ウェールズで発見された新たなバージェス頁岩型動物相
ウェールズで発見された新たなバージェス頁岩型動物相を報告した研究(Botting et al., 2023)が公表されました。バージェス頁岩型堆積物には体内の臓器などの軟部組織が保存されており、カンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前頃)の動物進化を理解に重要であり、古代の生物の形態や動物が支配的だった初期の群集の生態系を知る上で、他に類を見ないものです。こうした堆積物は通常カンブリア紀に限られていますが、モロッコのフェズアタ(Fezouata)生物相のような、前期オルドビス紀(4億8500万~4億7000万年前頃)の地層でも稀に見られます。しかし、そうした希少な例は、その後の生態系の進化を示すものの、オルドビス紀の大繁殖の主要段階より前のものであるにすぎず、オルドビス紀後期の保存的化石鉱脈(Konservat-Lagerstätte)は、多様で開けた岩棚群集を形成していないため、バージェス頁岩型の動物相とは直接比較できず、オルドビス紀生物多様性の重要な時期における生態系の発達を追跡する能力は限定されています。
本論文は、キャッスルバンク採石場(Castle Bank Quarry)で発見された4億6200万年前(中期オルドビス紀)頃となる新たなバージェス頁岩型動物相動物相を報告します。この動物相は概して小型(体長1~5mm)の多様な海生生物の群集で、消化器系などの軟部組織や、眼や視神経、脳などの神経組織が多数保存されており、発見された生物の中には、蠕虫類やヒトデ類や海綿動物や甲殻類の他に、カンブリア紀のオパビニア類やメガケイラ類に似た絶滅節足動物が含まれ、それがオルドビス紀まで生き延びていた、と示されています。
こうした特徴により、キャッスルバンク採石場の新たなバージェス頁岩型動物相動物相は、古環境や保存様式においてバージェス頁岩と直接比較でき、初期の動物進化に関する新しい視点を提供します。キャッスルバンクの動物相の研究に関わる国際的な活動は、顕微鏡装置の購入でクラウドファンディング計画による支援を受けており、これまでに170種以上を特定し、今後もさらに多くの分類群が特定されることが期待されているそうです。この研究は、キャッスルバンク動物相はオルドビス紀の動物の初期進化やカンブリア紀からそれ以降への動物相の移行に関して新たな展望をもたらす、と結論づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
古生物学:4億6200万年前の多様な海生生物の姿をとどめるウェールズの化石
極めて保存状態が良好な4億6200万年前(中期オルドビス紀)の海生動物相の集団が、英国ウェールズのキャッスルバンク採石場(Castle Bank Quarry)で発見され、このことを報告する論文が、Nature Ecology & Evolutionに掲載される。
バージェス頁岩型(その種の化石が最初に見つかったカナダの発掘地にちなむ呼称)の堆積物は、体内の臓器などの軟部組織が保存されており、動物の進化の理解に重要である。通常、その種の堆積物はカンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前)に限られるが、モロッコのフェズアタ(Fezouata)生物相のように、ごく少数ながら前期オルドビス紀(4億8500万~4億7000万年前)のものも存在する。オルドビス紀の新しい動物相はそれ以前のものと直接比較することができず、後に続いた生態学的展開はなかなかたどることができない。
Joseph Bottingらは、ウェールズのキャッスルバンク採石場で発見された約4億6200万年前(中期オルドビス紀)の新たなバージェス頁岩型動物相を報告している。そのキャッスルバンクの動物相は、概して小型(体長1~5ミリメートル)の多様な海生生物の群集で、消化器系などの軟部組織や、眼や視神経、脳などの神経組織が保存されているものが多い。発見された生物の中には、蠕虫類、ヒトデ類、海綿動物、甲殻類の他、カンブリア紀のオパビニア類やメガケイラ類に似た絶滅節足動物が含まれ、今回それがオルドビス紀まで生き延びていたことが示されている。
研究チームによれば、キャッスルバンクの動物相の研究に関わる国際的な活動は、顕微鏡装置の購入でクラウドファンディング計画による支援を受けており、これまでに170種以上を特定し、今後もさらに多くの分類群が特定されることが期待されているという。著者らは、キャッスルバンクの動物相はオルドビス紀の動物の初期進化やカンブリア紀からそれ以降への動物相の移行に関して新たな展望をもたらす、と結論付けている。
参考文献:
Botting JP. et al.(2023): Increasing impacts of land use on biodiversity and carbon sequestration driven by population and economic growth. Nature Ecology & Evolution, 7, 5, 666–674.
