鉄器時代以降のヨーロッパの安定した人口構造

 ヨーロッパの歴史時代の人類遺骸から得られた新たなゲノムデータを報告した研究(Antonio et al., 2024)が公表されました。本論文は、ヨーロッパと地中海地域の歴史時代の人類遺骸から得られた新たなゲノムデータを既知のゲノムデータとともに分析し、ユーラシア西部において歴史時代には人類の高い移動性が見られるものの、ユーラシア西部全域での全体的な人口構造は、歴史時代から現在まで比較的安定していることを示します。この見解は、ユーラシア西部の先史時代の大規模なヒトゲノムデータを報告し、青銅器時代にユーラシア西部ではさらに遺伝的均一化が進展し、ユーラシア西部人類集団における東西の境界が消滅した、と示した最近の研究(Allentoft et al., 2024)と整合的です。

 本論文では、こうした現象の一因として、ローマ帝国による労働や軍隊などへの人々の導入が挙げられており、最近、その一例であるサルマティア人兵士のブリテン島への配置を裏づけることになるかもしれない、古代ゲノム研究が公表されています(Silva et al., 2024)。この記事では、本論文で参照されている先行研究のうち、当ブログで取り上げたものも文末に参考文献として提示します。なお、本論文における時代区分は、中石器時代および新石器時代(紀元前10000~紀元前3500年頃)→銅器時代(紀元前3500~紀元前2300年頃)→青銅器時代(紀元前2300~紀元前1000年頃)→鉄器時代(紀元前1000年頃~紀元後元年頃)→ローマ帝政期および古代末期(1~700年頃)→中世および近世(700~1900年頃)→現在(1900年頃以降)です。


●要約

 過去10年間の古代DNA研究では、ヨーロッパの人口構造は先史時代(14000~3000年前頃)に劇的に変わっており、新石器時代農耕民および青銅器時代草原地帯祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)の広範な導入を反映している、と明らかにされてきました。しかし、人口構造が歴史時代以降(3000年前頃から現在まで)どのように変化したのかについて、ほとんど分かっていません。

 この問題に取り組むため、ヨーロッパと地中海の204個体から全ゲノムが収集され、その多くは各地域の最初の歴史時代のゲノムです(たとえば、アルメニアやフランス)。ほとんどの地域は顕著な個体間の不均一性を示す、と分かりました。歴史時代の個体の少なくとも7%は、標本抽出された地域では稀な祖先系統を有しており、一部は地中海を横断する接触を示唆しています。この高水準の移動性にも関わらず、ユーラシア西部全域での全体的な人口構造は歴史時代を通じて現在まで比較的安定しており、地理を反映しています。

 局所的な任意交配での標準的な集団遺伝学的モデル下では、観察された拡散の水準は人口構造の崩壊につながるだろう、と示されます。したがって、持続的人口構造は、観察された拡散により示唆されるよりも低い有効移動率を示唆しています。この現象は、大きく改善された輸送網と交易や労働や軍隊へのローマ帝国による人々の動員から生じた、広範な一過性の拡散により説明できる、と仮定されます。本論文は、最近の歴史におけるより詳細な規模の人口集団の動態を解明するうえでの、古代DNAの有用性を浮き彫りにします。


●研究史

 古代DNAの配列決定は、人口史に関する以前には未解決だった問題への計り知れない洞察を提供してきました。当初、配列決定の試みは、文字記録のない先史時代における主要な祖先系統群と移行の特定に焦点が当てられました。最近では、古代DNA標本抽出はより新しい期間にまで拡張され、よく研究されている歴史的記録とともに遺伝的データを用いて、人々の移動の研究が可能になりました。しかし地域間の遺伝的不均一性や相互作用を含めて、歴史時代の遺伝的構造の包括的評価が不足しています。歴史時代の遺伝学の統合は、歴史時代から現在までのヨーロッパおよび地中海の人口構造の発展のより深い理解に役立つでしょう。

 先史時代の古代ゲノムは、先史時代のユーラシア西部らおける2回の主要な人口統計学的移行にまたがる、人々と技術の移動の解明を可能としてきました。それは、まず紀元前7500年頃の農耕への移行(Lazaridis et al., 2014)と、その後の紀元前3500年頃となる青銅器時代草原地帯からの移住(Haak et al., 2015)です。世代を経て、ユーラシア西部全域で遺伝的分化した人々が集まり、混合しました。結果として、ほとんどのヨーロッパ現代人のゲノムは、これら先史時代集団の3方向混合としてモデル化できます。それは、ヨーロッパ西部狩猟採集民(Western Hunter-Gatherer、略してWHG)と新石器時代農耕民と草原地帯から到来した青銅器時代牧畜民で(Haak et al., 2015、Lazaridis et al., 2014)、他集団からのわずかな寄与があります(Antonio et al., 2019、Fernandes et al., 2020、Lazaridis et al., 2016、Mathieson et al., 2018)。これらの祖先系統構成要素はユーラシア西部全域においてさまざまな割合で存在し、ヨーロッパの遺伝的構造がその地理を反映しているパターンにつながります。

