大河ドラマ『光る君へ』第16回「華の影」

 今回は、朝廷権勢の絶頂にある中関白家の様子を中心とした構成でした。本作では中関白家が比較的詳しく描かれており、その後の急速な没落を印象づけるための構成でもあるのでしょう。陳腐と難癖をつけることもできそうですが、脚本とともに演出もなかなか上手く、中関白家の描写はなかなか楽しめています。今回は『枕草子』の有名な香炉峰の雪の逸話が描かれ、文字で読むと嫌味な感もありましたが、映像では意外と爽やかな印象を受けました。これは、一条天皇と中宮定子が爽やかな人物として描かれているからでしょうか。

 藤原隆家は今回が成人役の初登場となります。本作がどこまで描かれるのか、紫式部(まひろ)の没年が不明なだけに、現時点では予測の難しいところですが、準主人公とも言うべき藤原道長(三郎)と同じ頃までは生きていることになるかもしれません。そうすると、刀伊の入寇での隆家の活躍も描かれそうです。藤原伊周も軽率なところがありますが、弟の隆家はさらに軽率な印象を受け、後年の長徳の変は説得力のある描写となりそうです。

 父の藤原兼家から後継者に指名されず、自暴自棄になっていた藤原道兼は、前回、弟の道長に奮起を促され、立ち直ったというか開き直り、成長した感もあり、やや意外な展開でした。道兼の成長と決断が、紫式部と道長の再会につながったわけですが、公卿の道長が紫式部を直接看病したのは、やりすぎだったようにも思います。ただ、紫式部と道長の深い関係は本作の主軸なだけに、必要な展開だったのかもしれません。この紫式部と道長の深い関係とともに、源倫子の鋭い感が今後の展開とどう関わってくるのか、注目されます。

この記事へのコメント