『卑弥呼』第134話「外交」
『ビッグコミックオリジナル』2024年8月5日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハ一行が朝鮮半島の辰韓に入り、月支国の王の住居とその向こうにあるの辰王の宮殿の目前まで来たところで終了しました。今回は、辰王の宮殿の目前で、ヤノハがトメ将軍に、ゴリによると辰王は自分が日見子(ヒミコ)であることをすでに知っているので、下手な小細工はせず、自分が倭王と名乗り対面しようと考えている、と伝える、場面から始まります。辰王に直接的に謁見したのは、ヤノハとトメ将軍とヒホコとヌカデとゴリとオオヒコでした。ヒホコは、目達(メタ)国のスイショウ王の指示により朝鮮半島に残った人々の子孫が暮らす邑の長で、朝鮮半島では通訳も務めています。辰王はヤノハに、帯方郡までの通行手形は与える、と伝えます。何か知りたいことはないか、と辰王に尋ねられたヤノハは、他国との交渉の秘訣を問いかけます。辰王は、外交で勝つためには、相手のことを知り、反対に自分については教えないことだ、と答えます。辰王はヤノハに、自分も倭国については、弁韓から千余里の海中にあること以外は知らない、と伝えます。魏と呉と蜀の三国について教えてもらいたい、とヤノハに求められた辰王は、人口は、魏が450万人、呉が230万人、蜀が100万人で、兵力は、魏が50万人、呉が23万人、蜀が105000人と答えます。どの国が一番強いかは分かるだろう、健闘を祈る、と言う辰王に、ヤノハは感謝します。
暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)では、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の間の息子で、今では養父のホデリに育てられているヤエト(夜萬加ではニニギという名で育てられています)が、養母であるタマヨリの顔を描いていました。その顔が上手なのに驚いたホデリは、ニニギが天才だと考え、妻のタマヨリを呼びます。自分の顔は描いてくれないのか、と養父のホデリに問われたニニギは、父の顔は難しい、と答えます。寂しがる父を見て、ニニギは父の顔を描き、それも上手だったので、ニニギは絵で食べていける、とホデリは考えます。そこへ、ホデリとタマヨリの夫婦が「山のお婆さま」と呼ぶ女性が輿に乗ってやってきます。ホデリはニニギに、怖いお婆様の前では、阿保の真似をするよう、ニニギに指示しており、ニニギもそれを心得ていました。「山のお婆さま」と呼ばれている女性は、ヤノハを強く恨んでいるヒルメでした。ヒルメはホデリとタマヨリの夫婦を、10日に1度ニニギを連れて詣でるよう命じたのに、2ヶ月も顔を見せないのはどういうことだ、と叱責します。ホデリは、非礼を詫び、ニニギは図体ばかりでかくなり、中身が少々問題で、覚えが悪いというか、今でも「てて」と「かか」しか言葉を発せず、「お婆さま」が言うような選ばれし子にはとても思えない、弁解します。すると、仮面をつけたヒルメの従者が、用心するようヒルメに進言します。そこへ、チカラオが飼っていたと思われるイヌが現れ、ウサギを持ってきて、ニニギは喜びます。ヒルメはクエビトという従者に、このイヌを殺すよう命じ、イヌはクエビトに吠え掛かりますが、ニニギがヤノハと呼びかけて止めるよう命じると、大人しくなります。ヒルメはヤノハという名前に驚き、ホデリは慌てた様子で、ニニギがなぜかヤノハと名付けた、と説明します。ヒルメは10日に一度、必ず顔を見せるようホデリに命じ、立ち去ります。ホデリはニニギを褒め、前はニニギの将来を約束してくれたお婆様にあんなに忠実だったのに、なぜ裏切るのか、と尋ねる妻のタマヨリに、だんだんと、ヒルメが悪い人ではないか、という気がしてきた、と答えます。ヒルメは、ホデリとタマヨリが自分からニニギを引き離そうとしており、ニニギが実は賢い子だと気づいていました。ニニギは賢すぎ、とくに赤子の時のことを覚えているのは実に危険で、いずれ本当の母親であるヤノハの記憶が蘇るかもしれない、と危惧します。ヒルメはクエビトを呼び、正体を隠してホデリのいる麓の邑を襲い、ニニギ以外は皆殺しにするよう命じます。
ヤノハ一行は月支国を出て2日後に、帯方郡に入りました。公孫淵の居城である遼東まではまだ遠く、その居城の名は襄平である、とヤノハはオオヒコから報告を受けます。公孫淵と会ってどのような話をするつもりなのか、とオオヒコに問われたヤノハが、辰王によると、公孫淵は倭という名は知っていても、どのような国かはまるで知らないので、倭国についての嘘をとうとうと吹き込むつもりだ、と答えるところで今回は終了です。