 ユーラシア西部現代人の主要な祖先系統構成要素が青銅器時代末までにほぼ確立されたことを考えると、どのように、どのような類の人口統計学的過程が、青銅器時代末から現在までの過去3000年間ユーラシア西部人の遺伝的構成に影響を及ぼしたのか、不明です。個々の地域から得られた歴史時代のゲノムに関する最近の研究はこの問題に光を当てており、安定した人口構造ではなく、不均一性と移動性の全体像を描いています。ローマ市に限定しても、鉄器時代から帝政ローマ期(紀元前27~紀元後300年頃)を通じて人口集団は動的で、ヨーロッパおよび地中海全域の祖先系統の大きな多様性を有していました(Antonio et al., 2019)。イベリア半島から得られた歴史時代のゲノムも、地中海全域からの遺伝子流動を浮き彫りにします(Olalde et al., 2019)。

 これらの地域的報告は、考古学的および歴史的な記録とよく一致します。鉄器時代までに、海での旅はすでに一般的で、地中海全域の人々は交易のため接触できるようになりました。その後、ローマ帝国はその組織と労働力と軍事力を活用し、ヨーロッパ全域に既存の航路と道路を県背室、歴史時代においてやいいつとなる地中海の統合を築きました。ローマ帝国は移動手段だけではなく、個人が移動する理由も提供しました。ローマ帝国の発展活動は、大まかに軍事と労労働と交易に分類され、人々と資源をローマ帝国内外から引き込みました。

 本論文は、ヨーロッパおよび地中海全域の歴史時代の新たな204個体のゲノムを配列決定し、不均一で遊動的な人口のこれら地域的報告により示唆される遺伝的景観への、ローマ帝国の影響をより包括的に調べます。歴史時代のユーラシア全域の個体間の遺伝的類似性の分析により、この期間における個体の移動を定量化できました。集団遺伝学的模擬実験に基づいて、人口構造が頻繁な個人の拡散に直面してどのように維持され得るのか、可能性のある説明が調べられます。


●ヨーロッパと地中海の歴史時代の新たな204個体のゲノム

 ヨーロッパと地中海にまたがる18ヶ国の53ヶ所の遺跡で発見された204個体から全ゲノムが収集され(図1)、そのうち26個体は最近報告されました。この収集物には、現在のアルメニアとアルジェリアとオーストリアとフランスからの最初の歴史時代(鉄器時代とその後、つまり紀元前1000年頃以降)のゲノムが含まれます。126点の標本の年代は、放射性炭素年代測定を通じて直接的に決定され、残りの標本の年代推定のため、その考古学的文脈とともに用いられました。以下は本論文の図1です。
画像

 DNAは、錐体骨の粉末化された蝸牛部分(203点)もしくは歯(1点)から抽出されました。ライブラリはウラシルDNAグリコシラーゼ(uracil-DNA glycosylase、略してUDG)で部分的に処理され、古代DNA損傷パターンと高い内在性含有量と低い汚染のため検査されました。中央値の深度0.92倍(0.16~2.38倍)で、全ゲノム配列決定が実行されました。

 公開データとの下流統合のため、疑似半数体遺伝子型が124万の一塩基多型(Single Nucleotide Polymorphism、略してSNP)で呼び出され(Mathieson et al., 2015)、標本1点あたり中央値で685058ヶ所のSNP(167000~1029345)が得られました。現代人2033個体のゲノム、先史時代の1998個体のゲノム、歴史時代の刊行されている764個体のゲノム(Clemente et al., 2021、Pagani et al., 2016、Saupe et al., 2021、Žegarac et al., 2021)と合わせて、新たに報告されるゲノムが分析されました。ゲノムは地域と期間により分類され(図1)、主成分分析(principal component analysis、略してPCA)とqpAdmモデル化を用いて分析されました。


●局所的な歴史時代の人口構造は地域によって異なります

 歴史時代の人口構造を調べるため、データは14ヶ所の地理的地域に分類され、歴史時代は3期間にさらに区分されました。それは、鉄器時代(紀元前1000年頃~紀元後元年頃)とローマ帝政期および古代末期(1~700年頃)と中世および近世(700~1900年頃)です。次に、(1)現代人のゲノムPCA空間(図2)への投影の差異と、(2)qpAdmおよびある地域内の経時的なクラスタ化により特定された遺伝的集団と、(3)遺伝的集団の混合モデル化の調査により、これら時空間的集団内の個体間の不均一性が特徴づけられました。以下は本論文の図2です。
画像

