絶滅前のケナガマンモスの歴史(追記有)

 古代ゲノムデータから絶滅前のケナガマンモス(Mammuthus primigenius)の歴史を推測した研究(Dehasque et al., 2024)が公表されました。本論文は、ランゲル(ウランゲリ)島(Wrangel Island)を中心に、シベリアのケナガマンモスの古代ゲノムデータから、ケナガマンモスが絶滅前にどのような個体群動態を経たのか、推測しています。ケナガマンモスは1万年前頃にランゲル島で孤立したさい、深刻なボトルネック(瓶首効果)を経たものの、数世代以内に回復した後の数千年間は個体数が安定しており、近親交配が抑制されていた、と推測されます。本論文の知見は、比較的最近瓶首効果を受けた個体群の保全管理にも役立つのではないか、と期待されます。


●要約

 多くの種が最近、絶滅寸前から回復しました。これらの種は当面の絶滅の脅威を避けてきたものの、数世代を超えた時間規模ではあまりよく理解されていない個体数減少の潜在的な遺伝的結果のため、その長期の生存能力は不安定なままです。ケナガマンモスは1万年前頃にランゲル島で孤立するようになり、4000年前頃となる絶滅の前に200世代以上存続しました。ケナガマンモスの絶滅にいたる進化的過程を調べるため、シベリアのケナガマンモス21個体のゲノムが分析されました。その結果、個体数は深刻な瓶首効果から急速に回復し、その後の6000年間、個体群動態的に安定を維持した、と示されます。軽度に有害な変異が次第に蓄積されたのに対して、高度に有害な変異は除去された、と分かり、数百世代にわたって続いた近親交配抑制が示唆されます。個体群動態の回復と遺伝学的回復との間の時間差は、最近瓶首効果を受けた個体群の保全管理にとって広範な意味を有しています。以下は本論文の要約図です。
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●研究史

 過去数世紀にわたって、世界中の多くの種が絶滅の危機に瀕してきました。これらの種の一部は個体数規模では部分的に回復したきましたが、継続的な生息地喪失のため、完全に回復する可能性は低そうです。したがって、遺伝学的観点から、深刻な瓶首効果とそれに続く部分的な個体群回復が将来の絶滅危険性にどのように影響を及ぼすのか、理解することが重要です。小さな個体群では、遺伝的要因が長期的生存能力にとってますます重要な役割を果たすことになる、と予測されます。小さな個体群における絶滅危険性に遺伝学的過程がどの程度影響するのか理解するために、広い時間範囲にわたる時系列データが貴重な洞察を提供できます。しかし、絶滅危惧種の遺伝的負荷に焦点を当てた多くの研究は、個体群の衰退から1もしくは数世代で構成されるデータに限られており、急速な個体群衰退の初期の遺伝的結果と長期の近親交配抑制や有害な変異の蓄積の可能性との間を区別することは困難です。

 ケナガマンモスは、深刻な瓶首効果とその後の長期の小さな個体群規模の遺伝的結果の調査のための、優れたモデル体系です。ケナガマンモスは更新世末にその生息範囲の大半で絶滅しましたが、孤立した個体群が完新世まで生存していました(関連記事)。シベリア北東部辺土の北側の小さな島であるランゲル島の個体群は、新世の開始における世界的な海面上昇のためマンモスが初期完新世の1万年前頃に孤立するようになったさいに、完瓶首効果を経ました(関連記事)。ランゲル島のマンモスはその後、4000年前頃に最終的に絶滅する前に、数百世代にわたって小さな個体群として生存しました。ランゲル島におけるマンモスの孤立の前後数千年間にわたるよく保存された遺骸を利用出来るため、瓶首効果を経て孤立した個体群における進化を実時間で調査する機会が提供されます。


