メロヴィング朝期フランドルの人類集団のゲノムデータ

 メロヴィング朝期フランドルの人類集団のゲノムデータを報告した研究(Sasso et al., 2024)が公表されました。北海を横断する交易および文化網の確立への中世前期の人口移動の程度と影響は、何世紀にもわたって議論の対象となってきました。フランドル沿岸の古代人のゲノム解析により、メロヴィング朝後期の共同体で2つの異なる祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)群が見つかり、それは、個体間の遠距離関係の密な交流網および北海沿岸周辺の人口集団との遺伝的類似性を有する主要群と、さまざまな内陸起源の親族関係にない個体群の大陸部ガリア祖先系統を表している可能性が高い小群です。ブリテン島と同様に、中世前期の人口移動がフランドル人口集団の形成に長期の影響を及ぼし、不可欠だった、と示唆する局所的連続性の証拠も見つかりました。ヨーロッパでは、先史時代だけではなく歴史時代の古代ゲノム研究も盛んで、窒素(N)や炭素(C)や酸素(O)やストロンチウム(Sr)の同位体分析などと組み合わせて詳細な人口史が解明されつつあり、日本列島でも歴史時代の同様の研究の進展が期待されます。


●要約

 メロヴィング朝(5~8世紀)は、ヨーロッパ西部における人口統計学と社会経済と文化と政治の再編成の時期でした。本論文は、沿岸部のメロヴィング朝後期のコクスアイデ(Koksijde)遺跡(675~750年)遺跡から発見された30個体のヒト骨格遺骸と、現在のベルギーのフランドルの中世前期~後期の遺跡から発見された18個体の遺骸の、全ゲノムショットガン配列データを報告します。2つの異なる祖先系統が見つかり、一方は中世前期のイングランドおよびオランダと共有されていましたが、もう一方は小さな構成要素で、大陸部ガリア祖先系統を反映している可能性が高そうです。

 親族関係部関では、エリート埋葬に特徴的な大規模な家系は特定されず、代わりに明らかになったのは、主要な祖先系統群の個体における遠方の関係の高いモジュール性です。対照的に、90%超のガリア祖先系統を有する個体は、標本抽出された個体では親族関係のつながりがありませんでした。組み合わされた同位体と遺伝学の証拠では、確立された沿岸部の非エリート共同体を表す埋葬が、内陸部人口集団からの移民を取り込んできた、というモデルが裏づけられます。

 コクスアイデ遺跡の主要な埋葬群は、近隣の中世盛期遺跡との豊富な5 cM(センチモルガン)超の共有アレル区間を示しており、これは長期の連続性を意味し、ブリテン島と同様に、中世前期祖先系統の変化はフランドル人口集団の遺伝的構成に顕著で長期にわたる影響を残した、と示唆されます。色素沈着と食性関連多様体における2祖先系統群の間でアレル(対立遺伝子)頻度のかなりの差異が見つかり、それにはラクターゼ(Lactase、略してLCT、乳糖分解酵素)活性持続(lactase persistence、略してLP)と関連するものが含まれ、局所的適応ではなく祖先系統の変化を反映している可能性が高そうです。


●研究史

 フランドルはヨーロッパ交易の要衝および千年紀末までの資本主義の発祥地として出現し、それは沿岸部および内陸部の水路でつながった都市の台頭により示されます。この地域の名称は、「浸水した土地」を意味する古ゲルマン語起源の「flauma」に由来し、北海の洪水の起きやすい沿岸湿地帯としての性質を表しています。歴史学と考古学の証拠から、メロヴィング朝期(450~750年)には北海地域全体として、沿岸部の塩性湿地帯における開拓民集落の拡大と物質文化と社会経済と文化的枠組みの大きな変化、ガリア語からゲルマン語派への言語学的変化社会経済と文化があった、と確証されています。「メロヴィング朝期」の用語および年代的分類表示は、メロヴィング王朝に由来します。メロヴィング王国はその権力の最盛期には、現代のフランスとベルギーとオランダとルクセンブルクとドイツの一部にまで広がりました。これらの王国の支配下の政治権力における変化は、社会階層の上層と下層の人口の連続性および流動性に異なる影響を及ぼしたかもしれません。

 考古学的研究では、フランドル西部となる現在のベルギーにおける中世前期の2つの文化集団を区別してきており、それは、(1)共有された種類の物質文化と方言の複合体である、文化的に「北海文化」と一致する北海沿岸の共同体と、(2)フランス北部と文化的により一致する、ムーズ川流域やラインラントといった内陸部の河川流域の共同体です。これらの文化伝統はよく確証されていますが、その相互作用と関係や、人々の移動がフランドル沿岸の交易および文化網の確立にどの程度重要だったのかは、不明なままです。イングランドのアングロ・サクソンの遺跡の古代DNA解析は、これらの遺跡に埋葬された遺伝的祖先系統の3/4以上を占める、中世前期における大陸部北海地帯(continental North Sea zone、略してcNSz)からの大規模な移住証拠を提供しました(Gretzinger et al., 2022)。それにも関わらず、フランドルにおいて、青銅器時代から7世紀後半まで火葬が行なわれていたことは、ヒト遺骸の一般的な保存時幼体の悪さと共に、この地域におけるこの変容期の人口統計学的変化を解明するための、古代DNAの利用をこれまで制約してきました。