https://doi.org/10.1038/s41559-023-02038-4
本論文は、キャッスルバンク採石場(Castle Bank Quarry)で発見された4億6200万年前(中期オルドビス紀)頃となる新たなバージェス頁岩型動物相動物相を報告します。この動物相は概して小型(体長1~5mm)の多様な海生生物の群集で、消化器系などの軟部組織や、眼や視神経、脳などの神経組織が多数保存されており、発見された生物の中には、蠕虫類やヒトデ類や海綿動物や甲殻類の他に、カンブリア紀のオパビニア類やメガケイラ類に似た絶滅節足動物が含まれ、それがオルドビス紀まで生き延びていた、と示されています。
こうした特徴により、キャッスルバンク採石場の新たなバージェス頁岩型動物相動物相は、古環境や保存様式においてバージェス頁岩と直接比較でき、初期の動物進化に関する新しい視点を提供します。キャッスルバンクの動物相の研究に関わる国際的な活動は、顕微鏡装置の購入でクラウドファンディング計画による支援を受けており、これまでに170種以上を特定し、今後もさらに多くの分類群が特定されることが期待されているそうです。この研究は、キャッスルバンク動物相はオルドビス紀の動物の初期進化やカンブリア紀からそれ以降への動物相の移行に関して新たな展望をもたらす、と結論づけています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
古生物学:4億6200万年前の多様な海生生物の姿をとどめるウェールズの化石
極めて保存状態が良好な4億6200万年前(中期オルドビス紀)の海生動物相の集団が、英国ウェールズのキャッスルバンク採石場(Castle Bank Quarry)で発見され、このことを報告する論文が、Nature Ecology & Evolutionに掲載される。
バージェス頁岩型(その種の化石が最初に見つかったカナダの発掘地にちなむ呼称)の堆積物は、体内の臓器などの軟部組織が保存されており、動物の進化の理解に重要である。通常、その種の堆積物はカンブリア紀(5億4100万~4億8500万年前)に限られるが、モロッコのフェズアタ(Fezouata)生物相のように、ごく少数ながら前期オルドビス紀(4億8500万~4億7000万年前)のものも存在する。オルドビス紀の新しい動物相はそれ以前のものと直接比較することができず、後に続いた生態学的展開はなかなかたどることができない。
Joseph Bottingらは、ウェールズのキャッスルバンク採石場で発見された約4億6200万年前(中期オルドビス紀)の新たなバージェス頁岩型動物相を報告している。そのキャッスルバンクの動物相は、概して小型(体長1~5ミリメートル)の多様な海生生物の群集で、消化器系などの軟部組織や、眼や視神経、脳などの神経組織が保存されているものが多い。発見された生物の中には、蠕虫類、ヒトデ類、海綿動物、甲殻類の他、カンブリア紀のオパビニア類やメガケイラ類に似た絶滅節足動物が含まれ、今回それがオルドビス紀まで生き延びていたことが示されている。
研究チームによれば、キャッスルバンクの動物相の研究に関わる国際的な活動は、顕微鏡装置の購入でクラウドファンディング計画による支援を受けており、これまでに170種以上を特定し、今後もさらに多くの分類群が特定されることが期待されているという。著者らは、キャッスルバンクの動物相はオルドビス紀の動物の初期進化やカンブリア紀からそれ以降への動物相の移行に関して新たな展望をもたらす、と結論付けている。
参考文献:
Botting JP. et al.(2023): Increasing impacts of land use on biodiversity and carbon sequestration driven by population and economic growth. Nature Ecology & Evolution, 7, 5, 666–674.
https://doi.org/10.1038/s41559-023-02038-4
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