大河ドラマ『光る君へ』第31回「月の下で」

 先週は休止だったので、久々の視聴との感もあります。今回は、紫式部(まひろ)を訪ねてきた藤原道長(三郎)が、紫式部に、一条帝の后となったものの、一条帝から相手にされていない娘の彰子のため、物語を書くよう要請する場面から始まります。紫式部は一旦断りますが、艶めかしさがないから『枕草子』をあまり高く評価していない、と和泉式部から聞き、和泉式部に『枕草子』を借りて読み、これが創作への意欲と手がかりになったようで、物語執筆のための紙を道長に要請します。紫式部が書いた物語を道長は面白いと評価しますが、一条帝に読ませたい、との道長の本心を聞いた紫式部は、道長から一条帝の話を聞き、新たに物語を書き始め、これが『源氏物語』となるようです。

 一条帝は清少納言(ききょう)の書いた『枕草子』を読み、皇后定子への想いを募らせ、彰子に関心を示さないので、その状況を何とかしたい、というわけですが、それによって、これまで良好な関係だった紫式部と清少納言(ききょう)の関係も変わってくるのではないか、と注目されます。すでに、定子の影の部分を知りたい紫式部と、そんな影を見せるつもりはない、と頑なな清少納言との間には溝ができたようにも思いますが、紫式部の『源氏物語』執筆開始によって、この溝がさらに広がり、ついには紫式部が日記で清少納言を腐すことになるのかもしれません。とはいえ、本作では紫式部のこの清少納言評はひねったものになるかもしれず、この点も注目しています。

 源明子は夫の道長に、息子の官職で源倫子の息子(頼通)に負けない待遇を要請し、道長は、倫子に財政面で大きな世話になっていることを挙げ、官職で同じ待遇は無理と示唆します。これは、史実で倫子の子供たちが明子の子供たちよりずっと優遇されたことを上手く会話に織り込んだ形で、明子の息子たちのうち、能信が倫子の息子たち(頼通と教通)と対立したことも描かれるのではないか、と期待しています。藤原実資が好色なところもさりげなく描かれるなど、こうしたところは本作の歴史ドラマとしての魅力になっているように思います。

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