●ゲノムデータの生成
 ランゲル島のマンモスの瓶首効果と小さな個体群規模での続いて起きた長期の生存のゲノムの影響を理解するため、ケナガマンモス21個体の高網羅率のゲノムが分析されて、そのうち13個体は新たに配列決定され、8個体は以前に刊行されました。このデータセットは、9200~4300年前頃(較正された放射性炭素年代)のランゲル島の瓶首効果後の14個体と、瓶首効果に先行する12200年前頃以前の後期更新世シベリアのケナガマンモス7個体から構成されています。このデータセットはランゲル島での孤立を含めてマンモスの過去5万年間にわたるもので、既知の最新のマンモス標本の1点(4300年前頃)を含んでいます。マンモス21個体すべてで、1466128ヶ所の高品質な一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略してSNP)で構成されるデータセットが得られました。


●異型接合性の減少と近親交配の増加

 瓶首効果事象は通常、遺伝的浮動と近親交配の影響増加のため遺伝的多様性の減少につながり、その遺伝的結果は瓶首効果の規模と期間の両方に依存します。個体群規模における突然の減少の影響を評価するため、ランゲル島個体群の孤立前後のゲノム規模異型接合性が定量化されました。異型接合性は瓶首効果前の後期更新世のマンモスでは安定を保ちましたが、更新世から完新世への移行期の頃に異型接合性の顕著な減少が見つかり(図1C)、ゲノム規模の異型接合性は、1000塩基対(base pairs、略してbp)あたり0.75±0.013(平均±1σ)から0.43±0.012まで40%以上低下しました。以下は本論文の図1です。
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 次に、同型接合連続領域(runs of homozygosity、略してROH)で構成されるゲノムの割合(the fraction of the genome composed of ROH、略してFROH)の測定により、近親交配が調べられました。ランゲル島個体群のFROHは後期更新世のケナガマンモスと比較して、10.0±0.29%から41.6±2.1%へと4倍増加した、と分かりました。さらに、FROHの増加はおもに中程度(50万~200万塩基対)から長い(200万塩基対超)のROHの蓄積によって引き起こされており、近親個体間の近親交配により可能性が高そうです。異型接合性で観察された減少と合わせると、これはランゲル島におけるマンモスの孤立と一致する強い瓶首効果事象を示しています。

 ランゲル島個体群内では、異型接合性は経時的に減少し続けましたが、より遅い速度になりました(図1C)。さらに、FROHはランゲル島で経時的にわずかに増加したものの、長いROHの割合の減少と中程度の長さのROHの増加に起因する、ROHの長さにおける全体的な減少から、残りの近親交配はほぼ遠縁の個体間の配偶により起きた、と示唆されます。注目すべきことに、ROH以外での異型接合性を分析すると、ランゲル島個体群内での時間変化が観察されず、異型接合性における観察された全体的な減少は近親交配により起きた、と示唆されます。これらの結果は、個体群統計学的に安定した集団では、遺伝的浮動と近親交配のゲノム効果は分離できない、との見解と一致します。対照的に、後期更新世個体群とランゲル島個体群を比較すると、ROH以外では異型接合性の顕著な喪失が観察され、これは、浮動と近親交配が減少する個体群では異なるゲノム効果を有する、という以前の評価と一致します。


●欠失数の増加

 次に、以前に提案されたように、欠失数が瓶首効果事象後に増加したのかどうか、評価されました。各個体について同型接合性欠失の合計が定量化され、後期更新世個体群と比較すると、0.78±0.084から1.06±0.035の百万塩基対の欠失へと、ランゲル島個体群内では平均36%の増加が見つかりました。瓶首効果後のランゲル島個体群内では、欠失塩基対数は安定を維持しました。興味深いことに、同型接合性欠失の増加は、ランゲル島個体群内の異型接合性における40%の喪失を反映しています。これが示唆するのは、同型接合性欠失の増加は完新世ランゲル島個体群における瓶首効果と関連する異型接合性の喪失により起きたのであり、経時的な全欠失の蓄積ではなかった、ということです。