 中世前期のコクスアイデ遺跡(675~750年)は、詳細な埋葬状況の記載と広範な同位体および骨学的手法から得られたデータがある、フランドル沿岸の数少ないメロヴィング朝期の墓地の一つです。同位体データの先行研究は、食性(δ¹⁵N, δ¹³Ccol)と水源(δ¹⁸O)と移動性(⁸⁷Sr/⁸⁶Sr)の同位体特性において明確な差異がある、個体の明確な2群の共存を明らかにしました。本論文では、コクスアイデ遺跡と、中世前期の遺跡および北海地帯の現在の人口集団から利用可能なデータの文脈におけるフランドルの他の2ヶ所の中世遺跡から得られた全ゲノム配列を用いて、メロヴィング朝後期の共同体の起源、他の北海共同体との遺伝的関係、親族関係構造、経時的連続性を判断します。本論文は、2つの異なる同位体群が共同体における遺伝的な人口構造を反映している、という仮説を検証します。


●標本

 現在のベルギーとなるフランドルの中世前期~後期の3ヶ所の遺跡で発見されたヒト48個体の骨格遺骸から全ゲノムショットガン配列データが生成され、さらなるゲノム規模分析には、常染色体の平均網羅率が0.01倍以上の44個体のゲノムが保持され、その中には補完に基づく分析で用いられた網羅率0.12倍超の34個体が含まれます(表1)。網羅率0.01倍未満の4個体はミトコンドリアDNA(mtDNA)分析と性別決定とメタゲノム検査にのみ使用されました。先行研究では元々含まれていなかった23個体の同位体分析は、炭素と窒素の同位体分析によって、海洋資源と陸生資源差異としての可能性が高いと解釈できるような、コクスアイデ遺跡の被葬者における2つの異なる食性群の存在を確証し、ストロンチウム同位体における追加の外れ値を明らかにします。中世盛期のウルペン(Wulpen)墓地で発見された6個体はすべて、コクスアイデ遺跡被葬者と類似した、沿岸部のストロンチウムと陸生の食性同位体比と酸素値を有していました。


●人口構造の分析

 メロヴィング朝期のコクスアイデ遺跡に埋葬された個体群の遺伝的祖先系統への洞察を得るため、コクスアイデ遺跡の近くの中世盛期~後期(11~15世紀)のウルペン遺跡と中世前期~後期のシント=トロイデン(Sint-Truiden)遺跡の埋葬を含めて、ヨーロッパの現代人および古代人のより広範な参照データセットから得られたゲノムデータの文脈において補完されたゲノムで、主成分分析(principal component analysis、略してPCA)が実行されました(図1A)。中世フランドルの調査されたゲノムは全て、ヨーロッパ西部および北西部の現代人を網羅する広範な地域的クラスタ(まとまり)に位置づけられる、と分かりました(図1B)。

 大半(18個体のうち17個体)がイギリス生物銀行(United Kingdom Biobank、略してUKB)のフランス現代人とクラスタ化する(まとまる)鉄器時代のフランスのガリア人のゲノム(Fischer et al., 2022)とは対照的に、フランドルの中世人のゲノムは、とくにコクスアイデ遺跡標本の事例において、スカンジナビア半島とオランダの人々のゲノムとのかなりの重複のある、より広範な分布を示します(図1C)。コクスアイデ遺跡被葬者のゲノムの小さな部分集合(KOS001とKOS009とKOS032とKOS038)は、フランドルの現代人の範囲外でフランスのガリア人と密接に位置していますが、残りはフランドルとデンマークとオランダの現代人のゲノムに位置しています。ウルペン遺跡から標本抽出された5個体はすべて、オランダとフランドルの現代人の範囲内に収まりますが、シント=トロイデン遺跡標本の大半は、コクスアイデ遺跡標本と後期鉄器時代フランスのガリア人標本との間に位置します。以下は本論文の図1です。
画像

