大河ドラマ『どうする家康』第44回「徳川幕府誕生」

 今回は徳川家康の征夷大将軍就任とその後の政権運営および政争が描かれましたが、時間経過が早く、今回も含めて残り5回で家康と羽柴秀頼との会見に大坂の陣も描かねばならないので仕方のないところでしょうが、駆け足気味だった感は否めません。やはり、家康の生涯を描く大河ドラマとして時間配分が偏っていたように思います。あくまでも豊臣氏羽柴宗家の天下に拘る茶々は家康を強く警戒し、息子の秀頼にも家康を信じないよう教え込んでいますが、これが大坂の陣につながるのでしょうか。羽柴家との関係に苦慮する家康は、本多正信の進言により征夷大将軍への就任を決意します。武家は徳川、公家は羽柴で棲み分けができるのではないか、というわけです。この時代の政治史について近年では勉強が停滞しているので、これがどこまで史実を反映しているのか、よく分かりませんでしたが、家康のじっさいの思惑はどうだったのでしょうか。

 征夷大将軍に就任した家康にとって不安なのは嫡男の秀忠で、家康は秀忠の器量に不満と不安を抱いています。本作の秀忠はこれまで登場場面が少なく、軽いところが目立っており、本多正信からは凡人と評価されていますが、じっさいはもっと謹厳で優秀な人物だったのではないか、とも思います。まあ、老成した家康との対比で秀忠の人物造形をこのようにしたのは、創作としては有かな、とも考えていますが。榊原康政と本多忠勝と家康の母親である於大は今回で退場となり、井伊直政の死は本多忠勝から語られました。本多忠勝は初回から、榊原康政と於大は序盤から登場していただけに、寂しさもあります。

この記事へのコメント