今回は、ヤノハ一行と辰王との面会とともに、ニニギの様子が描かれました。辰王はゴリが言う通りの賢人のようで、ヤノハは公孫淵への対処策の重要な手がかりを得たようです。ヤノハと公孫淵との駆け引き、さらには公孫淵がどのような人物なのか、注目されます。ニニギは、人柄のよさそうなホデリとタマヨリの夫婦に育てられているからか、明るい性格に育っているようです。ヒルメはさすがに、ニニギが賢い人物であることを見抜き、ホデリとタマヨリの夫婦のいる邑のニニギ以外の住民の皆殺しを命じます。ヒルメの思惑通りに事が進むのか分かりませんが、そうなるとしても、ニニギの心には深い傷となりそうです。ホデリは好漢で、なかなか感が鋭そうなだけに、妻のタマヨリとともに生き延びてもらいたいものですが。ヤノハに殺された山社(ヤマト)のモモソの予言によると、ヤノハはニニギに殺されることになり、養父母を殺されたニニギはヒルメに養育され、ヤノハへの憎悪を植えつけられるのでしょうか。あるいは、実子であるニニギの様子を時々窺っているチカラオが、クエビトの率いる襲撃隊からニニギを守ることも考えられますが、ニニギの今後は予想しづらいところがあります。ヤノハとチカラオとの間の子供であるニニギの娘(ヤノハの孫)が『三国志』に見える台与と予想していますが、そのような設定なのかはともかく、ニニギはヤノハを殺す人物とモモソに予言されているだけに、今後の動向がたいへん注目されます。
暈(クマ)国の夜萬加(ヤマカ)では、ヤノハとチカラオ(ナツハ)の間の息子で、今では養父のホデリに育てられているヤエト(夜萬加ではニニギという名で育てられています)が、養母であるタマヨリの顔を描いていました。その顔が上手なのに驚いたホデリは、ニニギが天才だと考え、妻のタマヨリを呼びます。自分の顔は描いてくれないのか、と養父のホデリに問われたニニギは、父の顔は難しい、と答えます。寂しがる父を見て、ニニギは父の顔を描き、それも上手だったので、ニニギは絵で食べていける、とホデリは考えます。そこへ、ホデリとタマヨリの夫婦が「山のお婆さま」と呼ぶ女性が輿に乗ってやってきます。ホデリはニニギに、怖いお婆様の前では、阿保の真似をするよう、ニニギに指示しており、ニニギもそれを心得ていました。「山のお婆さま」と呼ばれている女性は、ヤノハを強く恨んでいるヒルメでした。ヒルメはホデリとタマヨリの夫婦を、10日に1度ニニギを連れて詣でるよう命じたのに、2ヶ月も顔を見せないのはどういうことだ、と叱責します。ホデリは、非礼を詫び、ニニギは図体ばかりでかくなり、中身が少々問題で、覚えが悪いというか、今でも「てて」と「かか」しか言葉を発せず、「お婆さま」が言うような選ばれし子にはとても思えない、弁解します。すると、仮面をつけたヒルメの従者が、用心するようヒルメに進言します。そこへ、チカラオが飼っていたと思われるイヌが現れ、ウサギを持ってきて、ニニギは喜びます。ヒルメはクエビトという従者に、このイヌを殺すよう命じ、イヌはクエビトに吠え掛かりますが、ニニギがヤノハと呼びかけて止めるよう命じると、大人しくなります。ヒルメはヤノハという名前に驚き、ホデリは慌てた様子で、ニニギがなぜかヤノハと名付けた、と説明します。ヒルメは10日に一度、必ず顔を見せるようホデリに命じ、立ち去ります。ホデリはニニギを褒め、前はニニギの将来を約束してくれたお婆様にあんなに忠実だったのに、なぜ裏切るのか、と尋ねる妻のタマヨリに、だんだんと、ヒルメが悪い人ではないか、という気がしてきた、と答えます。ヒルメは、ホデリとタマヨリが自分からニニギを引き離そうとしており、ニニギが実は賢い子だと気づいていました。ニニギは賢すぎ、とくに赤子の時のことを覚えているのは実に危険で、いずれ本当の母親であるヤノハの記憶が蘇るかもしれない、と危惧します。ヒルメはクエビトを呼び、正体を隠してホデリのいる麓の邑を襲い、ニニギ以外は皆殺しにするよう命じます。
ヤノハ一行は月支国を出て2日後に、帯方郡に入りました。公孫淵の居城である遼東まではまだ遠く、その居城の名は襄平である、とヤノハはオオヒコから報告を受けます。公孫淵と会ってどのような話をするつもりなのか、とオオヒコに問われたヤノハが、辰王によると、公孫淵は倭という名は知っていても、どのような国かはまるで知らないので、倭国についての嘘をとうとうと吹き込むつもりだ、と答えるところで今回は終了です。
今回は、ヤノハ一行と辰王との面会とともに、ニニギの様子が描かれました。辰王はゴリが言う通りの賢人のようで、ヤノハは公孫淵への対処策の重要な手がかりを得たようです。ヤノハと公孫淵との駆け引き、さらには公孫淵がどのような人物なのか、注目されます。ニニギは、人柄のよさそうなホデリとタマヨリの夫婦に育てられているからか、明るい性格に育っているようです。ヒルメはさすがに、ニニギが賢い人物であることを見抜き、ホデリとタマヨリの夫婦のいる邑のニニギ以外の住民の皆殺しを命じます。ヒルメの思惑通りに事が進むのか分かりませんが、そうなるとしても、ニニギの心には深い傷となりそうです。ホデリは好漢で、なかなか感が鋭そうなだけに、妻のタマヨリとともに生き延びてもらいたいものですが。ヤノハに殺された山社(ヤマト)のモモソの予言によると、ヤノハはニニギに殺されることになり、養父母を殺されたニニギはヒルメに養育され、ヤノハへの憎悪を植えつけられるのでしょうか。あるいは、実子であるニニギの様子を時々窺っているチカラオが、クエビトの率いる襲撃隊からニニギを守ることも考えられますが、ニニギの今後は予想しづらいところがあります。ヤノハとチカラオとの間の子供であるニニギの娘(ヤノハの孫)が『三国志』に見える台与と予想していますが、そのような設定なのかはともかく、ニニギはヤノハを殺す人物とモモソに予言されているだけに、今後の動向がたいへん注目されます。
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