 Fₛₜ(2集団の遺伝的分化の程度を示す固定指数)により測定された中世前期と後期鉄器時代の人口集団間の遺伝的距離は、現在より大きいものでした。低地諸国やイングランドやアイルランドの中世善の遺跡の被葬者間の遺伝的距離は、低地諸国とスペインの現代人の間で見られる距離に匹敵しました。PCAにおけるコクスアイデ遺跡個体群のゲノムの2つの異なる下位群の発見は、高水準の異質性を維持する大規模な任意交配人口集団か、標本抽出時のコクスアイデ共同体における構造化された人口の存在を示唆しているかもしれません。後者の仮定的状況下では、とくに祖先供給源間で最高のアレル頻度を示す多様体において、異型接合性遺伝子型の不足が見つかる、と予測されます。対照的に、祖先の多様な人口集団においては、任意交配の1世代はハーディー・ワインベルグ平衡(Hardy–Weinberg equilibrium、略してHWE)に戻る、と予測されます。これらの代替案を区別するため、ゲノム全体の一般的な多様体にHWE検定が適用され、HWE検定においてP<0.01で合格しなかった多様体において、異型接合性遺伝子型の有意な不足が見つかり、これは、フランスの後期鉄器時代とイングランドの中世前期の個体のゲノム間で最高のFₛₜ値を有する多様体において最高だった影響です。異型接合性遺伝子型の不足は、外れ値4個体の除去後に有意に減少し、これはコクスアイデ共同体がじっさいに遺伝的に構造化されていたことを示唆しています。

 次に、補完されたコクスアイデ遺跡とシント=トロイデン遺跡とウルペン遺跡の個体群のゲノムに外群f3分析が適用され、集団および個体水準で最も密接な祖先人口集団が検索されました。その結果、現在のベルギーとなるフランドルの中世の3ヶ所の遺跡の個体群は、ブリテン島およびドイツの人類集団における供給源で最適にモデル化される祖先系統(Amorim et al., 2018)である、イングランドの中世前期個体(Gretzinger et al., 2022)およびハンガリーとイタリアのランゴバルド人のゲノムと最も多い遺伝的浮動を共有している、と分かりました。とくに、フランドルのコクスアイデ遺跡およびドイツ西部のノルトライン=ヴェストファーレン(North Rhine-Westphalia)州のアルト=インデン(Alt-Inden)遺跡(Gretzinger et al., 2022)というメロヴィング朝期の2ヶ所の遺跡の個体群間では、浮動の共有は低いようです。コクスアイデ遺跡の主要群と比較して、外れ値4個体の小群は、中世前期北海沿岸人口集団やスカンジナビア半島および北海沿岸のヴァイキング期集団とのより低い類似性を示します。フランドルの補完された古代人のゲノムのさらなるf4検定は、大陸部鉄器時代供給源とよりも中世前期イングランド個体群の方とのより高いアレル頻度共有を示しました。同様に、コクスアイデ遺跡やウルペン遺跡やシント=トロイデン遺跡の個体群のゲノムは、他のメロヴィング朝期遺跡、つまりアルト=インデン個体群のゲノムとよりも、中世前期個体群のゲノムの方と高い類似性を示しました。

 コクスアイデ共同体が遺伝的に構造化されていた、との仮説をさらに検証するため、教師なしクラスタ化手法との組み合わせでLSAI(long shared allelic intervals、長い共有されたアレル区間)が用いられ、コクスアイデ個体群のゲノムのゲノムの祖先系統供給源と、北海地域の古代人および現代人のゲノムとのつながりが調べられました。IBIS(Identical by Descent via Identical by State 、同一状態経由での同祖対立遺伝子)を用いて、古代人322個体の補完されたゲノムと、UKBとMinE協会のデータ、GoNL、1000人ゲノム計画第3期データから得られたヨーロッパ北部および西部の現代人3295個体の蓄積されたデータで、5cM以上のLSAIを共有する401202組の個体が検出されました。2段階検索範囲でIBIS出力にライデン(Leiden)演算法を適用すると、15個体以上の32ヶ所の共同体が抽出され、その大半の地理的分布は地域固有でした。32ヶ所の抽出された共同体で推定されたPiC(probability of individual connectedness、個体のつながりの可能性)得点にUMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection、均一多面近似および投影)を適用すると、広範な地理的地域およびオランダとデンマークとイングランドの現代人のゲノムとの中世前期個体群のゲノムの大半のクラスタ化による、ヨーロッパ西部現代人のゲノムの分離が明らかになりました(図2A)。以下は本論文の図2です。
画像

 コクスアイデ個体群のゲノムの大半は、フランスとブリテン島の鉄器時代/ローマ期個体群のゲノムとは別に、イングランドおよびオランダの同時代の中世前期個体群のゲノムとクラスタ化しています。コクスアイデ個体群と密接にクラスタ化する中世前期イングランドの個体群は、先行研究(Gretzinger et al., 2022)のqpAdm推定値によると、cNSzの祖先系統の大半を有しています。先行研究(Gretzinger et al., 2022)とUMAP1値により推定されているようにアングロ・サクソン墓地の中世前期イングランドの個体群のゲノムにおけるcNSz祖先系統間では、高い相関が見つかります(図2C)。これは、cNSz祖先系統におけるコクスアイデ遺跡外れ値の位置(図2B)においてさらに反映されています。とくに、低いUMAP1値の外れ値5個体(KOS001とKOS003とKOS009とKOS032とKOS038)のうち外れ値の4個体は、アレル頻度に基づくPCAでも外れ値でした(図1)。

