大河ドラマ『光る君へ』第5回「告白」

 前回終盤で、紫式部(まひろ)が三郎は藤原兼家の息子の藤原道長だと知り、母親を道長の兄である道兼に殺された紫式部が、道長にどう接するのか、今回は注目していました。紫式部は道兼の顔を覚えていないだろう、と父の為時は考えていましたが、紫式部はしっかりと覚えていました。しかも道兼が三郎(道長)の兄だと知って、さすがに気丈な紫式部も強い精神的打撃を受け、寝込んでしまいます。道長は紫式部と会って、その母親が道兼を殺した、と打ち明けられ、その話を信じて謝罪します。道長はこの件で紫式部負い目を感じ、それが二人の長きにわたる関係を規定する、という構成になるのでしょうか。道長はまだ青い感じで、その道長がどのように最高権力者となり、長期にわたって権力を振るう人間へと変容していくのかも、本作の見どころの一つかもしれません。これに関しては、大河ドラマでは、1979年放送の『草燃える』や一昨年(2022年)放送の『鎌倉殿の13人』の北条義時と通ずるところがありそうで、これも本作の見どころの一つとなるのではないか、と期待しています。

 今回は、藤原道綱とその母親(本作では寧子)が初登場となります。『源氏物語』は有名ですが、本作の舞台となる10世紀後半~11世紀前半は日本史においてさほど人気のある時代とは思えないので、一般的な知名度は低そうですが、その中で藤原道綱の母親の知名度は高い方だと思います。今回、藤原道綱とその母親の出番は顔見世程度でしたが、二人ともなかなかの印象を残したように思います。まだ序盤ではあるものの、本作の主要登場人物はなかなかに個性的で、その多くは一般的な知名度が低そうですが、本作を機に藤原実資などの知名度が上がるよう、期待しています。次回はいよいよ清少納言(本作では「ききょう」という名前)が登場するようで、紫式部と清少納言は直接的な面識はなかった可能性が高そうですが、本作では二人が若い頃からの知り合いだった、との設定になるようで、二人の関係がどう描かれるのか、注目しています。やや気になったのは、本作では言及さえされていないものの、まだ存命で、現時点での皇太子よりも後に没した冷泉上皇ですが、話がさらに複雑になりそうなので、登場も言及もないのでしょうか。

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