 大半の地域には、歴史時代の少なくとも1期間では高度に均一な人口が存在します(図2)。これは、PCAにおける視覚的な拡大と、qpAdmでの対でのモデル化に基づく個体群の遺伝的に明確なクラスタ(まとまり)の両方により示されます(Haak et al., 2015)。歴史時代に存在する各地域内の10個の遺伝的クラスタが特定され、少なくとも2個、最大で23個となります。遺伝的に類似した標本でまとめて文明すると、qpAdmを用いて対称のクラスタでの混合モデル化を実行したさいの個体水準の分析と比較して、より多くの検出力が得られます。

 地域的な事象は、歴史時代の人口構造のさまざまなパターンを明らかにします。たとえばアルメニアでは、人口集団はどの期間でも高度に均一です(図2)。銅器時代の後に、2個の異なる遺伝的クラスタが存在し、紀元前772~紀元前403年頃の時間的分割により分離されます(図2B・C)。初期クラスタ(図2CのC1)には、ベニアミン(Beniamin)遺跡の新たに報告された標本5点と、他の5ヶ所の遺跡の刊行されている標本6点が含まれます。このクラスタは、既存のデータを用いると、祖先系統の単一供給源によりモデル化できません。後期クラスタクラスタ(図2CのC3)は、ベニアミン遺跡の新たに報告された標本12点を含んでおり、年代は紀元前403~紀元後500年頃で、クルド人2個体を除いて現在のアルメニア人と遺伝的に類似しています(図2C)。この分割にも関わらず、アルメニアの初期と後期のクラスタ間での部分的な連続性の証拠があり、後期クラスタ(図2CのC3)は初期クラスタ(図2CのC1)の約50%と草原地帯祖先系統の追加の供給源を用いてモデル化できます。ヨーロッパ北部の歴史時代のゲノム、とくにリトアニアとポーランドの新たに報告されたゲノムは、同様の水準の均一性を示します(図2)。

 アルメニアの人口集団の均一性とは対照的に、イタリアやヨーロッパ南東部やヨーロッパ西部を含む大半の地域では、顕著に異質な人口集団が存在しました。新たに収集された標本は、現在の近東人口集団との類似性がある人口の大きな割合を含めて、ローマにおける高度な不均一性という以前の調査結果(Antonio et al., 2019、Posth et al., 2021)を補強します。興味深いことに、ローマ帝政期と古代末期におけるヨーロッパ南東部とヨーロッパ西部の個体群も、現在のイタリアと同等の高い不均一性を示します(図3および図4)。以下は本論文の図3です。
画像

 さらに、これらの祖先系統は地域を横断して共有されていることが多くあります。ヨーロッパ南東部では、個体群の中核集団は現在および同時代のヨーロッパ中央部人と類似していますが(図3CのC6)、他のクラスタはヨーロッパ北部人(図3CのC7)および地中海東部人(図3CのC8)と類似する祖先系統を有しています(図3C)。これらの祖先系統群は、現在のイタリアやヨーロッパ西部でも見られます(図4Cおよび図3)。以前に報告されたサルマティア人(Sarmatian)の個体群と類似している東方の遊牧民祖先系統も、ヨーロッパ西部(図4CのC8、2個体)とヨーロッパ南部(図3CのC2)の両方で観察されます。全体的に、著しい局所的な遺伝的不均一性や、共通の祖先系統供給源を示す地域間の類似性と、より広い規模では、同様にさまざまな地域に影響を及ぼす人口統計学的事象が見られます。以下は本論文の図4です。
画像


●歴史時代の個体群の少なくとも7~11%は祖先系統の外れ値です

 長期の地域間の類似性を有する高い地域的な遺伝的不均一性は、歴史時代の人口集団の高度な移動性を示唆します。したがって、同じ地域で見つかった全個体と比較しての祖先系統外れ値である個体の割合を推定することにより、歴史時代における移動量の定量化が試みられました。ある個体は、青銅器時代から現在までのその標本抽出地域内で標本として不充分である祖先系統クラスタ(ある地域における個体の5%未満もしくは最大2個体で構成されます)に属する場合に、外れ値とみなされます。第1世代の移民と長距離移動に焦点を当てるため、異なる1地域で見つかる多数派祖先系統の100%(つまり、「1構成要素モデル」です)でモデル化できる外れ値個体が特定されました。

 合計で、外れ値として11%の個体が特定され、個体の7%は異なる1地域の推定供給源と結びつけることができます(図5A)。これらの外れ値とその供給源の起源地域に基づいて、その移動を示す網状図が作成されました(図5B)。この網状図は、歴史時代におけるヨーロッパと地中海の相関性を明らかにします。たとえば、上述のように、アルメニアの人口集団はひじょうに均一です(図2)。予測通り、アルメニア内では外れ値は見つかりませんでしたが、レヴァントとイタリアでは外れ値個体が見つかり、それらの個体は、その祖先系統によると推定上ではアルメニアにたどることができます(図5Cのアルメニアから伸びる青い矢印)。対照的に、イタリアの不均一な人口集団は多くの他地域とつながっており、ほとんどの事例では双方向の移動でした。

