古代の巨大クジラ
ペルー南部で発見された古代の巨大クジラを報告した研究(Bianucci et al., 2023)が報道されました。クジラ目(イルカ、クジラ、ネズミイルカを含む哺乳類の亜目)の化石記録は、陸上動物がどのようにして極端な適応を獲得し、完全な水中生活様式への移行を遂げたのか、明らかにしています。クジラ類では、これは最大体サイズの大幅な増大と関連しています。長い体は鯨類進化の初期に獲得されましたが、ヒゲクジラ類の最大体重は、最終的にシロナガスクジラを生み出した最近の多様化を反映しています。より一般的に、水生四肢類でこれまでに知られている巨大化は、外洋性の能動的遊泳動物において進化しました。
本論文は、ペルーで発見された3900万年前頃となる中期始新世のバシロサウルス科のクジラであるペルケトゥス・コロッスス(Perucetus colossus)の部分骨格(13本の脊椎、4本の肋骨、1本の寛骨を含みます)について記載報告します。ペルケトゥス・コロッススは、本論文が把握している限りでは、骨量の増大の度合いが既知で最も大きく、これは浅海での潜水に関連した適応と見られます。ペルケトゥス・コロッススの推定骨質量は体長25mのシロナガスクジラの2~3倍と推定され、既知の全ての哺乳類や水生脊椎動物のものを上回っていました。
本論文は、水生哺乳類の骨の構造の特殊化が、羊膜類の差異全体にわたる骨比(全体重に対する骨質量)のスケーリング則に反映されることを示します。この骨比を用いてペルケトゥス・コロッススの体重を推定したところ、それが史上最重量動物の称号を争うものになる、と明らかになりました。クジラ類の体重は、以前の想定の約3000万年前には既に頂点に達し、それは一次生産力が特に高かった沿岸環境で成し遂げられていたことになります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:史上最も重い動物となるかもしれない巨大な古代クジラ
新たに発見されたクジラの古代種Perucetus colossusは、化石記録上、最も大きく、最も重い動物と考えられることを報告する論文が、Natureに掲載される。このクジラの部分骨格から推定された体長と体重は、これまで最も重い動物と考えられていたシロナガスクジラに匹敵する。今回の知見は、海洋哺乳類の巨大化傾向が、これまで考えられていたよりも早く始まった可能性を示唆している。
一部の陸生動物が海に戻った時代の哺乳類の進化史を記録する上で、クジラ目(イルカ、クジラ、ネズミイルカを含む哺乳類の亜目)の化石記録は非常に重要だ。これまでに発表された化石記録では、クジラ目動物の水生生活への適応(例えば、巨大化傾向とそれに伴う体重の増加)が確認されているが、体重が最大に達したのは、比較的最近の多様化によるものと考えられている。
今回、Eli Amsonらは、推定骨格量が既知の哺乳類や海洋生物を上回っているバシロサウルス科のクジラの新種P.colossusについて報告している。P.colossusは、最近ペルー南部で発見され、約3900万年前のものと推定された部分骨格(13本の脊椎、4本の肋骨、1本の寛骨を含む)を基にしてモデル化された。P. colossusの骨格量は、体長25メートルのシロナガスクジラの2~3倍と推定され、体重は85~340トンと推定された。この推定体重がシロナガスクジラの体重と同等かそれ以上であるため、P. colossusは、シロナガスクジラに代わって史上最も重い動物になると考えられる。
以上の知見は、P. colossusの特徴が水生環境に十分に適応しており、クジラ目動物の体重が最大化した時期が、これまで考えられていた時期より3000万年も前と推定されることを示している。骨量の増加に伴う浮力の変化は、浅海での生活と整合しており、バシロサウルス科のクジラ類が、この種の沿岸環境に過度に特殊化していたという学説を裏付けており、クジラ目の古代種に関する新たな手掛かりになっている。
古生物学:最重量級の初期のクジラが脊椎動物の形態の範囲を広げる
古生物学:史上最重量級の原始的なクジラ
今回、ペルーで始新世のバシロサウルス科のクジラの新種が発見された。この原始的なクジラは、骨が極端に肥厚しており、これまでに存在した中で最も重い動物の候補となることが分かった。
参考文献:
