謹賀新年
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。ついに2024年を迎えました。一昨年2月にロシアがウクライナに直接的な軍事侵略を開始し、今でも停戦していないばかりか、昨年秋にはハマスがイスラエルを攻撃し、それに対してイスラエルが大々的に報復を始めて、パレスチナ情勢が急激に悪化したため、世界情勢の見通しがさらに暗くなった感もあります。こうした国際情勢の悪化により日本でも経済などさまざまな点で悪影響があり、今後の日本社会の見通しは暗く、何とも厳しい時代になりました。私の周囲でも色々と不愉快なことが起きそうですが、人生には楽しみも多いのだ、と開き直ってしぶとく生きていき、古人類学を中心としてさまざまな分野で勉強と情報収集を地道に続けていくつもりです。
昨年は、一昨年と同等以上に古人類学関連の文献を読めたと思います。ブログの記事更新数は、2019年の679本はもちろん、2020年の516本からもかなり減り、2021年の393本と2022年の369本からも減って、ついに2017年以前と同様に1日1本の365本となりましたが、2019年と2020年は似たような記事を複数書いてしまい、過去の記事の流用と継ぎ接ぎで終わったような記事も複数掲載してしまったので、充実度という点で、昨年は2019~2022年と同等以上だったと思います。それでも、古代DNA研究はとくにそうですが、最新の研究動向には追いつくのはなかなか難しく、追いつくのは無理としても、関連文献を少しでも多く読んでいこう、と考えています。
昨年は携帯電話が故障し、保証期間内だったので交換した以外には大きな買い物がなく、今年もとくに予定はないので、当分は節約を心がけていこう、と考えています。まあ、節約は個人や家族のような小単位では多くの場合で合理的な選択ですが、多くの人が節約に努めれば、社会は貧困化してけっきょく多くの人が苦しむことになります(合成の誤謬)。ほとんどの社会問題は結局のところ、トレードオフ(交換)と合成の誤謬に行きつくので、多くの社会問題は解決困難なのだろう、と私は考えています。もちろん私程度の知見では有効な具体策は思いつかないのですが、私は、こうした矛盾を抱えて解決策を講じていくのも人間の宿命だろう、と開き直り、しぶとく生き続けていきたいものです。
今年の目標や希望・期待としては、古人類学ではやはり古代DNA研究の進展が期待されますが、ユーラシア西部、とくにヨーロッパと比較して古代DNA研究が大きく遅れているアジア東部での古代DNA研究は、日本人起源論とも直接的に関わってくるだけに、日本人の一人として研究の進展に注目しています。縄文時代の人類集団の形成過程とともに、現代日本人の形成に大きな影響を及ぼしたと考えられる弥生時代以降のユーラシア東部大陸部からの移住が、何回かの大きな波だったのか、それともある程度継続的だったのか、また弥生時代の前半と古墳時代とでは、ユーラシア東部大陸部から日本列島への移民の遺伝的構成に違いがあったのか、ということも注目されます。それは、日本列島だけではなく、朝鮮半島における紀元前千年紀以降の人類集団の遺伝的構成変容の可能性とも関連しています。
ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)など、非現生人類(Homo sapiens)ホモ属(古代型ホモ属、絶滅ホモ属)の古代DNA研究の進展も期待されますが、これら非現生人類ホモ属のDNAデータはこれまで、現在のロシア領で発見された遺骸から得られたものも多く、ウクライナの被害や広範囲の経済混乱はもちろんのこと、古代DNA研究も、ロシアによるウクライナの侵略のため妨げられているところがあるのではないか、と腹立たしくあります。デニソワ人はこれまで、アルタイ山脈とチベット高原でしか遺伝学的には確認されておらず、デニソワ人である可能性がきわめて高い遺骸は、アルタイ山脈以外ではチベット高原とラオスでしか発見されていません。今年は、それ以外の地域でデニソワ人遺骸が確認されるのではないか、と期待しています。とくに中国で発見された中期~後期更新世の分類が曖昧なホモ属化石については、デニソワ人の確認当初からその可能性が指摘されていただけに、注目されます。
娯楽では、『ビッグコミックオリジナル』で連載中の『卑弥呼』が年明け最初の発売号で122話を迎え、同じ原作者の『イリヤッド』の123話を超えることになりそうで、たいへん楽しみです。魏への使節派遣は随分と先のように思えましたが、すでに西暦で228年を迎えたことから、意外と最終回は近いようにも思います。日本列島内とともに、ユーラシア東部大陸部の情勢も本格的に描かれるのではないか、と期待しています。今年の大河ドラマは紫式部が主人公で、現代日本社会において紫式部の知名度は高いものの、その時代自体への関心は低いように思われるので、視聴率の低迷も懸念されますが、名作となることを期待しています。