 アフリカ北部では、鉄器時代チュニジアで見つかった外れ値は、ヨーロッパの多くの地域からの移動を示唆しており、アフリカ北部的な外れ値はイタリアとオーストリア(ヨーロッパ西部)で見つかりました。イタリアのアフリカ北部祖先系統は、ローマ帝政期の以前に報告された単一個体(R132)により裏づけられます(Antonio et al., 2019)。ヨーロッパ西部における類似のアフリカ北部祖先系統は、ローマ帝国の辺境に位置する、現在のオーストリアのヴェルス(Wels)で発見された単一個体(R10667)により裏づけられます(図4CのC28)。オーストリアで発見されたこの個体は、中世カナリア諸島の個体群、もしくは現代のチュニジアのチュニス県カルタゴ市に近いケルクアン(Kerkouane)というカルタゴ時代の都市で発見された鉄器時代の外れ値1個体(より多くのサハラ砂漠以南のアフリカ祖先系統を有することにより区別されます)を用いて、モデル化できます。以下は本論文の図5です。
画像

 供給源のある外れ値の7%という推定値は、「地元ではない」個体の割合としては控えめとみなされるべきです。1クラスタがその地域における5%以上の個体で構成されているものの、多数はとは異なる祖先系統で構成されており、一時的のように見える(歴史時代の単一の下位期間でのみ見られます)、いくつかの事例があります。たとえば、ヨーロッパ南部(図3B)では、図3CのC8におけるローマ帝政期と古代末期の個体群は、(1)遠方の祖先系統(近東)で構成されており、(2)それ以前もしくはそれ以後の期間では見られません。しかし、このクラスタには5個体が存在するので、本論文における外れ値検討の厳密な基準を満たしていません。さらに、提示不足の祖先系統の多くは1構成要素モデルでモデル化でき、それは、最近混合した(つまり、2もしくはそれ以上の祖先系統構成要素を必要とします)か、他の地域で標本抽出されていないからです。したがって、長距離移動と関連する個体の実際の割合は、本論文での報告より高い、と予測されます。


●空間的な人口構造は過去3000年間で比較的安定しています

 歴史時代における不均一性と移動性の顕著な量は、これが経時的に人口構造にどのような影響を及ぼしてきたかもしれないのか、という問題につながります。この問題を調べるため、先史時代から現在までの人口構造における全体的な変化の定量化が試みられました。人口集団分化の空間的構造を評価するため、各期間におけるスライディング空間グリッドでの個体の集団全体にわたるFₛₜが計算され、それが平均的な地理的距離と関連づけられました。各期間では、距離による孤立の古典的パターンが観察され(図6A)、地理的空間でより個体は遺伝的にもより類似しています。全期間では、中石器時代および新石器時代から青銅器時代まで(紀元前10000~紀元前2300年頃)全体的な大きい減少が見られ、主要な先史時代の移動と一致します(Allentoft et al., 2024)。しかし、青銅器時代以降には、Fₛₜは経時的にさらに減少せず、空間的な遺伝的文化の水準は青銅器時代から現在まで比較的安定している、と示唆されます。以下は本論文の図6です。
画像

 地理的な人口集団分化の量だけではなく構造も評価するため、歴史時代と現在のゲノムの「遺伝的地図」が比較されました。これらの「地図」を作成するため、地理的空間全域にわたって標本抽出されたヨーロッパ人および地中海の現代人829個体のゲノムでのPCA(図6Bの下段)が実行され、同じ主成分(PC)空間へと歴史時代のゲノムが投影されました。ヨーロッパ現代人における遺伝的構造と地理的空間との間の対応を反映して、歴史時代の標本でも同様に類似の空間構造が回収されましたが、より狭い標本抽出分布とより高い局所的な遺伝的不均一性に起因して、より乱れが多くなります(図6Bの中段)。現在と歴史時代との間の構造の類似性は、先史時代のゲノムの投影(図6Bの上段)と比較すると、とくに目立ち、その比較では現代人のPCAや地理的空間とのずっと弱い対応が示されます。まとめると、本論文の分析から、ヨーロッパと地中海の人口構造は過去3000年間比較的安定してきた、と示唆されます。

 これは、約7~11%の長距離移動の存在において、安定した人口構造の維持は驚くべきことなのでしょうか、という問題を提起します。この問題に取り組むため、連続的な空間において中立的に進化する人口集団のライト・フィッシャー(Wright–Fisher)人口集団が模擬実験されました。これらの模擬実験では、空間的な人口構造は局所的な配偶選択と限定的な拡散を通じて確立され、それは本論文で歴史時代のヨーロッパにおいて観察される空間的な文化とほぼ一致する、と較正されました(図6Aおよび図7A)。以下は本論文の図7です。
画像

