大河ドラマ『どうする家康』第35回「欲望の怪物」

 今回は徳川家康と羽柴秀吉の駆け引きが描かれ、家康が秀吉にどのように臣従するのか、注目していました。話を捻ってくる傾向にある本作ですが、秀吉への家康の臣従過程は、これまで大河ドラマなど創作で描かれてきた話と大きく異なるものではなかったように思います。ただ、今回、秀吉の人となりがさらに掘り下げられたことは、後から重要な情報や設定を明かす本作らしいと言えそうです。秀吉にとって弟の秀長の存在が大きいことも改めて描かれたように思いますが、それだけに、秀長の死が秀吉の政権運営に大打撃を与えることになるのでしょうか。

 今回終盤は徳川と真田との駆け引きが描かれ、真田昌幸は老獪な人物として徳川家中を翻弄します。真田昌幸は石田三成とともに、配役発表前から公式サイトに強敵として紹介されており、本作では真田信繁以上に重要人物なのかもしれません。その石田三成と秀吉の母親の大政所(仲)は今回が初登場となります。大政所の出番は少なそうですが、石田三成は徳川家康を主人公としたドラマでは重要人物でしょうから、本作ではどのような人物造形になるのか、家康との関係はどう描かれるのか、注目していました。本作の石田三成は変わり者ではあるものの爽やかな人物のようで、家康と三成は初対面で互いに好感を抱いたようです。これは関ヶ原合戦をより悲劇的に描く布石なのでしょうか。

 それにしても、今回、家康と秀吉の会話で茶々が言及されており、茶々が本作終盤の最重要人物であることは間違いなさそうですが、成人の豊臣秀頼と千姫に片桐且元や大野治長や林羅山の配役も発表されているのに、茶々の成人役がまだ発表されていないのは、本作終盤の目玉ということでしょうか。家康は生まれたばかりの茶々と出会っており、家康が茶々はお市の方とよく似ていると言ったこともあってか、ネットではお市の方を演じた北川景子氏が茶々も演じるのではないか、と予想している人が多いようです。確かに、お市の方と茶々を北川氏が演じれば大きな話題になるかな、とも思いますが、すでにそう予想している人はかなり多いようですから、制作陣の期待ほどには話題にならないでしょう。

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