『卑弥呼』第135話「戦う女王」
『ビッグコミックオリジナル』2024年8月20日号掲載分の感想です。前回は、公孫淵と会ってどのような話をするつもりなのか、とオオヒコに問われたヤノハが、公孫淵は倭という名は知っていても、どのような国かはまるで知らないので、倭国についての嘘をとうとうと吹き込むつもりだ、と答えたところで終了しました。今回は、暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)で、ヒルメの指示によりクエビトの部隊がニニギ(ヤエト)のいる邑を襲撃する場面から始まります。ニニギはホデリとタマヨリに育てられている、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の姉弟間の息子です。クエビトはヒルメから、ニニギ以外のホデリとタマヨリのいる邑人を殺すよう、命じられていました。クエビトは配下から、ホデリとタマヨリの一家以外の邑人全員を殺害した、と報告を受けて、銅鐸を鳴らして、賊が襲来したかのように装い始めます。ホデリとタマヨリはニニギを起こして山へ逃げようと住居から出て、ニニギはイヌのヤノハを案じますが、ヤノハは利口だ、とタマヨリはニニギを諭します。ホデリとタマヨリとニニギは何とか山を登りますが、邑を見下ろすと火が放たれており、助けに行こうとするホデリをタマヨリは静止しますが、火が放たれたのは、賊が引き上げた証だ、と言ってホデリは邑に向かい、タマヨリもニニギを残してホデリに同行します。
日見子(ヒミコ)であるヤノハの一行は、公孫淵の居城である遼東郡の襄平の巨大な城壁が見えるところまで来ていました。ヤノハの一行は、その城壁が木ではなく土で、巨大であることに驚きます。城壁の前の衛兵から通行手形の有無と何者なのか問われたヤノハ一行は、ヤノハと旧知の漢人(という分類を作中の舞台である紀元後3世紀に用いてよいのか、疑問は残りますが)である何(ハウ)が前に出て、通行手形を見せて、倭国の使節と名乗ります。ヤノハ一行は入城を許可され、まず大鴻臚(ダイコウロ)に行くよう指示されます。大鴻臚についてヤノハに尋ねられた何は、中土(中華地域のことでしょう)に帰順した蛮夷(周辺民族)を管轄する役職だろう、と答えます。ヌカデは襄平の様子を見て、中土が倭国より千年は進んだ国との話は本当だった、と率直に驚き、戦えばひとたまりもない、とヤノハは呟きます。身分をどう伝えるのか、ヌカデに問われたヤノハは、山社(ヤマト)国の使者の代表と偽るつもりだ、と答えます。ヤノハの一行は大鴻臚の詮議の館に入り、ヤノハは山社の女王の使者と偽り、何が通訳を務めます。大鴻臚の役人が、通行手形と辰王の文は確認したので、これから詮議する、と伝えると、倭国の使者をなんと心得る、とヤノハは怒気を見せながら訴え、困惑する何にそのまま役人に伝えるよう、命じます。ヤノハは驚く役人に、倭国の女王は戦いを好むので、恥を搔かされるなら遼東半島まで押し寄せるぞ、と恫喝し、ヌカデは嘆息します。
夜萬加では、一人残ったニニギにイヌのヤノハが近づき、ニニギはともに両親を探しにいきます。ニニギとヤノハが邑に到着すると、邑は全焼しており、ホデリとタマヨリは殺害されており、ニニギは号泣します。ニニギが両親の墓を作ろうしたところに、「山のお婆」と呼ばれているヒルメが現れ、ニニギの無事を喜ぶとともに、ニニギの両親が矢を射られて殺害されているのを見て、わざとらしく驚いて見せます。ヒルメがニニギに、これは山社軍の矢で、山社には戦を好む女王の日見子(ヤノハ)がおり、両親の仇は山社の日見子だ、と伝えるところで今回は終了です。
今回は、ヤノハの一行の動向と、ニニギの運命が描かれました。ヤノハの一行はついに公孫淵の居城である遼東郡の襄平に到達しましたが、ヤノハの嘘を含めた強気な交渉に役人がどう対応するのか、注目されます。今回はまだ登場しなかった公孫淵がどのような人物として描かれるのかも、気になります。好人物だったホデリとタマヨリが殺害されたのは残念でしたが、ニニギは、さすがに両親殺害の黒幕がヒルメとは気づかないでしょうから、このままヤノハへの恨みを募らせていくのかもしれません。ただ、ニニギの様子は実父であるチカラオが度々確認していたようなので、このままヒルメの思惑通り進まない可能性も考えられます。ヤノハニニギを妊娠中に山社のモモソの霊から、その子のせいで大勢の民が死ぬが、その子を殺せばもっと大勢の人が死に、出産前にその子を殺さねば、その子にお前は殺される運命だ、と告げられていました(第73話)。