 次に、歴史時代においてデータで観察された移動距離と実証的に一致する、より長い距離を拡散する人口の割合が許容されました(図7)。低ければ4%の長距離拡散でさえ、個体が空間全体で遺伝的分化を低下させるにつれて、120世代(1世代25年と仮定すると約3000年間)でのFₛₜ減少が観察されます(図7B)。8%の長距離拡散では、空間構造が最初の2主成分で検出困難になる点まで崩壊するので、120世代以内で劇的に減少します(図7C)。これらの模擬実験から、基礎的な空間集団遺伝学モデル下では、観察される移動水準を考慮すると、現在までに構造が崩壊すると予測される、と示唆されます。


●考察

 要約すると、ユーラシア西部全域でのほぼ安定した空間的な人口構造と、局所的な遺伝的不均一性および地域間のつながりにより証明される人々の高い移動性が観察されました。これら2件の観察は、標準的な集団遺伝学の仮定下では相互に矛盾しているように見えます。この明らかな矛盾のあり得る説明は、本論文の模擬実験がヒトの行動と人口動態のいくつかの重要な特徴を把握しなかった、というものです。模擬実験された人口集団では、移住は移動および移住先での無作為配偶選択での繁殖の両方を意味しています。しかしもじっさいの人口移住はより複雑かもしれません。人々は移住先で必ずしも繁殖するとは限らず、繁殖は必ずしも無作為ではありません。本論文では、歴史時代において先史時代と比較して移動と繁殖の分離が増加した、と仮定されます。農耕民および草原地帯祖先系統の拡大について、先史時代の移住は何百年もかけて大陸を横断した、と分かっています(Allentoft et al., 2024)。対照的に歴史時代では、陸路と水路の密な旅行網や、地中海横断および地域間の移動への明確な動機がありました。これにより人々は、数週間もしくは数ヶ月の単位で、大陸間の距離の旅が可能になりました(図5)。

 ローマ帝国は、一時的な移動がどのようにこの期間の独特な特徴となり得るのか、という理解においてとくに重要です。ローマ帝国の拡大期には、既存および新たな都市が交易と労働の拠点として急速に拡大しました。都市と軍隊の複合体は、軍事力が自身を確立し、保護もしくは経済的利益を求める地元共同体を引き込むにつれて、辺境地に出現しました。これらの急速に成長する経済都市中心部を支援するため、地元の人口集団を超えての人的資本が必要になったので、ずっと遠方の場所から自由もしくは強制的に(たとえば、奴隷や軍隊)人々を引き込みました。都市墓場効果という長年の歴史的仮説に従うと、都市中心部における移民の流入は出生率に対して死亡率に不釣り合いに寄与し、これは「一時的な」移民としての個体群の観察に寄与するでしょう。ローマ帝国の高度に効率的な旅行網と組み合わされた長距離で一時的な移住は、とくに辺境地域(たとえば、現在のセルビアやクロアチアやオーストリア)遺伝的に不均一な人口集団を説明できるかもしれません。

 観察された不均一性への主因は一時的な移動なので、どの追加の人口統計学的過程が空間的な遺伝的構造の維持に寄与したのか、不明なままです。ローマ帝国の崩壊は、都市と軍隊の複合体および都市の人口減少が伴い、農村化が続きました。ローマ帝国が交易と移動の動機づけをしなければ、個人が突然辺境地域に留まる動機はほとんどなかったかもしれません。

 この仮説が真実ならば、ローマ帝国崩壊後での局所的な遺伝的不均一性の減少が予測されます。残念ながら、この仮説を包括的に評価できるのに充分な、高密度に標本抽出された期間はありません。標本の不足は、古代DNAが都市部の地域で多い傾向にある考古学的発掘に由来する、という事実によりさらに増幅され、たとえば、都市中心部の石の壮大な墓は、木造農家よりも多くの表面散乱をもたらし、都市部の発掘の可能性をより高くします。これによれ、農村対都市の人口統計における違いに包括的に取り組むことが困難になります。歴史時代全体にわたる都市と農村両方の状況からより多くの遺伝的データを収集することは、空間的な人口構造がどのように維持されたのか、という理解において、貴重な将来の一歩となるでしょう。それはさらに、中世におけるフランク人やランゴバルド人や西ゴート人やフン人など、他の歴史時代の出来事や人々の役割を解明できるかもしれません。

 本論文は遺伝学的分析と豊富な歴史時代の記録に基づいて、人口集団の不均一性に寄与した一時的な移住の喪失と、不均一性は小さいものの時間的に安定している局所的な人口集団による繁殖の両方が、鉄器時代から現在までの遺伝的構造の全体的な安定性維持に役立ったかもしれない、と仮定します。本論文は、経時的な直接的な遺伝的観察を通じての複雑な人口動態の解明における古代DNAの有用性と、これらの複雑さを理解するための歴史的状況の統合の重要性を浮き彫りにします。