昨年は、一昨年と同等以上に古人類学関連の文献を読めたと思います。ブログの記事更新数は、2019年の679本はもちろん、2020年の516本からもかなり減り、2021年の393本と2022年の369本からも減って、ついに2017年以前と同様に1日1本の365本となりましたが、2019年と2020年は似たような記事を複数書いてしまい、過去の記事の流用と継ぎ接ぎで終わったような記事も複数掲載してしまったので、充実度という点で、昨年は2019~2022年と同等以上だったと思います。それでも、古代DNA研究はとくにそうですが、最新の研究動向には追いつくのはなかなか難しく、追いつくのは無理としても、関連文献を少しでも多く読んでいこう、と考えています。
昨年は携帯電話が故障し、保証期間内だったので交換した以外には大きな買い物がなく、今年もとくに予定はないので、当分は節約を心がけていこう、と考えています。まあ、節約は個人や家族のような小単位では多くの場合で合理的な選択ですが、多くの人が節約に努めれば、社会は貧困化してけっきょく多くの人が苦しむことになります(合成の誤謬)。ほとんどの社会問題は結局のところ、トレードオフ(交換)と合成の誤謬に行きつくので、多くの社会問題は解決困難なのだろう、と私は考えています。もちろん私程度の知見では有効な具体策は思いつかないのですが、私は、こうした矛盾を抱えて解決策を講じていくのも人間の宿命だろう、と開き直り、しぶとく生き続けていきたいものです。
今年の目標や希望・期待としては、古人類学ではやはり古代DNA研究の進展が期待されますが、ユーラシア西部、とくにヨーロッパと比較して古代DNA研究が大きく遅れているアジア東部での古代DNA研究は、日本人起源論とも直接的に関わってくるだけに、日本人の一人として研究の進展に注目しています。縄文時代の人類集団の形成過程とともに、現代日本人の形成に大きな影響を及ぼしたと考えられる弥生時代以降のユーラシア東部大陸部からの移住が、何回かの大きな波だったのか、それともある程度継続的だったのか、また弥生時代の前半と古墳時代とでは、ユーラシア東部大陸部から日本列島への移民の遺伝的構成に違いがあったのか、ということも注目されます。それは、日本列島だけではなく、朝鮮半島における紀元前千年紀以降の人類集団の遺伝的構成変容の可能性とも関連しています。
ネアンデルタール人(Homo neanderthalensis)や種区分未定のホモ属であるデニソワ人(Denisovan)など、非現生人類(Homo sapiens)ホモ属(古代型ホモ属、絶滅ホモ属)の古代DNA研究の進展も期待されますが、これら非現生人類ホモ属のDNAデータはこれまで、現在のロシア領で発見された遺骸から得られたものも多く、ウクライナの被害や広範囲の経済混乱はもちろんのこと、古代DNA研究も、ロシアによるウクライナの侵略のため妨げられているところがあるのではないか、と腹立たしくあります。デニソワ人はこれまで、アルタイ山脈とチベット高原でしか遺伝学的には確認されておらず、デニソワ人である可能性がきわめて高い遺骸は、アルタイ山脈以外ではチベット高原とラオスでしか発見されていません。今年は、それ以外の地域でデニソワ人遺骸が確認されるのではないか、と期待しています。とくに中国で発見された中期~後期更新世の分類が曖昧なホモ属化石については、デニソワ人の確認当初からその可能性が指摘されていただけに、注目されます。
娯楽では、『ビッグコミックオリジナル』で連載中の『卑弥呼』が年明け最初の発売号で122話を迎え、同じ原作者の『イリヤッド』の123話を超えることになりそうで、たいへん楽しみです。魏への使節派遣は随分と先のように思えましたが、すでに西暦で228年を迎えたことから、意外と最終回は近いようにも思います。日本列島内とともに、ユーラシア東部大陸部の情勢も本格的に描かれるのではないか、と期待しています。今年の大河ドラマは紫式部が主人公で、現代日本社会において紫式部の知名度は高いものの、その時代自体への関心は低いように思われるので、視聴率の低迷も懸念されますが、名作となることを期待しています。
この記事へのコメント
私はペーボ氏がノーベル賞を受賞された頃から古人類学に興味を持ち始め、主にネットでこの分野について調べるようになり、雑記帳さんのブログに出会いました。
以来、主に通勤の時間などに記事を読ませて頂いており、最新の研究についての情報を得ることができとても助かっております。ありがとうございます。
いつかお礼をお伝えしたいと思っていたところ、年始というキリの良いタイミングということでコメントさせて頂きました。
今年もどうぞよろしくお願い致します。
今後もできるだけ最新の研究を追いかけていこうと考えています。今後ともよろしくお願い申し仕上げます。