Bianucci G. et al.(2023): A heavyweight early whale pushes the boundaries of vertebrate morphology. Nature, 620, 7975, 824–829.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06381-1
本論文は、ペルーで発見された3900万年前頃となる中期始新世のバシロサウルス科のクジラであるペルケトゥス・コロッスス(Perucetus colossus)の部分骨格(13本の脊椎、4本の肋骨、1本の寛骨を含みます)について記載報告します。ペルケトゥス・コロッススは、本論文が把握している限りでは、骨量の増大の度合いが既知で最も大きく、これは浅海での潜水に関連した適応と見られます。ペルケトゥス・コロッススの推定骨質量は体長25mのシロナガスクジラの2~3倍と推定され、既知の全ての哺乳類や水生脊椎動物のものを上回っていました。
本論文は、水生哺乳類の骨の構造の特殊化が、羊膜類の差異全体にわたる骨比(全体重に対する骨質量)のスケーリング則に反映されることを示します。この骨比を用いてペルケトゥス・コロッススの体重を推定したところ、それが史上最重量動物の称号を争うものになる、と明らかになりました。クジラ類の体重は、以前の想定の約3000万年前には既に頂点に達し、それは一次生産力が特に高かった沿岸環境で成し遂げられていたことになります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用(引用1および引用2)です。
古生物学:史上最も重い動物となるかもしれない巨大な古代クジラ
新たに発見されたクジラの古代種Perucetus colossusは、化石記録上、最も大きく、最も重い動物と考えられることを報告する論文が、Natureに掲載される。このクジラの部分骨格から推定された体長と体重は、これまで最も重い動物と考えられていたシロナガスクジラに匹敵する。今回の知見は、海洋哺乳類の巨大化傾向が、これまで考えられていたよりも早く始まった可能性を示唆している。
一部の陸生動物が海に戻った時代の哺乳類の進化史を記録する上で、クジラ目(イルカ、クジラ、ネズミイルカを含む哺乳類の亜目)の化石記録は非常に重要だ。これまでに発表された化石記録では、クジラ目動物の水生生活への適応(例えば、巨大化傾向とそれに伴う体重の増加)が確認されているが、体重が最大に達したのは、比較的最近の多様化によるものと考えられている。
今回、Eli Amsonらは、推定骨格量が既知の哺乳類や海洋生物を上回っているバシロサウルス科のクジラの新種P.colossusについて報告している。P.colossusは、最近ペルー南部で発見され、約3900万年前のものと推定された部分骨格(13本の脊椎、4本の肋骨、1本の寛骨を含む)を基にしてモデル化された。P. colossusの骨格量は、体長25メートルのシロナガスクジラの2~3倍と推定され、体重は85~340トンと推定された。この推定体重がシロナガスクジラの体重と同等かそれ以上であるため、P. colossusは、シロナガスクジラに代わって史上最も重い動物になると考えられる。
以上の知見は、P. colossusの特徴が水生環境に十分に適応しており、クジラ目動物の体重が最大化した時期が、これまで考えられていた時期より3000万年も前と推定されることを示している。骨量の増加に伴う浮力の変化は、浅海での生活と整合しており、バシロサウルス科のクジラ類が、この種の沿岸環境に過度に特殊化していたという学説を裏付けており、クジラ目の古代種に関する新たな手掛かりになっている。
古生物学:最重量級の初期のクジラが脊椎動物の形態の範囲を広げる
古生物学:史上最重量級の原始的なクジラ
今回、ペルーで始新世のバシロサウルス科のクジラの新種が発見された。この原始的なクジラは、骨が極端に肥厚しており、これまでに存在した中で最も重い動物の候補となることが分かった。
参考文献:
Bianucci G. et al.(2023): A heavyweight early whale pushes the boundaries of vertebrate morphology. Nature, 620, 7975, 824–829.
https://doi.org/10.1038/s41586-023-06381-1
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