参考文献:
Agranat-Tamir L. et al.(2020): The Genomic History of the Bronze Age Southern Levant. Cell, 181, 5, 1146–1157.E11.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.04.044
関連記事

Allentoft ME. et al.(2015): Population genomics of Bronze Age Eurasia. Nature, 522, 7555, 167–172.
https://doi.org/10.1038/nature14507
関連記事

Allentoft ME. et al.(2024): Population genomics of post-glacial western Eurasia. Nature, 625, 7994, 301–311.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06865-0
関連記事

Alpaslan-Roodenberg S. et al.(2021): Ethics of DNA research on human remains: five globally applicable guidelines. Nature, 599, 7883, 41–46.
https://doi.org/10.1038/s41586-021-04008-x
関連記事

Amorim CEG. et al.(2018): Understanding 6th-century barbarian social organization and migration through paleogenomics. Nature Communications, 9, 3547.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-06024-4
関連記事

Antonio ML. et al.(2019): Ancient Rome: A genetic crossroads of Europe and the Mediterranean. Science, 366, 6466, 708–714.
https://doi.org/10.1126/science.aay6826
関連記事

Antonio ML. et al.(2024): Stable population structure in Europe since the Iron Age, despite high mobility. eLife, 13, 79714.
https://doi.org/10.7554/eLife.79714

Bergström A. et al.(2020): Insights into human genetic variation and population history from 929 diverse genomes. Science, 367, 6484, eaay5012.
https://doi.org/10.1126/science.aay5012
関連記事

Brace S. et al.(2019): Ancient genomes indicate population replacement in Early Neolithic Britain. Nature Ecology & Evolution, 3, 5, 765–771.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-0871-9
関連記事

Broushaki F. et al.(2016): Early Neolithic genomes from the eastern Fertile Crescent. Science, 353, 6298, 499-503.
https://doi.org/10.1126/science.aaf7943
関連記事

Brunel S. et al.(2020): Ancient genomes from present-day France unveil 7,000 years of its demographic history. PNAS, 117, 23, 12791–12798.
https://doi.org/10.1073/pnas.1918034117
関連記事

Cassidy LM. et al.(2020): A dynastic elite in monumental Neolithic society. Nature, 582, 7812, 384–388.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2378-6
関連記事

Clemente F. et al.(2021): The genomic history of the Aegean palatial civilizations. Cell, 184, 10, 2565–2586.E21.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.03.039
関連記事

Damgaard PB. et al.(2018A): 137 ancient human genomes from across the Eurasian steppes. Nature, 557, 7705, 369–374.
https://doi.org/10.1038/s41586-018-0094-2
関連記事

Damgaard PB. et al.(2018B): The first horse herders and the impact of early Bronze Age steppe expansions into Asia. Science, 360, 6396, eaar7711.
https://doi.org/10.1126/science.aar7711
関連記事

Ebenesersdóttir SS. et al.(2018A): Ancient genomes from Iceland reveal the making of a human population. Science, 360, 6392, 1028-1032.
https://doi.org/10.1126/science.aar2625
関連記事

Feldman M. et al.(2019A): Late Pleistocene human genome suggests a local origin for the first farmers of central Anatolia. Nature Communications, 10, 1218.
https://doi.org/10.1038/s41467-019-09209-7
関連記事

Feldman M. et al.(2019B): Ancient DNA sheds light on the genetic origins of early Iron Age Philistines. Science Advances, 5, 7, eaax0061.
https://doi.org/10.1126/sciadv.aax0061
関連記事

Fernandes DM et al.(2018): A genomic Neolithic time transect of hunter-farmer admixture in central Poland. Scientific Reports, 8, 14879.
https://doi.org/10.1038/s41598-018-33067-w
関連記事

Fernandes DM. et al.(2020): The spread of steppe and Iranian-related ancestry in the islands of the western Mediterranean. Nature Ecology & Evolution, 4, 3, 334–345.
https://doi.org/10.1038/s41559-020-1102-0
関連記事

Fregel R. et al.(2018): Ancient genomes from North Africa evidence prehistoric migrations to the Maghreb from both the Levant and Europe. PNAS, 115, 26, 6774–6779.
https://doi.org/10.1073/pnas.1800851115
関連記事

Fu Q. et al.(2016): The genetic history of Ice Age Europe. Nature, 534, 7606, 200–205.
https://doi.org/10.1038/nature17993
関連記事

Günther T. et al.(2015): Ancient genomes link early farmers from Atapuerca in Spain to modern-day Basques. PNAS, 112, 38, 11917–11922.
https://doi.org/10.1073/pnas.1509851112
関連記事

Günther T, Malmström H, Svensson EM, Omrak A, Sánchez-Quinto F, Kılınç GM, et al. (2018) Population genomics of Mesolithic Scandinavia: Investigating early postglacial migration routes and high-latitude adaptation. PLoS Biol 16(1): e2003703.
https://doi.org/10.1371/journal.pbio.2003703
関連記事