 対照的に、コクスアイデ遺跡の主要群は高い割合のcNSz祖先系統を有する中世前期イングランド個体群のゲノムとともにクラスタ化し、最高のつながりを示していますが、デンマークの中世盛期個体群や先行研究(Gretzinger et al., 2022)のメロヴィング朝期アルト=インデン遺跡のゲノムとのつながりは弱くなっています(図2D)。とくに、高いUMAP1値のゲノムでは、1個体(KOS007)が主要群では他の個体と歯別に位置づけられました。全体的に、コクスアイデ個体群のゲノムは、ベルギーのリンブルフ(Limburg)州の同時代となるシント=トロイデン遺跡のゲノムとよりも、中世盛期のウルペン個体群のゲノムの方と、局所的により高いLSAI共有を示します。ウルペン個体群のゲノムはベルギーの東西のフランデレン州の現代人のゲノムと局所的に最高の類似性を示しますが、類似の地域的パターンはコクスアイデ遺跡もしくはシント=トロイデン遺跡では見つからず、ベルギーとオランダの諸州間の地域的差異が中世前期の後に現れた、と示唆しています。

 本論文のPCAとf4検定と個体のつながりの分析は、コクスアイデ個体群における少なくとも2つの異なる祖先系統供給源を示しており、一方は中世前期北海共同体と関連し、もう一方は地元のガリア人集団と関連している可能性が高そうなので、ガリア人祖先系統の代理として後期鉄器時代フランス(Fischer et al., 2022)のデータと、北海沿岸祖先系統の代理としてイングランドの99%超のcNSz祖先系統がある中世前期個体群のゲノムを用いて、qpAdm(Haak et al., 2015)でコクスアイデ個体群の供給源がさらに調べられました。補完されたデータおよび半数体呼び出しデータでと得られた結果を比較する分析は、主要な寄与者の識別において一貫性を示し、補完された標的と半数体呼び出しの標的間の割り当てられた祖先系統の割合の違いの範囲は0.023~0.359で、平均では0.139でした。

 北海沿岸祖先系統の4通りのさまざまな代理の性能も検出されました。PCAやf4検定や同祖対立遺伝子(identity-by-descent、略してIBD)分析と一致して、qpAdmの結果から、コクスアイデ標本は遺伝的に2群にクラスタ化でき、一方は高い割合のイングランド中世前期的祖先系統を、もう一方は高い割合のフランスのガリア人的祖先系統を有している、と示されます。PCAの外れ値4個体(図1)を含めて5個体(KOS001とKOS009とKOS010とKOS032とKOS038)は、2もしくは1祖先系統供給源を明示する検定において、ガリア人祖先系統の最高の割合(90%超)を示しました(図3)。注目すべきことに、PCAによる主要な祖先系統群では、個体の祖先系統の割合において高水準の変動性が見つかり、ガリア人祖先系統の割合の範囲は0~68%でした。以下は本論文の図3です。
画像


●親族関係分析

 遺伝的祖先系統の他に、コクスアイデ遺跡のような複数の埋葬墓地における共同体の構造を調べるため、親族関係分析が使用できます。埋葬が1家族集団か数家族集団に属していたのか検証するため、個体間の一致について、まず片親性で継承されるmtDNA(母系)とY染色体(父系)の遺伝標識が調べられました。調べられた30個体では23の異なるmtDNAハプロタイプが発見され、Y染色体系統も同様に高い多様性を示すことから、埋葬はエリートの1もしくは数家族を中心に配置された、との仮定的状況は反論されます。

 片親性遺伝標識で検出可能なつながりを超えて親族関係のつながりを解明し、検出された2つの異なる祖先系統群が親族関係によってつながっているのかどうか検証するため、まずREAD(Relationship Estimation from Ancient DNA、古代DNAの関係推定)で疑似半数体データ上にて不適正塩基対推定値が利用されました。分析の結果、1親等の関係の3組と2親等の関係の1組が明らかになりました(図4)。以下は本論文の図4です。
画像

 1親等の親族のうち、KOS022とKOS024はmtDNAハプロタイプとIBD2断片によって、兄と妹(弟と姉)の組み合わせと確証され、同じmtDNAハプログループ(mtHg)U4c1a系統を共有するものの、常染色体親族関係分析に含めるには網羅率が低すぎた他の2個体の近くに埋葬されていました。KOS022とKOS024は、混合祖先系統特性と、陸生食性を示唆する同位体値を有していました。他の1親等の事例には、兄弟(KOS005とKOS001)と母娘(KOS034とKOS035A)が含まれています。興味深いことに、おそらくは母親である年長の女性(KOS035A)がおもに(0.68)ガリア人祖先系統と陸生食性の同位体痕跡を有していたのに対して、【おそらくはKOS035Aの娘である】より若い女性(KOS034)のガリア人祖先系統の割合はわずかで(0.23)、主要祖先系統群の構成員とは6通りの3~7親等の親族関係を有しており、海洋性食性の同位体痕跡を示しました。

