大河ドラマ『光る君へ』第15回「おごれる者たち」

 今回は表題の通り、中関白家の驕りが描かれました。とくに藤原道隆はすっかり慢心している感があり、公卿の反感を買っていることが描かれ、それが中関白家の没落につながる、という展開になるのでしょうか。まあ、中関白家の隆盛が長く続かないことを多くの視聴者は知っているでしょうが、大まかな流れは分かっていても、驕りからの転落が作劇において効果的であることは確かで、中関白家の驕りもさほど不快に思わないどころか、かえって同情さえする視聴者も少なくないかもしれません。とくに定子は、明るく清らかな人物として描かれており、中関白家の転落を目の当たりにして、若くして死ぬわけですから、本作では上位人気となりそうです。その定子に清少納言(ききょう)が仕えることになり、清少納言が定子に忠誠を尽くし、『枕草子』で定子を絶賛する展開への布石なのでしょう。

 父の藤原兼家から後継者に指名されず、自暴自棄になっていた藤原道兼に奮起を促したのは、道長でした。道長は子供の頃より道兼とは険悪な仲でしたが、それでも道兼を諭したのは、道長の現時点での清らかさや優しさの顕れと考えるべきでしょうか。史実から考えると、そうした道長もやがて父の兼家のような権力亡者になりそうですが、紫式部(まひろ)との深い精神的つながりのある本作の道長は、単なる権力亡者ではなく、もっと深い人物として描かれるのかもしれず、そうだとすると、これも本作の見どころになりそうです。道長と道隆の対立や、道隆の嫡男である藤原伊周と道長の因縁など、他にも今後の布石が描かれており、今後も楽しみです。

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