Haak W. et al.(2015): Massive migration from the steppe was a source for Indo-European languages in Europe. Nature, 522, 7555, 207–211.
https://doi.org/10.1038/nature14317
関連記事

Haber M. et al.(2019A): A Transient Pulse of Genetic Admixture from the Crusaders in the Near East Identified from Ancient Genome Sequences. The American Journal of Human Genetics, 104, 5, 977–984.
https://doi.org/10.1016/j.ajhg.2019.03.015
関連記事

Haber M. et al.(2020): A Genetic History of the Near East from an aDNA Time Course Sampling Eight Points in the Past 4,000 Years. The American Journal of Human Genetics, 107, 1, 149–157.
https://doi.org/10.1016/j.ajhg.2020.05.008
関連記事

Jeong C. et al.(2019): The genetic history of admixture across inner Eurasia. Nature Ecology & Evolution, 3, 6, 966–976.
https://doi.org/10.1038/s41559-019-0878-2
関連記事

Jones ER. et al.(2015): Upper Palaeolithic genomes reveal deep roots of modern Eurasians. Nature Communications, 6, 8912.
https://doi.org/10.1038/ncomms9912
関連記事

Krzewińska M. et al.(2018): Ancient genomes suggest the eastern Pontic-Caspian steppe as the source of western Iron Age nomads. Science Advances, 4, 10, eaat4457.
https://doi.org/10.1126/sciadv.aat4457
関連記事

Lamnidis TC. et al.(2018): Ancient Fennoscandian genomes reveal origin and spread of Siberian ancestry in Europe. Nature Communications, 9, 5018.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-07483-5
関連記事

Lazaridis I. et al.(2014): Ancient human genomes suggest three ancestral populations for present-day Europeans. Nature, 513, 7518, 409–413.
https://doi.org/10.1038/nature13673
関連記事

Lazaridis I. et al.(2016): Genomic insights into the origin of farming in the ancient Near East. Nature, 536, 7617, 419–424.
https://doi.org/10.1038/nature19310
関連記事

Lazaridis I. et al.(2017): Genetic origins of the Minoans and Mycenaeans. Nature, 548, 7666, 214–218.
https://doi.org/10.1038/nature23310
関連記事

Linderholm A. et al.(2020): Corded Ware cultural complexity uncovered using genomic and isotopic analysis from south-eastern Poland. Scientific Reports, 10, 6885.
https://doi.org/10.1038/s41598-020-63138-w
関連記事

Lipson M. et al.(2017): Parallel palaeogenomic transects reveal complex genetic history of early European farmers. Nature, 551, 7680, 368–372.
https://doi.org/10.1038/nature24476
関連記事

Mallick S. et al.(2016): The Simons Genome Diversity Project: 300 genomes from 142 diverse populations. Nature, 538, 7624, 201–206.
https://doi.org/10.1038/nature18964
関連記事

Margaryan A. et al.(2020): Population genomics of the Viking world. Nature, 585, 7825, 390–396.
https://doi.org/10.1038/s41586-020-2688-8
関連記事

Martiniano R. et al.(2016): Genomic signals of migration and continuity in Britain before the Anglo-Saxons. Nature Communications, 7, 10326.
https://doi.org/10.1038/ncomms10326
関連記事

Mathieson I. et al.(2015): Genome-wide patterns of selection in 230 ancient Eurasians. Nature, 528, 7583, 499–503.
https://doi.org/10.1038/nature16152
関連記事

Mathieson I. et al.(2018): The genomic history of southeastern Europe. Nature, 555, 7695, 197–203.
https://doi.org/10.1038/nature25778
関連記事

Mittnik A. et al.(2019):Kinship-based social inequality in Bronze Age Europe. Science, 366, 6466, 731–734.
https://doi.org/10.1126/science.aax6219
関連記事

Narasimhan VM. et al.(2019): The formation of human populations in South and Central Asia. Science, 365, 6457, eaat7487.
https://doi.org/10.1126/science.aat7487
関連記事

Nikitin AG. et al.(2019): Interactions between earliest Linearbandkeramik farmers and central European hunter gatherers at the dawn of European Neolithization. Scientific Reports, 9, 19544.
https://doi.org/10.1038/s41598-019-56029-2
関連記事

Olalde I. et al.(2014): Derived immune and ancestral pigmentation alleles in a 7,000-year-old Mesolithic European. Nature, 507, 7491, 225–228.
https://doi.org/10.1038/nature12960
関連記事

Olalde I. et al.(2018): The Beaker phenomenon and the genomic transformation of northwest Europe. Nature, 555, 7695, 190–196.
https://doi.org/10.1038/nature25738
関連記事

Olalde I. et al.(2019): The genomic history of the Iberian Peninsula over the past 8000 years. Science, 363, 6432, 1230-1234.
https://doi.org/10.1126/science.aav4040
関連記事

