綱不在も懸念されます。そうした中で、大関から陥落した貴景勝関は、10勝以上での大関復帰がかなり難しそうなのは当然として、そもそも出場できるのか、このまま引退するのではないか、と懸念されましたが、貴景勝関は初日から出場してきました。しかし、明らかに状態が悪く、初日と2日目に負け、3日目から休場となりました。これで、今場所後の貴景勝関の大関復帰はなくなり、あまりにも状態が悪いことから、私も含めてこのまま引退する可能性も考えていた相撲愛好者は多かったでしょうが、やはり貴景勝関は13日目に引退を発表しました。貴景勝関は通算で大関在位30場所となり、優勝回数4回は立派で、まだ28歳と若いのに引退は残念ですが、湊川親方としていずれは部屋を持つでしょうし、後進の指導には期待しています。
一昨年の夏場所と名古屋場所を最後に2場所連続皆勤していない照ノ富士関の動向も気になりましたが、場所前に調整不足が伝えられ、やはり照ノ富士関は全休となりました。照ノ富士関は先場所優勝しているとはいえ、さすがに休場が多すぎるようにも思います。とはいえ、稀勢の里関の悪例がある以上、まだ引退勧告は早い、と私は考えています。照ノ富士関は、まだ年寄株を入手していないとの憶測が正しいのだとしたら、すぐには引退できないでしょうし、もう1回優勝できるだけの力はまだあるように思います。根本的な問題としては、以前より八百長がずっと減っているのだとしたら、力士の体格の大型化もあって、強い相手と対戦する上位陣ほど消耗が激しいことも否定できず、真剣勝負を前提とした場合、1場所15日間で年間6場所はあまりにも過酷な条件と言うべきで、せめて1場所15日間を隔日での1ヶ月ほどの開催として、年間3場所程度とし、巡業も今より減らさないと、大関昇進や、大関昇進後に相応しい成績を残すことはかなり難しく、横綱の場合はもちろん大関よりずっと難しいわけです。まあ、これは大相撲関係者の待遇を考えたら非現実的な案ですが。
優勝争いは大の里関が引っ張り、早くも10日目の時点で、全勝は大の里関だけとなり、1敗もいない状況となりました。報道で伝わってきた相撲協会幹部の発言からは、大の里関にとって今場所は、大関昇進がかかっている、と明確に位置づけられていたわけではないものの、成績と内容次第では大関昇進もある、と推測されたので、13勝以上なら文句なし、12勝でも優勝ならば大関昇進と予想していました。大の里関は12日目に若隆景関に負けて今場所の初黒星となり、若隆景関の状態が戻ってきたならば、大の里関に勝っても不思議ではありませんが、まだ本調子ではないように見えたので、やや意外な結果でした。大の里関は攻め急いだ感があり、11日目もそうでしたが、立ち会いの圧力と力強さは大関級と言えるものの、まだ詰めの甘さがあります。大の里関は終盤に入って大関昇進を意識してきたようにも思え、苦手とする豊昇龍関戦も残している中で終盤に崩れることも懸念していました。じっさい、13日目の琴櫻関戦は取り直しとなって完勝したものの、取り直しの一番は大の里関の手が土俵についていたように見え、負けていたのではないか、と思います。ここでも、詰めの甘さを露呈した感があります。琴櫻関にとっては納得のいかない判断でしょうが、3日目の翔猿関戦は明らかに負けていたように見えたのに、軍配は琴櫻関にあがり、物言いもつかず勝っており、今場所はこれで差し引きなしといったところでしょうか。
大の里関は14日目にまだ不戦勝以外で勝っていない豊昇龍関と対戦し、押し出しで勝ち、2回目の優勝を決めました。過去3回の対戦ではいずれも下手投げで負けているだけに、組まずに突いていくことは最初から決めていたのでしょう。大の里関は千秋楽に阿炎関と対戦し、過去2回の対戦からは比較的相性はよさそうでしたし、阿炎関は今場所不調なので、勝てる可能性は高いと予想していましたが、引き落とされて負けてしまい、13勝2敗で場所を終えました。大の里関はまだ詰めの甘さがあり、それが横綱昇進の課題となりそうですが、照ノ富士関がもう万全の状態で出場することは難しそうですから、大の里関は現時点では最強と言えそうで、大関を2場所で通過して横綱に昇進する可能性もあるとは思います。大関に昇進すると、相撲に迷いが生じて低迷する事例は昔から珍しくありませんが、大の里関は対応力と学習力が高そうなので、横綱に昇進する可能性は高いように思います。
