アマゾン川上流域の2500年前頃にさかのぼる都市化

 アマゾン川上流域の初期の都市化に関する研究(Rostain et al., 2024)が公表されました。日本語の解説記事もあります。アマゾンの密林は、人為的影響がさほどなければ、徒歩でも走査技術でも入り込むのは困難です。しかし、過去数年間で、改良されたLIDAR(light detection and ranging、光検出及び測距)が森林樹冠に入り込み始め、過去のアマゾン文化の以前には知られていなかった証拠を明らかにしつつあります(関連記事1および関連記事2)。

 本論文は、先スペイン期の都市中心部の密集体系が、アンデス山脈東麓のエクアドルのアマゾン地域のウパノ川流域に存在したことを報告します。LIDAR分析と野外調査を含む20年以上にわたる学際的研究により、調査対象の300 km²の地域には、広範な農耕排水路や段々畑や長距離にわたる直線道路と絡み合う、特定のパターンに従う記念碑的な長方形の土の高台や広場や街路のまとまりのある、人為的景観がある、と明らかにされました。構造物の集まっている場所を基盤に、少なくとも15ヶ所のさまざまな大きさの独特な居住跡があることも確認されました。

 これらの構築環境で最も注目すべき景観の特徴は、数十kmにわたる複雑な道路網で、これは都市中心部をつないでいるので、地域規模の交流網を形成しています。考古学的発掘の年代測定により、この居住地の年代は紀元前500年頃から紀元後300~600年頃の間と推定されています。この間に、キラモペ(Kilamope)文化とその後のウパノ文化集団が高台と道路を建設して占有した、と推測されています。アマゾン地域で発見された他の記念碑的遺跡と比較すると、ウパノ川流域の構造物はより古く、規模がより大きい点で、アマゾン川上流におけるこうした広範な初期の発展は、メキシコとグアテマラで最近浮き彫りになった同様のマヤの都市体系に匹敵する、と評価されています。


参考文献:
Rostain S. et al.(2024): Two thousand years of garden urbanism in the Upper Amazon. Science, 383, 6679, 183–189.
https://doi.org/10.1126/science.adi6317

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