●主要組織適合複合体における多様性低下

 主要組織適合複合体(major histocompatibility complex、略してMHC)は、脊椎動物における免疫応答に重要な役割を果たすと知られている遺伝子複合体です。MHC遺伝子は通常、ゲノムの最も可変性の高い領域にあり、一部の事例では、平衡選択を通じて維持されています。しかし、MHCの多様性への深刻な個体群瓶首効果の影響に関しては、さまざまな結果が報告されてきました。ランゲル島のマンモス個体群における瓶首効果後のMHCの多様性を調べるため、ゲノム規模および遺伝子固有の異型接合性がMHC異型接合性と比較されました。ランゲル島個体群と更新世個体群を比較すると、遺伝子多様性の42.0%およびゲノム規模多様性の43.2%と比べて、MHCの多様性では49.2%の減少が明らかになりました。異型接合性がランゲル島個体群内の他のゲノム領域よりもMHCで高く維持されていたとしても、平衡選択の潜在的効果は瓶首効果後のマンモスと比較しての多様性を完全に維持するには充分ではありませんでした。


●順模擬実験により明らかになる深刻な瓶首効果後の急速な回復

 経時的な有効個体群規模(Nₑ)の変化を調べるため、順模擬実験が実行され、その結果が本論文の実証的データと比較されました。最適モデルを見つけるため、経時的な異型接合性の観察された喪失を使用し、Nₑにおける瓶首効果の規模と世代における回復時間と瓶首効果のNₑを変えて、徹底的な一連の個体群動態の仮定的状況が実行されました。108回通りの検証された模擬実験のうち最適な3通りはすべて、個体群瓶首効果が8であることを裏づけ、それはどのさほど深刻ではない仮定的状況(つまり、より高いNₑ)も異型接合性における急激な低下を説明できないからです。さらに、ランゲル島個体群における緩やかな異型接合性減少の実証的パターンの回復には、20世代内の200~300のNₑの個体群回復が必要になる、という強い裏づけが見つかりました(図2)。まとめると、これらの結果から強く示唆されるのは、最初の瓶首効果後に、ランゲル島個体群は急速に回復し、その絶滅前にはランゲル島で6000年間ずっと安定を維持した、ということです。以下は本論文の図2です。
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●有害な変異の浄化と蓄積

 ほぼ中立進化理論の予測の一つは、浮動が小さな個体群では増加し、これは次第に有害な変異の蓄積につながり、個体群の適応度低下と最終的には絶滅をもたらす、というものです。減少した個体群規模と変異の蓄積との間のこの負のフィードバックループの過程は、変異溶解性と呼ばれています。しかし、高度に有害な潜性(劣性)変異は、同型接合性の状態になると、強い選択を通じて近親交配個体群から浄化されることも予測されます。長期間孤立していたケナガマンモス個体群における浮動と浄化選択との間の進化動態を調べるため、二つの手法を用いて変異負荷が推定されました。

 最初の手法では、ランゲル島のマンモス個体群の孤立の前後での、高度な影響の変異、つまり機能喪失(loss-of-function、略してLoF)と、中程度の影響の変異、つまりミスセンス(アミノ酸が変わるような変異)が比較され、両方の変異は通常、有害と推測されています。その結果、高度な影響の変異の頻度は経時的にランゲル島個体群内では減少したのに対して、中程度の影響の変異は増加した、と分かりました(図3)。瓶首効果前後の個体群を比較すると、ランゲル島におけるケナガマンモス個体群の絶滅前の最後の1000年間のケナガマンモスにおける高度な影響の変異も中程度の影響の変異も、その頻度は後期更新世個体群で見られる水準を上回っていませんでした。以下は本論文の図3です。
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 第二の手法では、ゲノム進化率概略(genomic evolutionary rate profiling、略してGERP)得点を用いて、高度に保存された領域のゲノム部位から変異負荷が計算されました。本論文の以前の分析と一致して、これらの領域における変異負荷は、後期更新世のマンモスと比較して、瓶首効果後の完新世個体群ではより低かった、と分かりました。これらの調査結果は、現在の絶滅危惧分類群、たとえばチャンネル島のキツネでの観察と類似しており、小さな個体群は高度に有害な変異の浄化を経ており、それは高水準の近親交配にも関わらず長期の存続を促進するかもしれない、と示唆されます。