 2人の兄弟(KOS005とKOS011)も食性は海洋性で、Y染色体ハプログループ(YHg)はE2に分類され、YHg-E2は、利用可能な古代DNAの証拠によると、スペインの西ゴート(Visigoth)の埋葬の文脈でヨーロッパにおいて最初に現れます(Olalde et al., 2019)。IBD分析によりさらな確証された、2親等1組と3親等2組の親族関係にある組み合わせも検出されました(表2)。これらには、KOS012とKOS034との間の2親等の関係が含まれ、これは、たとえばオジとメイの親族関係を反映しているかもしれません。KOS012は別の男性個体KOS018とmtDNAの同一性を共有しており、KOS018はKOS018のキョウダイでKOS034父親かもしれません。父親と娘の関係はKOS034とKOS018の埋葬の地下さにより裏づけられるでしょう。KOS034はKOS018 とKOS035Aとの間に埋葬されました。KOS018の低い配列網羅率のため、この関係を遺伝学的には確証できません。

 さらに、補完されたコクスアイデ遺跡23個体においてIBISを用いて長い(7cM超)IBD共有の程度が評価され、主要祖先系統群で33組の関係が検索され、これは90%超のガリア人祖先系統を有するPCAでの外れ値4個体(図1)や、65%のガリア人祖先系統を有するKOS003における完全な欠如とは対照的です(表2)。最も高いつながりを有する個体であるKOS006は男性で、検出可能なガリア人祖先系統はなく、暴力による死亡の可能性が高いことを示唆する、死亡前後武器と関連する外傷が左上顎と頭頂骨にあります。しかし、最多数の関係を有する個体のうち男性個体が多いとは検出されず、それは、最多の関係を有する8個体のうち5個体が女性だからです。武器と関連する外傷のある別の男性個体(KOS010)は、他の被葬者との関係のない外れ値です。3親等の関係のうち2組はKOS033を含んでおり、この個体は高齢女性で、海洋性の影響の食性痕跡とおもに北海地帯祖先系統を有しており、主要祖先系統群の他の2個体は海洋性の影響の食性を示しています。KOS033はKOS013とも遠い関係(7親等)にあり、KOS013と同一のmtDNAハプロタイプJ1c7aを共有していました。

 相互と広範な遠い親族関係の結びつきを有している主要祖先系統群の個体のパターンの例外はKOS007で、この個体には検出可能なガリア人祖先系統および標本の残りとの明らかな親族関係のつながりがなく、これは、LSAIに基づく分析におけるKOS007の主要祖先系統群からの距離(図2 B)を説明します。しかし、KOS007はYHg-I1の3個体のうちの1個体で、7cM超の複数のIBD断片をイングランドのアングロ・サクソン文脈の被葬者3個体(ELY001とELY002とI16508)およびドイツのメロヴィング朝期遺跡の1個体(IND017)と共有しています。コクスアイデ遺跡で、他に共同体外個体と7cM超の複数のIBD断片を共有していた個体は存在しません。

 IBD分析で検出された遠い関係の多さが広範な近親交配と背景IBD共有により影響をうけるかもしれないのかどうか、検証するため、コクスアイデ遺跡の23個体とウルペン遺跡の6個体のゲノムにhapROH(Ringbauer et al., 2021)が適用されました。コクスアイデ個体群では近親交配の事例と長い(8cM超)断片が確認されませんでしたが、中世後期のウルペン遺跡の6個体では、1個体(WPK001A)で18cMの同型接合連続領域(runs of homozygosity、略してROH)の1個体が検出され、これは両親間の遠い関係(ミイトコ/ヨイトコ)を示唆しているかもしれません。これらの結果から、コクスアイデ個体群の主要祖先系統群における遠い関係の多さと複雑さは、小さな有効人口規模もしくは近親交配に起因する広範な背景IBD共有の繁栄ではない、と示唆されます。


●健康と表現型の情報をもたらす多様体の分析

 コクスアイデ個体群における116ヶ所の選択された一塩基多様体(Single Nucleotide Variant、略してSNV)の頻度が、食性や免疫応答や病原体への耐性や色素沈着の表現型が対で、フランス鉄器時代35個体の補完されたゲノム(Fischer et al., 2022)、北海地域の中世前期248個体のゲノム(Gretzinger et al., 2022)、GoNLおよびMinEデータから得られたオランダとベルギーの現代人のゲノムの参照データと比較されました。複数の検定補正後、合計で10個の多様体が有意性を保持し、それにはLP(乳糖分解酵素活性持続)2個、ハンセン病と関連する1個、セリアック疾患と関連する1個、より明るい色の目や髪や皮膚の色素沈着と関連する6個が含まれます。

