ヌタウナギのゲノムと脊椎動物の進化
ヌタウナギのゲノムと脊椎動物の進化に関する研究(Marlétaz et al., 2024)が公表されました。ヌタウナギ類とヤツメウナギ類は、現存する唯一の無顎類系統として、脊椎動物の初期進化を探るためのきわめて重要な手がかりを提供します。本論文は、クロヌタウナギ(Eptatretus atami)の染色体規模のゲノム塩基配列を用いて、脊椎動物の全ゲノム重複およびプログラムされたDNA除去の複雑な歴史と時期と機能的役割を調べました。
本論文は、シンテニー解析と系統発生学的解析から得られた証拠を組み合わせることで、カンブリア紀前期における円口類と顎口類の分岐に先行する同質四倍体化(1Rv)、それに続くカンブリア紀中期~後期における顎口類の異質四倍体化(2RJV)、さらにカンブリア紀からオルドビス紀の長期にわたる円口類の六倍体化(2RCY)といった、脊椎動物のゲノム進化の全体像を明らかにしました。六倍体化の後、ヌタウナギ類のゲノムには大規模な変化が生じて、染色体融合とともに、器官系にきわめて重要な遺伝子(たとえば、眼の発生や破骨細胞の増殖に関与する遺伝子)の喪失が起きました。この変化は、ヌタウナギ類のボディープランが単純化する一因となっています。
さらに、ヌタウナギのプログラムされたDNA除去について調べたところ、発生の初期に体細胞系譜から除去されるタンパク質コード遺伝子や反復配列が見いだされました。こうした生殖細胞系列に特異的な遺伝子の除去は、生殖細胞系列と多能性の機能を抑制することによって、体細胞と生殖細胞との遺伝的対立を解消する仕組みをもたらしており、これは、ヤツメウナギ類で得られている知見とも類似します。脊椎動物の初期ゲノム史を復元することは、円口類と有顎脊椎動物の進化をさらに調べるための枠組みを提供します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:ヌタウナギのゲノムと脊椎動物の進化
進化学:ヌタウナギのゲノムで脊椎動物の初期進化を探る
現存する無顎類系統はヌタウナギ類とヤツメウナギ類のみである。今回、クロヌタウナギ(Eptatretus atami)のゲノムが染色体規模で明らかにされ、脊椎動物進化の理解に役立つ重要な手掛かりがもたらされた。
参考文献:
Marlétaz F. et al.(2024): he hagfish genome and the evolution of vertebrates. Nature, 627, 8005, 811–820.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07070-3
本論文は、シンテニー解析と系統発生学的解析から得られた証拠を組み合わせることで、カンブリア紀前期における円口類と顎口類の分岐に先行する同質四倍体化(1Rv)、それに続くカンブリア紀中期~後期における顎口類の異質四倍体化(2RJV)、さらにカンブリア紀からオルドビス紀の長期にわたる円口類の六倍体化(2RCY)といった、脊椎動物のゲノム進化の全体像を明らかにしました。六倍体化の後、ヌタウナギ類のゲノムには大規模な変化が生じて、染色体融合とともに、器官系にきわめて重要な遺伝子(たとえば、眼の発生や破骨細胞の増殖に関与する遺伝子)の喪失が起きました。この変化は、ヌタウナギ類のボディープランが単純化する一因となっています。
さらに、ヌタウナギのプログラムされたDNA除去について調べたところ、発生の初期に体細胞系譜から除去されるタンパク質コード遺伝子や反復配列が見いだされました。こうした生殖細胞系列に特異的な遺伝子の除去は、生殖細胞系列と多能性の機能を抑制することによって、体細胞と生殖細胞との遺伝的対立を解消する仕組みをもたらしており、これは、ヤツメウナギ類で得られている知見とも類似します。脊椎動物の初期ゲノム史を復元することは、円口類と有顎脊椎動物の進化をさらに調べるための枠組みを提供します。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:ヌタウナギのゲノムと脊椎動物の進化
進化学:ヌタウナギのゲノムで脊椎動物の初期進化を探る
現存する無顎類系統はヌタウナギ類とヤツメウナギ類のみである。今回、クロヌタウナギ(Eptatretus atami)のゲノムが染色体規模で明らかにされ、脊椎動物進化の理解に役立つ重要な手掛かりがもたらされた。
参考文献:
Marlétaz F. et al.(2024): he hagfish genome and the evolution of vertebrates. Nature, 627, 8005, 811–820.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07070-3
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