●考察

 絶滅前の最後の5万年間にわたるケナガマンモス21個体の分析から、シベリア北東部の本土個体群はゲノム規模多様性では驚くほど少しの変化しか経なかった、と示されます。ケナガマンモスは氷期には最も広く拡大していた草食動物の一つでしたが、初期完新世までに、シベリア本土全域の以前の生息範囲のほとんどから消滅しました。この絶滅は福津佐那過程で、早ければ2万年前頃に始まった連続的な範囲縮小と部分的な再定着があった、と示唆されてきました(関連記事1および関連記事2)。しかし、本論文の調査結果では、ゲノムの観点から、マンモスはこの気候的に乱れ期間を通じて、安定を維持した、と論証されます。

 気温の突然の変化により特徴づけられる期間で、最終氷期末における複数の絶滅の原因になった可能性が高い、と示唆されてきたベーリング・アレレード(Bølling-Allerød)期(14700~12900年前頃)全体でさえ(関連記事)、近親交配とゲノム規模異型接合性におけるゲノムの変化は観察されません。マンモスが初期完新世における海面上昇のためランゲル島に閉じ込められるまだ、個体群規模はゲノムの痕跡を残すほど充分に劇的ではありませんでした。ミトコンドリアDNAと短い縦列型遺伝子標識を用いての先行研究と一致して、ランゲル島個体群のゲノム構成に深刻な瓶首効果の強い影響が見つかりました。本論文の模擬実験から、Nₑは個体群の最小時に8以下だった、と示唆されました。瓶首効果事象直後のランゲル島における単一の母系ハプロタイプのみを見つけた先行研究と組み合わせると、これらの調査結果から、ランゲル島はケナガマンモスの単一の群れにより創始されたかもしれない、と示唆されます。

 複数の遺伝的過程は、小さな個体群における絶滅危険性を増加させる、と考えられています。第一に、変異溶解性モデル下では、小さな個体群は経時的に次第に有害な変異を蓄積し、適応度減少につながるかもしれず、それはさらに小さな個体群規模つながる、と予測されます。第二に、小さな個体群内で通常観察される近親交配は、負の適応度の結果と関連しており、これも絶滅危険性を増加させる、と考えられてきました。第三に、異型接合性の減少は適応能力の喪失にもつながり、環境変化や病原体への個体群の適応能力を制約するかもしれません。これらの仮説下では、小さな個体群では経時的にゲノム衰退の加速が予測されます。しかし、ランゲル島個体群の集団崩壊を示唆するだろうこれら3点のゲノム媒介変数における主要な時間的変化は見つかりませんでした。本論文の結果に基づくと、ランゲル島個体群は瓶首効果後に急速に回復し、その後は安定したままでした。より正確には、回復した個体群は、ランゲル島での6000年間の孤立を通じて、1親等もしくは2親等などの近縁個体との近親交配を避けるのに充分大きかったか、恐らくその行動を変えた、という証拠さえ見つかりました。

 しかし、ランゲル島のマンモスの運命は、二つの物語から構成されます。一方で、本論文の変異負荷分析は、マンモス個体群内の長期にわたる近親交配抑制を示唆しており、高度な影響の変異はその絶滅まで個体群から浄化されていました。同時谷、中程度の影響の変異は頻度が増加し続け、浄化選択は遺伝的浮動を弱めるほど充分には強くなかった、と論証されます。さらに、先行研究と一致して、機能的に重要なMHCでは多様性を維持する平衡選択の証拠が見つからず、恐らく、たとえばタスマニアデビルでの観察と同様に、個体群は疾患感受性がより高くなりました。一方で、4333年前頃となる最後に生存したいケナガマンモスの1個体のゲノムでさえ、ずっと高水準の近親交配、もしくはより古い完新世ランゲル島のマンモスと比較しての変異負荷における劇的な増加など、個体数減少の加速を示唆するパターンは見られませんでした。結果として、ランゲル島個体群におけるゲノム侵食の証拠が見つかってさえ、これは、長期的な負の個体数増加率をもたらす程度の、個体群への影響を及ぼさなかったようです。