 調べられた多様体のうち、コクスアイデ遺跡の主要祖先系統群と低地諸国現代人との間で有意な違いを示したものはありませんでした。全ての色素沈着関連SNVとLP関連SNVを含む8個の多様体は、中世前期イングランド個体群とコクスアイデ個体群とオランダおよびベルギーの現代人のゲノムでは、鉄器時代フランス個体群と比較してより高い頻度を示しました。qpAdm検定により最高の割合(0.9超)を有するガリア人祖先系統外れ値5個体(KOS001とKOS009とKOS010とKOS032とKOS038)は、鉄器時代フランス個体群と類似したアレル頻度を示しました。注目すべきことに、ハンセン病(rs3135388)およびセリアック疾患(rs2395182)と関連するSNVの事例では、高い割合のcNSz祖先系統を有する中世前期イングランド個体群のゲノムは、低地諸国の現代人および古代人のゲノムよりも高い頻度の危険性アレルを有していました。


●考察

 大きな遺伝的変化が、北海沿岸および北海を横断して、西ローマ帝国の変容中およびその後に展開しました。先行研究(Gretzinger et al., 2022)では、イングランドのアングロ・サクソン期被葬者において3/4以上は大陸部の遺伝的祖先系統を有していた、と示されました。同様に、現在のベルギーとなるフランドルのコクスアイデ遺跡のメロヴィング朝期被葬者の本論文の分析は、イングランドおよびオランダの中世前期個体群のゲノムと共有される主要な祖先系統構成要素と、それ以前のガリア人祖先系統にたどれるかもしれないより低い割合の祖先系統構成要素を明らかにしました。同時代のイングランドおよびオランダの個体群のゲノムを有するコクスアイデ個体群の大半のクラスタ化から、中世前期北海地帯におけるNSzへのかなりの変化は、ブリテン諸島だけではなく、北海の難文にも特徴的だった、と示唆されます。

 コクスアイデ遺跡被葬者の大半はイングランド東部およびオランダの中世前期個体群のゲノムとクラスタ化し、それには口にフリジアのシャット硬貨を咥えて埋葬された男性1個体(KOS012)が含まれます。シャット硬貨は、北海沿岸周辺の主要な交易集落をつなぐ、7世紀後半の長距離交易網の強化を反映しています。興味深いことに、おもにガリア人祖先系統の外れ値群のうち、フランス北部で最も一般的に発見される腓骨のある1個体(KOS009)が見られます。これら2個体の事例から、副葬品は死者の遺伝的祖先系統および帰属意識と関連していたかもしれない、と示唆されます。注目すべきことに、これら2祖先系統の個体はともに埋葬されており、母親と娘の組み合わせ(KOS034とKOS035A)の発見は、両祖先系統間の継続的混合を示しています。7世紀におけるフランドル沿岸地域の局所的状況では、さまざまな背景の集団と個体群の到来は、ほぼ完全に空白の塩性湿地帯へのローマの拡大後の開拓の文脈で具体的に理解でき、こうした空白の塩性湿地帯はこの期間に次第に堆積していきました。

 現在のベルギーとなるフランドルの中世前期遺跡群のうち、沿岸部のコクスアイデ遺跡と内陸部のシント=トロイデン遺跡の個体群間には明確な違いがあり、後者はNSzクラスタとの低い類似性を示します(図2D)。鉄器時代とローマ期において火葬慣行が一般的で、中世前期以前の期間の遺伝的証拠が不足しており、フランドル沿岸地域の中世前期埋葬が少なかったため、メロヴィング朝期の埋葬に関する本論文の分析は、NSz祖先系統がいつフランドル沿岸地域にもたらされたのかについて、直接的には回答できません。NSz物質文化における変化パターンの考古学的分析から、イングランド東部とオランダのフリースラント(Friesland)州とフランドル沿岸の間で共有されている文化的現象の基盤は、3~5世紀にたどることができる、と示唆されています。6世紀までに、この多様性は明確な地域的伝統へと明確になりました。LSAI共有の強度における中世前期集団間の違いの観察(図2D)により、この見解への裏づけが見つかりますが、これらの違いは一次的で、現代の人口集団における地域的違いのパターンには反映されていないように、中世盛期および後期においてさらに変化したことも分かりました。

 コクスアイデ遺跡被葬者における遠い親族関係のつながりの交流網が明らかになりましたが、コクスアイデ遺跡の個体群と調べられた他の同時代のNSz共同体との間の密接な親族関係を見つけることはできませんでした。親族関係のつながりを介した第1世代の移民の検出能力は、広範な標本抽出に依存するので、その欠如は、このメロヴィング朝期の共同体において個人の生涯を通じて移動性がなかった証拠を構成しません。コクスアイデ遺跡被葬者の複数の同位体調査は、安定同位体データから得られた移動性に関する推測の困難を浮き彫りにしており、それは被葬者の大半の同位体値が広範な沿岸部供給源の同位体地と一致したからですが、酸素同位体値は、(1)ベルギー外の起源地、おそらくはポルトガルかウェールズかアイルランドの大西洋沿岸地域からの子供期の後のコクスアイデ個体群の移動性と、(2)基準からの違いが地元の酸素同位体値の多様性を反映している、ということを示唆しました。

