大河ドラマ『どうする家康』第45回「二人のプリンス」

 今回は徳川家康と羽柴秀頼の二条城での会見と、大坂の陣へと至る過程が描かれました。これまで秀頼は子役ということもあって、ほとんど個性が描かれておらず、今回初めて人物像が明らかになりました。秀頼は優秀で爽やかな人物として描かれていますが、母親の茶々から家康への憎悪と不信感を植えつけられてきたようなので、その家康観はかなり歪んでいると思われます。その秀頼がじっさいに家康と対面してどう反応するのか、家康は秀頼をどう評価するのか、注目していましたが、秀頼も家康も表面上は互いを気遣っているように振舞いつつ、内心では警戒を解かず、秀頼を公家に追いやりたい家康と、それをしたたかに拒む秀頼など、静かに駆け引きをしている、といった感じでした。

 この会見で評価を上げたのは秀頼の方であり、家康は秀頼を強く警戒したようで、後継者ですでに家康から将軍職を継承した秀忠が戦国大名としては凡庸であることから、場合によっては自分の存命中に大坂城の羽柴家を滅ぼすことも決断しなければならない、と覚悟したようです。家康はこうして自分がまだ戦を求めることに内心では苦悩しているようですが、それを慰めたのは久々の登場となる今川氏真でした。幼少期の家康を知る氏真は今や、家康にとって弱さや苦悩を打ち明けられる存在になった、ということなのでしょう。

 有名な方広寺鐘銘問題は、茶々から家康への挑発といった感じで描かれていました。茶々の家康への強い怨みが豊臣氏羽柴宗家の滅亡につながる、という話になりそうで、やはり家康にとって終盤最大の敵は茶々ということなのでしょう。秀忠は秀頼にも劣等感を抱くような人物として描かれていますが、さすがに、実際はもっと優秀で自信を持っていたのではないか、と思います。まあ、天下人となった家康の大物感を印象づけるには、こうした対比が一定以上有効であることも否定できませんし、家康も秀忠の統治者としての才には期待していましたが。

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