 したがって、ランゲル島におけるケナガマンモス絶滅の背後にある機序は不明なままですが、本論文のデータは絶滅が急速に起きたことを示唆します。ヒトは後期更新世においてマンモスと共存し、その絶滅に寄与したかもしれないとしても、現時点で、ランゲル島のマンモスに関してこれが当てはまる証拠はありません。ランゲル島における最古のヒトの出現は3600年前頃で、ランゲル島におけるマンモスの消滅後ほぼ4世紀が経過しています(関連記事)。したがって本論文は、疾患発生もしくは環境の劇的な変化などの突然の事象の他の形態が、個体群の適応能力低下と組み合わさって、ランゲル島のマンモスの絶滅を引き起こしたかもしれない、と仮定します。しかし、本論文のデータに基づくと、10世代未満の期間で、生存できない個体群へとつながった、蓄積された中程度の影響の変異における転換点の可能性を除外できません。まとめると、生態学と遺伝学両方の過程がともに作用してマンモスの絶滅をもたらしたのかもしれません。

 ランゲル島のマンモス個体群は長く、変異溶解性のため絶滅した小さな個体群の教科書的事例と考えられてきました。しかし、本論文の分析で示されたように、個体群間の変異負荷の比較は、ゲノム網羅率の幅に対してひじょうに敏感です(図4)。本論文は、これを補正し、データ品質の違いを考慮して、ランゲル島の個体群は、高度な影響の変異の蓄積ではなく、そうした変異の漸進的浄化を経た、と示します(図3)。結果として、ランゲル島の最後に生き残ったマンモスは、祖先の本土の個体群と比較して高度な影響の変異の数が少なく、これは以前の分析と矛盾する調査結果です。以下は本論文の図4です。
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 本論文の結果は、保全生物学の分野でより広範な意味を有しています。ランゲル島のケナガマンモス個体群は初期完新世において深刻な孤立による瓶首効果後にかなりのNₑに回復し、その絶滅まで個体群動態は安定を維持しましたが、瓶首効果後の数百世代について、中程度の影響の変異の蓄積と高度な影響の変異の浄化が観察されました。多様性は個体数回復後でさえ失われる、とする浮動負債の概念を拡張すると、本論文の結果から、有害な変異は、野生個体群の生存能力を傷つけ続ける、突然の衰退とそれに続く回復後にも重要な負債を負うかもしれない、う、と示唆されます。本論文では実証的に、高度に有害な変異の浄化には数百世代を必要とするかもしれない、と示されます。これらの調査結果は、現在の絶滅が危惧される個体群の保全努力に重要な影響を及ぼし、個体群の生存能力の唯一の代理としてゲノム規模多様性と近親交配を用いることに対して、正当化しません。代わりに、変異負荷の変化は個体群がより大きなNₑに回復した後でも長期にわたって続くかもしれないので、変異負荷の時間的監視が必要です。


●この研究の限界

 本論文の分析では、汚染もしくは古代DNA損傷により起きる偽陽性の結果を避けるため、厳格な選別設定が行なわれました。さらに、本論文の厳格な設定は、常染色体異型接合性やROHや負荷の推定について値を低下させるかもしれません。したがって本論文は、本論文における全ての結果は、定量的ではなく比較的に解釈すべきである、と強調したいところです。第二の限界は、変異負荷分析にアフリカゾウのゲノムの注釈づけに基づく予測された変異の影響を用いていることです。したがって、ケナガマンモスの表現型への特定の変異の正確な機能的影響は、不確実なままです、さらに、Snpeffに実装されている演算法は、へんいのエピジェネティックな効果を考慮していません。最後に、本論文のデータセットには、ランゲル島のケナガマンモスの最後の10世代のゲノムが含まれていません。したがって、これら最後の世代においてゲノム侵食媒介変数に変化があったことを除外できません。


参考文献:
Dehasque M. et al.(2024): Temporal dynamics of woolly mammoth genome erosion prior to extinction. Cell, 187, 14, 3531–3540.E13.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2024.05.033


追記(2024年7月25日)
 ナショナルジオグラフィックで報道されました。

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