 被葬者が地元出身と分かっているウルペン遺跡からの本論文の追加の酸素同位体データは、基準よりずっと高いδ¹⁸O値を示します。同位体データは、コクスアイデ遺跡とウルペン遺跡が時空間的に離れているにも関わらず、両遺跡での予測よりも高いδ¹⁸O値を反映しています。遺伝的証拠と組み合わせると、これは、規模と程度が不明な北海盆内南内の地域が高いδ¹⁸O値により特徴づけられる、という説明を裏づけます。同様に高いδ¹⁸O値は広範な地理的範囲にわたって観察できるので、一方でこれらは、北海沿岸地域からのコクスアイデ個体群の移動性と必ずしも一致しないわけではありません。一方で、本論文の遺伝学的結果は、コクスアイデ個体群と類似したδ¹⁸O値がある大西洋沿岸地位からの祖先系統を除外します。したがって、同位体と遺伝学のデータからの証拠と組み合わせると、長距離移住との仮定的状況は除外できますが、局所的な移動性との仮定的状況は除外できません。

 高水準のmtDNAとY染色体多様性と、常染色体親族関係分析における比較的少数の1~3親等の関係と、2つの祖先系統群の存在と、混合個体群の組み合わされた証拠から、コクスアイデ遺跡被葬者は小さな孤立した家族的集団もしくは選ばれたエリートではなく、より大きな共同体を表している、と示唆されます。長いROHの欠如は、どちらかの祖先系統群における極度に小さな人口規模と、および共同体で近親交配が一般的だった、との仮定的状況に反します。本論文の小さな標本規模により、弱いもしくは中程度の差異の検出能力は限定的ですが、本論文の分析は、被葬者間の祖先系統と親族関係におけるきょくたんな性別固有の偏りを除外できます。

 男性個体の弱い過剰(30個体のうち19個体)以外では、性別による祖先系統群への個体のクラスタ化に偏りは見つからず、広範な親族関係の結びつきにも関わらず、埋葬における単一の父系もしくは母系の優勢を示すエリート埋葬(Rivollat et al., 2022)に特徴的な家系は見つかりません。死亡前後の頭部への武器と関連する外傷がある男性個体KOS006には、検出可能なガリア人祖先系統がなく、他の標本抽出された8個体との、集団で最も多い数の親族関係の結びつきがあります。しかし、個体KOS006の他の被葬者との親族関係の結びつきは、常染色体で継承された遺伝標識のみで定義されており、そのmtHg-H39bはコクスアイデ墓地において唯一の系統で、その最も近いY染色体の「親族」である外れ値個体KOS032は、90%超のガリア人祖先系統を有しており、その誕生の50世代以上前の可能性が高い、YHg-R1b1a1b1a1a1b1a(Z372)で、KOS006と共通のY染色体祖先を有しています。

 コクスアイデ個体群のゲノムはウルペン個体群のゲノムと局所的に高いLSAI共有を示した、との本論文の調査結果は、メロヴィング朝期から中世盛期にかけての局所的な遺伝的連続性を示唆します。この証拠は、コクスアイデ共同体を失敗した移民集団とみなすことができる、との仮定的状況に反します。コクスアイデ個体群と現代の人口集団との間のLSAI共有は、さまざまなベルギーとオランダの諸州およびイングランドの現代の人口集団と同様に高かったものの、現在のオランダの東西のフリースラント州におけるウルペン個体群へのLSAI共有の局所的頂点の兆候が見つかり、これは、局所的な人口構造のパターンの変化が、中世盛期以降に比較的少なかったことを示唆しています。しかし、コクスアイデ遺跡とウルペン遺跡両方の個体群は、中世前期のシント=トロイデン遺跡の個体群と比較的低いLSAI共有を示しており、それは、これらの違いが現在の人口集団における違いを正確には反映していないかもしれないとしても、中世前期ベルギーの遺伝子プールの局所的な異質性の存在を浮き彫りにします。

 遺伝学とストロンチウム両方データは、コクスアイデ遺跡内の異質性を特定し、KOS009とKOS032とKOS001を含む外れ値個体の顕著な重複があります。これらの外れ値個体は、多様な内陸部起源地からの移動を示唆する、ストロンチウム同位体値を有しています。そのqpAdmでの遺伝的モデル化は、90%超のガリア人祖先系統を示します。KOS001は埋葬の向きの観点でも外れ値で、東方を向いていない唯一の個体です。KOS001を除いて、ガリア人祖先系統を有する個体は陸生食性の同位体痕跡を有していましたが、主要な祖先系統群はおもに海洋性の影響の食性を有していました。したがって、祖先系統は、δ¹³Cおよびδ¹⁵N値により識別される食性群を説明でき、この説明は同位体結果だけではできませんでした。しかし、共同体が混合していたかもしれないながらも、その食性は同位体で観察可能に有意に充分なほど同化していなかったのは、興味深いことです。