当時から、ヤノハの子供は作中で重要な役割を担うことが予測されましたが、今回で、モモソの予言通り、ヤノハは息子のニニギから殺される展開がはっきりと見えてきました。これまでモモソの予言は漠然としているものの、ほぼ的中してきたので、ヤノハはニニギから殺害されることになるのかもしれませんが、それは本作の最終回もしくは終盤で描かれるのでしょう。この先は、暈や日下(ヒノモト)との駆け引きと戦いに、公孫淵との交渉、さらにはその先に描かれるだろう魏への遣使などとともに、ニニギの動向もたいへん注目され、ますます楽しみになってきました。
日見子(ヒミコ)であるヤノハの一行は、公孫淵の居城である遼東郡の襄平の巨大な城壁が見えるところまで来ていました。ヤノハの一行は、その城壁が木ではなく土で、巨大であることに驚きます。城壁の前の衛兵から通行手形の有無と何者なのか問われたヤノハ一行は、ヤノハと旧知の漢人(という分類を作中の舞台である紀元後3世紀に用いてよいのか、疑問は残りますが)である何(ハウ)が前に出て、通行手形を見せて、倭国の使節と名乗ります。ヤノハ一行は入城を許可され、まず大鴻臚(ダイコウロ)に行くよう指示されます。大鴻臚についてヤノハに尋ねられた何は、中土(中華地域のことでしょう)に帰順した蛮夷(周辺民族)を管轄する役職だろう、と答えます。ヌカデは襄平の様子を見て、中土が倭国より千年は進んだ国との話は本当だった、と率直に驚き、戦えばひとたまりもない、とヤノハは呟きます。身分をどう伝えるのか、ヌカデに問われたヤノハは、山社(ヤマト)国の使者の代表と偽るつもりだ、と答えます。ヤノハの一行は大鴻臚の詮議の館に入り、ヤノハは山社の女王の使者と偽り、何が通訳を務めます。大鴻臚の役人が、通行手形と辰王の文は確認したので、これから詮議する、と伝えると、倭国の使者をなんと心得る、とヤノハは怒気を見せながら訴え、困惑する何にそのまま役人に伝えるよう、命じます。ヤノハは驚く役人に、倭国の女王は戦いを好むので、恥を搔かされるなら遼東半島まで押し寄せるぞ、と恫喝し、ヌカデは嘆息します。
夜萬加では、一人残ったニニギにイヌのヤノハが近づき、ニニギはともに両親を探しにいきます。ニニギとヤノハが邑に到着すると、邑は全焼しており、ホデリとタマヨリは殺害されており、ニニギは号泣します。ニニギが両親の墓を作ろうしたところに、「山のお婆」と呼ばれているヒルメが現れ、ニニギの無事を喜ぶとともに、ニニギの両親が矢を射られて殺害されているのを見て、わざとらしく驚いて見せます。ヒルメがニニギに、これは山社軍の矢で、山社には戦を好む女王の日見子(ヤノハ)がおり、両親の仇は山社の日見子だ、と伝えるところで今回は終了です。
今回は、ヤノハの一行の動向と、ニニギの運命が描かれました。ヤノハの一行はついに公孫淵の居城である遼東郡の襄平に到達しましたが、ヤノハの嘘を含めた強気な交渉に役人がどう対応するのか、注目されます。今回はまだ登場しなかった公孫淵がどのような人物として描かれるのかも、気になります。好人物だったホデリとタマヨリが殺害されたのは残念でしたが、ニニギは、さすがに両親殺害の黒幕がヒルメとは気づかないでしょうから、このままヤノハへの恨みを募らせていくのかもしれません。ただ、ニニギの様子は実父であるチカラオが度々確認していたようなので、このままヒルメの思惑通り進まない可能性も考えられます。ヤノハニニギを妊娠中に山社のモモソの霊から、その子のせいで大勢の民が死ぬが、その子を殺せばもっと大勢の人が死に、出産前にその子を殺さねば、その子にお前は殺される運命だ、と告げられていました(第73話)。当時から、ヤノハの子供は作中で重要な役割を担うことが予測されましたが、今回で、モモソの予言通り、ヤノハは息子のニニギから殺される展開がはっきりと見えてきました。これまでモモソの予言は漠然としているものの、ほぼ的中してきたので、ヤノハはニニギから殺害されることになるのかもしれませんが、それは本作の最終回もしくは終盤で描かれるのでしょう。この先は、暈や日下(ヒノモト)との駆け引きと戦いに、公孫淵との交渉、さらにはその先に描かれるだろう魏への遣使などとともに、ニニギの動向もたいへん注目され、ますます楽しみになってきました。
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