O’Sullivan N. et al.(2018): Ancient genome-wide analyses infer kinship structure in an Early Medieval Alemannic graveyard. Science Advances, 4, 9, eaao1262.
https://doi.org/10.1126/sciadv.aao1262
関連記事

Pagani L. et al.(2016): A genomic history of Aboriginal Australia. Nature, 538, 7624, 238–242.
https://doi.org/10.1038/nature19792
関連記事

Posth C. et al.(2021): The origin and legacy of the Etruscans through a 2000-year archeogenomic time transect. Science Advances, 7, 39, eabi7673.
https://doi.org/10.1126/sciadv.abi7673
関連記事

Rivollat M. et al.(2020): Ancient genome-wide DNA from France highlights the complexity of interactions between Mesolithic hunter-gatherers and Neolithic farmers. Science Advances, 6, 22, eaaz5344.
https://doi.org/10.1126/sciadv.aaz5344
関連記事

Rodríguez-Varela R. et al.(2017): Genomic Analyses of Pre-European Conquest Human Remains from the Canary Islands Reveal Close Affinity to Modern North Africans. Current Biology, 27, 21, 3396–3402.e5.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2017.09.059
関連記事

Saag L. et al.(2019): The Arrival of Siberian Ancestry Connecting the Eastern Baltic to Uralic Speakers further East. Current Biology, 29, 10, 1701–1711.E16.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.04.026
関連記事

Sánchez-Quinto F. et al.(2019): Megalithic tombs in western and northern Neolithic Europe were linked to a kindred society. PNAS, 116, 19, 9469–9474.
https://doi.org/10.1073/pnas.1818037116
関連記事

Saupe T. et al.(2021): Ancient genomes reveal structural shifts after the arrival of Steppe-related ancestry in the Italian Peninsula. Current Biology, 31, 12, 2576–2591.E12.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.04.022
関連記事

Schiffels S. et al.(2016): Iron Age and Anglo-Saxon genomes from East England reveal British migration history. Nature Communications, 7, 10408.
https://doi.org/10.1038/ncomms10408
関連記事

Schroeder H. et al.(2019): Unraveling ancestry, kinship, and violence in a Late Neolithic mass grave. PNAS, 116, 22, 10705–10710.
https://doi.org/10.1073/pnas.1820210116
関連記事

Schuenemann VJ. et al.(2017): Ancient Egyptian mummy genomes suggest an increase of Sub-Saharan African ancestry in post-Roman periods. Nature Communications, 8, 15694.
https://doi.org/10.1038/ncomms15694
関連記事

Shinde V. et al.(2019): An Ancient Harappan Genome Lacks Ancestry from Steppe Pastoralists or Iranian Farmers. Cell, 179, 3, 729–735.E10.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2019.08.048
関連記事

Sikora M. et al.(2017): Ancient genomes show social and reproductive behavior of early Upper Paleolithic foragers. Science, 358, 6363, 659–662.
https://doi.org/10.1126/science.aao1807
関連記事

Silva M. et al.(2024): An individual with Sarmatian-related ancestry in Roman Britain. Current Biology, 34, 1, 204–212.E6.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.11.049
関連記事

Skoglund P. et al.(2014): Genomic Diversity and Admixture Differs for Stone-Age Scandinavian Foragers and Farmers. Science, 344, 6185, 747-750.
https://doi.org/10.1126/science.1253448
関連記事

Skourtanioti E. et al.(2020): Genomic History of Neolithic to Bronze Age Anatolia, Northern Levant, and Southern Caucasus. Cell, 181, 5, 1158–1175.E28.
https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.04.044
関連記事

Valdiosera C. et al.(2018): Four millennia of Iberian biomolecular prehistory illustrate the impact of prehistoric migrations at the far end of Eurasia. PNAS, 115, 13, 3428–3433.
https://doi.org/10.1073/pnas.1717762115
関連記事

Veeramah KR. et al.(2018): Population genomic analysis of elongated skulls reveals extensive female-biased immigration in Early Medieval Bavaria. PNAS, 115, 13, 3494–3499.
https://doi.org/10.1073/pnas.1719880115
関連記事

Villalba-Mouco V. et al.(2019): Survival of Late Pleistocene Hunter-Gatherer Ancestry in the Iberian Peninsula. Current Biology, 29, 7, 1169–1177.E7.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.02.006
関連記事

Wang CC. et al.(2019A): Ancient human genome-wide data from a 3000-year interval in the Caucasus corresponds with eco-geographic regions. Nature Communications, 10, 590.
https://doi.org/10.1038/s41467-018-08220-8
関連記事

Žegarac A. et al.(2021): Ancient genomes provide insights into family structure and the heredity of social status in the early Bronze Age of southeastern Europe. Scientific Reports, 11, 10072.
https://doi.org/10.1038/s41598-021-89090-x
関連記事

この記事へのコメント