エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物
エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物を報告した研究(Wang et al., 2024)が公表されました。海綿動物は最も祖先的な後生動物門で、新原生代の海洋の酸化還元構造の調節において重要な役割を果たしたかもしれません。分子時計からは、海綿動物が新原生代に分岐した、と予測されていますが、カンブリア紀以前の海綿動物化石は明確に実証されておらず、これは先カンブリア時代の海綿動物が骨片を持たず、生体鉱物化作用(バイオミネラリゼーション)が見られなかったためかもしれません。
本論文は、中国南部の灯影累層(Dengying Formation、約5億5100万~5億3900万年前)から出土した、エディアカラ(エディアカラン)紀後期の新属新種ヘリコロセルス・カントリ(Helicolocellus cantori)の化石を報告します。この化石は、茎(柄)と杯形の体部を有する高さ0.4m以上の大型底生生物として復元され、体壁は、カントールダスト(カントール集合)のフラクタルパターンに似た、長方形の領域の連なりを特徴とする3階層以上の入れ子状グリッドで構成されています。このグリッドから生じた格子は、直交して並んだ十字形の要素をなす有機物骨格と解釈され、これは一部の六放海綿類に似た構造だが、六放海綿類の体は生体鉱物化作用で生じた骨片で構成されています。
ベイズ法による系統解析の結果、ヘリコロセルス・カントリは六放海綿綱に近縁のクラウン群海綿動物として位置づけられました。ヘリコロセルス・カントリは、海綿動物が、有機物骨格を有するがバ生体鉱物化作用は行なわない動物として、先カンブリア時代に分岐し、存在していたことを裏づけています。海綿動物の各綱でシリカ生体鉱物化作用が別々に進化した可能性を踏まえると、生体鉱物化作用で生じた骨片を先カンブリア時代の海綿動物化石の特定に必要な基準とすることの妥当性は疑問です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
古生物学:エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物
古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
今回、中国のエディアカラ紀の岩石(年代は約5億5100万~5億3900万年前)にグリッド状の網目様の痕跡が見いだされ、これが、有機物骨格を持つ、またはわずかに鉱物化(ミネラリゼーション)が進んだ骨格を有するステム群六放海綿類が残したものと解釈された。
参考文献:
Wang X. et al.(2024): A late-Ediacaran crown-group sponge animal. Nature, 630, 8018, 905–911.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07520-y
本論文は、中国南部の灯影累層(Dengying Formation、約5億5100万~5億3900万年前)から出土した、エディアカラ(エディアカラン)紀後期の新属新種ヘリコロセルス・カントリ(Helicolocellus cantori)の化石を報告します。この化石は、茎(柄)と杯形の体部を有する高さ0.4m以上の大型底生生物として復元され、体壁は、カントールダスト(カントール集合)のフラクタルパターンに似た、長方形の領域の連なりを特徴とする3階層以上の入れ子状グリッドで構成されています。このグリッドから生じた格子は、直交して並んだ十字形の要素をなす有機物骨格と解釈され、これは一部の六放海綿類に似た構造だが、六放海綿類の体は生体鉱物化作用で生じた骨片で構成されています。
ベイズ法による系統解析の結果、ヘリコロセルス・カントリは六放海綿綱に近縁のクラウン群海綿動物として位置づけられました。ヘリコロセルス・カントリは、海綿動物が、有機物骨格を有するがバ生体鉱物化作用は行なわない動物として、先カンブリア時代に分岐し、存在していたことを裏づけています。海綿動物の各綱でシリカ生体鉱物化作用が別々に進化した可能性を踏まえると、生体鉱物化作用で生じた骨片を先カンブリア時代の海綿動物化石の特定に必要な基準とすることの妥当性は疑問です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
古生物学:エディアカラ紀後期のクラウン群海綿動物
古生物学:先カンブリア時代の海綿動物の証拠
今回、中国のエディアカラ紀の岩石(年代は約5億5100万~5億3900万年前)にグリッド状の網目様の痕跡が見いだされ、これが、有機物骨格を持つ、またはわずかに鉱物化(ミネラリゼーション)が進んだ骨格を有するステム群六放海綿類が残したものと解釈された。
参考文献:
Wang X. et al.(2024): A late-Ediacaran crown-group sponge animal. Nature, 630, 8018, 905–911.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07520-y
この記事へのコメント