北アメリカ大陸における更新世末の大型動物の絶滅要因
北アメリカ大陸における更新世末の大型動物の絶滅要因に関する研究(O’keefe et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。更新世末には、世界各地に生息していた地球の大型哺乳類の約2/3が絶滅しました。更新世大型動物絶滅の(複数かもしれない)要因は、部分的には化石記録の低い時空間的解像度が考古学および環境のデータと種の消滅の整合を妨げているため確証困難で、環境変化と人為的影響のどちらを重視するのかなど、議論が続いています。
本論文は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のランチョ・ラ・ブレア(Rancho La Brea、略してRLB)で発見された大型動物について、暦年代で15600~10000年前頃となる、7種の絶滅種と1種の現生種の172点の新たな放射性炭素年代を得ました。RLB には、55万年以上前から完新世にかけて、大型動物相がロサンゼルス盆地に生息していたことを示す、ほぼ連続的な記録が残っています。分析の結果、7種の絶滅大型動物は12900年前頃までに消滅した、と示されこれはヤンガードライアスの開始前です。
高解像度の地域的データセットとの比較から、これらの消滅は、ベーリング・アレレード(Bølling-Allerød)期における乾燥化と植生変化に続いた生態学的状態の変化と一致する、と明らかになりました。時系列モデル化は絶滅の主因として大規模な火災を示唆しており、この状態変化の契機は、乾燥化と温暖化とますます火災が発生しやすくなった生態系における、ヒトの影響増大だったかもしれません。こうした知見は、新世の絶滅の一因となった動力学を理解するさいの手がかりとなるだけではなく、地中海など現代の生態系の変化を理解するための情報にもなります。
参考文献:
O’keefe FR. et al.(2023): Pre–Younger Dryas megafaunal extirpation at Rancho La Brea linked to fire-driven state shift. Science, 381, 6659, eabo3594.
https://doi.org/10.1126/science.abo3594
本論文は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のランチョ・ラ・ブレア(Rancho La Brea、略してRLB)で発見された大型動物について、暦年代で15600~10000年前頃となる、7種の絶滅種と1種の現生種の172点の新たな放射性炭素年代を得ました。RLB には、55万年以上前から完新世にかけて、大型動物相がロサンゼルス盆地に生息していたことを示す、ほぼ連続的な記録が残っています。分析の結果、7種の絶滅大型動物は12900年前頃までに消滅した、と示されこれはヤンガードライアスの開始前です。
高解像度の地域的データセットとの比較から、これらの消滅は、ベーリング・アレレード(Bølling-Allerød)期における乾燥化と植生変化に続いた生態学的状態の変化と一致する、と明らかになりました。時系列モデル化は絶滅の主因として大規模な火災を示唆しており、この状態変化の契機は、乾燥化と温暖化とますます火災が発生しやすくなった生態系における、ヒトの影響増大だったかもしれません。こうした知見は、新世の絶滅の一因となった動力学を理解するさいの手がかりとなるだけではなく、地中海など現代の生態系の変化を理解するための情報にもなります。
参考文献:
O’keefe FR. et al.(2023): Pre–Younger Dryas megafaunal extirpation at Rancho La Brea linked to fire-driven state shift. Science, 381, 6659, eabo3594.
https://doi.org/10.1126/science.abo3594
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