 注目すべきことに、90%超のガリア人祖先系統と陸生食性を有する外れ値5個体のうち4個体(KOS009とKOS010とKOS032とKOS038)は高水準の力学的圧力と外傷のある個体群のように、骨学的分析によっても浮き彫りになり、それには、個体KOS009における疾患の兆候や、個体KOS010およびKOS038における成長期に特有ではない圧力の証拠(眼窩篩やエナメル質形成不全の形で)が含まれます。一方で、現在のドイツのメロヴィング朝期遺跡からの調査結果とは対照的に、本論文のメタゲノム検査からは、コクスアイデ個体群において感染性媒体の大規模な存在も同時感染の兆候も検出されませんでした。しかし、これが病原体の少なさか、保存の問題か、標本抽出された組織か、病原体の種類に起因するのかどうか、判断は困難です。

 遺伝学と同位体と骨学の分析結果を組み合わせると、コクスアイデ共同体は社会的に構造化されており、その中核ではNSz祖先系統を有する個体群が支配していたものの、同時に地元の内陸起源地からの移住に開かれていた、という可能性が示されます。これは、中世前期共同体に関する現在の考古学および歴史地理学の理解と一致します。表現型の情報をもたらす遺伝子標識の分析では、コクスアイデ遺跡の主要群とフランス鉄器時代個体群のゲノム間の、6個数色素沈着多様体と2個のLP多様体におけるかなりのアレル頻度の違いが観察されました。

 90%超のガリア人祖先系統を有するコクスアイデ遺跡の外れ値5個体は、フランス全域の個体群を結びつける、本論文においてより広い意味でガリア人の代理として用いられたフランス鉄器時代集団と類似したアレル頻度を示しましたが、コクスアイデ遺跡の主要な祖先系統群は、低地諸国を含めて、現在の北海地域個体群と類似した頻度を示しました。これらの多様体には、ヨーロッパにおける正の選択の最も強い標的が含まれますが(Mathieson et al., 2015)、本論文の結果から、一方のコクスアイデ遺跡の主要群と、もう一方のコクスアイデ遺跡の外れ値個体およびフランス鉄器時代個体群との間のこれらの、アレル頻度の違いは、局所的適応ではなく祖先系統の変化によって引き起こされた可能性が高い、と示唆されます。

 祖先系統の割合の全範囲を表す個体群の存在と、かなりの祖先系統の違いを有する母親と娘の組み合わせを考えると、コクスアイデ遺跡の被葬者は、この祖先系統の融合が起きつつあった時点の断片を表している可能性が高そうです。大規模な遺伝子流動事象期における機能的多様体のアレル頻度変化は以前に報告されており、より明るい色の目と髪の色素沈着と関連する多様体は、スカンジナビア半島のヴァイキング時代には、本論文での観察とは逆の傾向を示します(Margaryan et al., 2020)。高いLPアレル頻度を示すコクスアイデ遺跡の主要な祖先系統群が、陸生食性ではなく顕著に海洋性食性を有していたことも、注目に値します。


参考文献:
Amorim CEG. et al.(2018): Understanding 6th-century barbarian social organization and migration through paleogenomics. Nature Communications, 9, 3547.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-06024-4
関連記事

Fischer CE. et al.(2022): Origin and mobility of Iron Age Gaulish groups in present-day France revealed through archaeogenomics. iScience, 25, 4, 104094.
https://doi.org/10.1016/j.isci.2022.104094
関連記事

Gretzinger J. et al.(2022): The Anglo-Saxon migration and the formation of the early English gene pool. Nature, 610, 7930, 112–119.
https://doi.org/10.1038/s41586-022-05247-2
関連記事

Haak W. et al.(2015): Massive migration from the steppe was a source for Indo-European languages in Europe. Nature, 522, 7555, 207–211.
https://doi.org/10.1038/nature14317
関連記事

Margaryan A. et al.(2020): Population genomics of the Viking world. Nature, 585, 7825, 390–396.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2688-8
関連記事

Mathieson I. et al.(2015): Genome-wide patterns of selection in 230 ancient Eurasians. Nature, 528, 7583, 499–503.
https://doi.org/10.1038/nature16152
関連記事

Olalde I. et al.(2019): The genomic history of the Iberian Peninsula over the past 8000 years. Science, 363, 6432, 1230-1234.
https://doi.org/10.1126/science.aav4040
関連記事

Ringbauer H, Novembre J, and Steinrücken M.(2021): Parental relatedness through time revealed by runs of homozygosity in ancient DNA. Nature Communications, 12, 5425.
https://doi.org/10.1038/s41467-021-25289-w
関連記事

Rivollat M. et al.(2022): Ancient DNA gives new insights into a Norman Neolithic monumental cemetery dedicated to male elites. PNAS, 119, 15, e2120786119.
https://doi.org/10.1073/pnas.2120786119
関連記事

Sasso S. et al.(2024): Capturing the fusion of two ancestries and kinship structures in Merovingian Flanders. PNAS, 121, 27, e2406734121.
https://doi.org/10.1073/pnas.2406734121

この記事へのコメント