大関二人はともに不振で、とくに豊昇龍関は6日目の時点で2勝4敗と絶不調でしたが、場所前の状態があまりよくなさそうだと伝えられていたことと、序盤の取りこぼしが多いことを考えると、さほど意外ではなかったようにも思います。豊昇龍関はさすがにその後巻き返しましたが、勝ち越しを決めたのは千秋楽でした。豊昇龍関は、これまで先場所の不戦敗以外は負けたことのない大の里関にも負け、存在感を示せませんでした。来場所は、大の里関が大関に昇進するでしょうから、現在の大関では最も在位期間が長いだけにも奮起を期待したいところです。琴櫻関も不振で、勝ち越しを決めたのは14日目でした。琴櫻関は8勝7敗で場所を終え、大関昇進後4場所連続で勝ち越しとなり、健闘はしているものの、横綱に昇進するだけの強さは感じられず、少なからぬ相撲愛好者が同様に考えているでしょうが、大の里関が先に横綱に昇進しても不思議ではありません。
大関から陥落し、先場所での大関復帰が叶わなかった霧島関はなかなか好調で、10日目まで1敗で全勝の大の里関と対戦しましたが、立ち会いで変化したうえに負けてしまい、まだ自分の相撲を取り戻せていないのかな、と思ったものの、その後に立て直し、12勝3敗で場所を終えました。これで、大関復帰の起点を作ったことになり、2場所後に大関に復帰する可能性は低くないように思います。母方祖父が大横綱の大鵬関、父が関脇まで昇進し、幕内優勝経験もある貴闘力関ということで、以前から期待されていたものの、なかなか三役までは届かなかった王鵬関はじょじょに地力をつけてきたようで、西前頭2枚目で12日目に勝ち越しを決めました。王鵬関は9勝6敗で場所を終え、まだ大関昇進が視野に入ってきたとは言えませんが、今後の活躍に期待できそうで、まずは三役での勝ち越しが目標となるでしょう。先場所小結で10勝しながら、番付運が悪くて小結に留まった平戸海関は7勝8敗と負け越しました。しかし、すぐに三役に復帰でき、関脇への昇進も近いでしょう。第38代木村庄之助は今場所で定年となります。正直なところ、立行司としての力量には疑問があり、今場所も3日目の琴櫻関と翔猿関の一番の裁きはかなり問題だったように思います。とはいえ、先輩の立行司の不祥事もあった中で、定年まで務めてくれたことには感謝しています。
一昨年の夏場所と名古屋場所を最後に2場所連続皆勤していない照ノ富士関の動向も気になりましたが、場所前に調整不足が伝えられ、やはり照ノ富士関は全休となりました。照ノ富士関は先場所優勝しているとはいえ、さすがに休場が多すぎるようにも思います。とはいえ、稀勢の里関の悪例がある以上、まだ引退勧告は早い、と私は考えています。照ノ富士関は、まだ年寄株を入手していないとの憶測が正しいのだとしたら、すぐには引退できないでしょうし、もう1回優勝できるだけの力はまだあるように思います。根本的な問題としては、以前より八百長がずっと減っているのだとしたら、力士の体格の大型化もあって、強い相手と対戦する上位陣ほど消耗が激しいことも否定できず、真剣勝負を前提とした場合、1場所15日間で年間6場所はあまりにも過酷な条件と言うべきで、せめて1場所15日間を隔日での1ヶ月ほどの開催として、年間3場所程度とし、巡業も今より減らさないと、大関昇進や、大関昇進後に相応しい成績を残すことはかなり難しく、横綱の場合はもちろん大関よりずっと難しいわけです。まあ、これは大相撲関係者の待遇を考えたら非現実的な案ですが。
