マルハナバチの社会的学習
マルハナバチの社会的学習に関する研究(Bridges et al., 2024)が公表されました。文化とは、社会的に学習され集団内で経時的に維持される行動を指します。動物の文化にも、ヒトの文化のように累積的で、過去の新機軸に立脚する連続的な新機軸を特徴とするものがある、と示唆する証拠が増えています。しかし、ヒトの累積的な文化に関わる行動はあまりに複雑で、それらはいかなる個体でも一生の間に単独で発見できる能力を超えています。本論文が把握している限りでは、これまでこの現象を無脊椎動物で実証した研究はありません。
本論文は、マルハナバチが、単独では新規の2段階問題箱を開けて報酬の餌を得られなくても、訓練を受けた実演個体からの学習によって箱を開け、餌を得られる、と示します。実演個体の訓練では、報酬のない1段階目の課題の遂行には、この動作に結び付けた一時的な報酬を与える必要がありましたが、この報酬はその後の訓練では取り除かれました。これに対して、未訓練の観察個体の1/3は、1段階目の課題の後で報酬を全く与えなくても、実演個体から学習して2段階問題箱を開けることができました。
これは、社会的学習が、複雑過ぎて各個体の学習では「再獲得」できない行動の習得を許容しているかもしれない、と示唆しています。さらに、未訓練の個体は、最長24日間という長期にわたって問題箱と向き合っても、それを開けることはできませんでした。本論文の調査結果は、個体の試行錯誤では新たに獲得することのできない行動を社会的に学習する能力はヒトに特有のものであるという、この分野の通説に異を唱えるものです。社会的学習の進化的基盤という点でも、たいへん注目される研究です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:マルハナバチは複雑過ぎて単独では新たに獲得できない行動を社会的に学習する
進化学:マルハナバチも社会的学習を行う
今回、マルハナバチで行った実験で、未訓練の個体は単独では2段階問題箱を開けられないが、訓練を受けた別の実演個体からの学習を通して、それを開けられるようになることが示された。これは、社会的学習の証拠であり、文化の伝達を示す可能性もある。
参考文献:
Bridges AD. et al.(2024): Bumblebees socially learn behaviour too complex to innovate alone. Nature, 627, 8004, 572–578.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07126-4
本論文は、マルハナバチが、単独では新規の2段階問題箱を開けて報酬の餌を得られなくても、訓練を受けた実演個体からの学習によって箱を開け、餌を得られる、と示します。実演個体の訓練では、報酬のない1段階目の課題の遂行には、この動作に結び付けた一時的な報酬を与える必要がありましたが、この報酬はその後の訓練では取り除かれました。これに対して、未訓練の観察個体の1/3は、1段階目の課題の後で報酬を全く与えなくても、実演個体から学習して2段階問題箱を開けることができました。
これは、社会的学習が、複雑過ぎて各個体の学習では「再獲得」できない行動の習得を許容しているかもしれない、と示唆しています。さらに、未訓練の個体は、最長24日間という長期にわたって問題箱と向き合っても、それを開けることはできませんでした。本論文の調査結果は、個体の試行錯誤では新たに獲得することのできない行動を社会的に学習する能力はヒトに特有のものであるという、この分野の通説に異を唱えるものです。社会的学習の進化的基盤という点でも、たいへん注目される研究です。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
進化学:マルハナバチは複雑過ぎて単独では新たに獲得できない行動を社会的に学習する
進化学:マルハナバチも社会的学習を行う
今回、マルハナバチで行った実験で、未訓練の個体は単独では2段階問題箱を開けられないが、訓練を受けた別の実演個体からの学習を通して、それを開けられるようになることが示された。これは、社会的学習の証拠であり、文化の伝達を示す可能性もある。
参考文献:
Bridges AD. et al.(2024): Bumblebees socially learn behaviour too complex to innovate alone. Nature, 627, 8004, 572–578.
https://doi.org/10.1038/s41586-024-07126-4
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