優勝争いは大の里関が引っ張り、早くも10日目の時点で、全勝は大の里関だけとなり、1敗もいない状況となりました。報道で伝わってきた相撲協会幹部の発言からは、大の里関にとって今場所は、大関昇進がかかっている、と明確に位置づけられていたわけではないものの、成績と内容次第では大関昇進もある、と推測されたので、13勝以上なら文句なし、12勝でも優勝ならば大関昇進と予想していました。大の里関は12日目に若隆景関に負けて今場所の初黒星となり、若隆景関の状態が戻ってきたならば、大の里関に勝っても不思議ではありませんが、まだ本調子ではないように見えたので、やや意外な結果でした。大の里関は攻め急いだ感があり、11日目もそうでしたが、立ち会いの圧力と力強さは大関級と言えるものの、まだ詰めの甘さがあります。大の里関は終盤に入って大関昇進を意識してきたようにも思え、苦手とする豊昇龍関戦も残している中で終盤に崩れることも懸念していました。じっさい、13日目の琴櫻関戦は取り直しとなって完勝したものの、取り直しの一番は大の里関の手が土俵についていたように見え、負けていたのではないか、と思います。ここでも、詰めの甘さを露呈した感があります。琴櫻関にとっては納得のいかない判断でしょうが、3日目の翔猿関戦は明らかに負けていたように見えたのに、軍配は琴櫻関にあがり、物言いもつかず勝っており、今場所はこれで差し引きなしといったところでしょうか。
大の里関は14日目にまだ不戦勝以外で勝っていない豊昇龍関と対戦し、押し出しで勝ち、2回目の優勝を決めました。過去3回の対戦ではいずれも下手投げで負けているだけに、組まずに突いていくことは最初から決めていたのでしょう。大の里関は千秋楽に阿炎関と対戦し、過去2回の対戦からは比較的相性はよさそうでしたし、阿炎関は今場所不調なので、勝てる可能性は高いと予想していましたが、引き落とされて負けてしまい、13勝2敗で場所を終えました。大の里関はまだ詰めの甘さがあり、それが横綱昇進の課題となりそうですが、照ノ富士関がもう万全の状態で出場することは難しそうですから、大の里関は現時点では最強と言えそうで、大関を2場所で通過して横綱に昇進する可能性もあるとは思います。大関に昇進すると、相撲に迷いが生じて低迷する事例は昔から珍しくありませんが、大の里関は対応力と学習力が高そうなので、横綱に昇進する可能性は高いように思います。
大関二人はともに不振で、とくに豊昇龍関は6日目の時点で2勝4敗と絶不調でしたが、場所前の状態があまりよくなさそうだと伝えられていたことと、序盤の取りこぼしが多いことを考えると、さほど意外ではなかったようにも思います。豊昇龍関はさすがにその後巻き返しましたが、勝ち越しを決めたのは千秋楽でした。豊昇龍関は、これまで先場所の不戦敗以外は負けたことのない大の里関にも負け、存在感を示せませんでした。来場所は、大の里関が大関に昇進するでしょうから、現在の大関では最も在位期間が長いだけにも奮起を期待したいところです。琴櫻関も不振で、勝ち越しを決めたのは14日目でした。琴櫻関は8勝7敗で場所を終え、大関昇進後4場所連続で勝ち越しとなり、健闘はしているものの、横綱に昇進するだけの強さは感じられず、少なからぬ相撲愛好者が同様に考えているでしょうが、大の里関が先に横綱に昇進しても不思議ではありません。
大関から陥落し、先場所での大関復帰が叶わなかった霧島関はなかなか好調で、10日目まで1敗で全勝の大の里関と対戦しましたが、立ち会いで変化したうえに負けてしまい、まだ自分の相撲を取り戻せていないのかな、と思ったものの、その後に立て直し、12勝3敗で場所を終えました。これで、大関復帰の起点を作ったことになり、2場所後に大関に復帰する可能性は低くないように思います。母方祖父が大横綱の大鵬関、父が関脇まで昇進し、幕内優勝経験もある貴闘力関ということで、以前から期待されていたものの、なかなか三役までは届かなかった王鵬関はじょじょに地力をつけてきたようで、西前頭2枚目で12日目に勝ち越しを決めました。王鵬関は9勝6敗で場所を終え、まだ大関昇進が視野に入ってきたとは言えませんが、今後の活躍に期待できそうで、まずは三役での勝ち越しが目標となるでしょう。先場所小結で10勝しながら、番付運が悪くて小結に留まった平戸海関は7勝8敗と負け越しました。しかし、すぐに三役に復帰でき、関脇への昇進も近いでしょう。第38代木村庄之助は今場所で定年となります。正直なところ、立行司としての力量には疑問があり、今場所も3日目の琴櫻関と翔猿関の一番の裁きはかなり問題だったように思います。とはいえ、先輩の立行司の不祥事もあった中で、定年まで務めてくれたことには感謝しています。
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