大河ドラマ『どうする家康』第23回「瀬名、覚醒」

 今回は瀬名(築山殿)の動向を中心に話が展開しました。すでに瀬名が武田の間者である千代と接触していることは描かれており、長篠合戦後に徳川家康の嫡男である信康が精神的変調をきたしたこととともに、本作最大の山場と明かされている瀬名の死がどう描かれるのか、注目していましたが、瀬名は千代と相変わらず接触しており、千代に和議を提案します。しかし千代からは、和議を望んでいるのは瀬名の方ではないか、と指摘します。このやり取りを信康の妻である五徳が探っており、父である信長に報せます。

 これが瀬名の死につながるのでしょうが、信長はまず家康の伯父である水野信元に武田との内通の嫌疑をかけて、家康に処断を迫ります。権力者が配下の忠誠心を試すのはよくあることで、家康と信長の関係性が軸になっている本作では、家康に対する信長の疑心から話が展開し、瀬名と信康の死に向かって話を盛り上げてきたように思うので、今後の展開が注目されます。水野信元は今回で退場となり、登場回数は少なかったものの、強烈な存在感を示しました。徳川秀忠の母となる於愛の方は今回が初登場となり、大らかな人柄のようです。

 実際にどうだったのか分かりませんが、後世に伝わる信康の「乱行」は精神的変調の結果と解釈されており、2017年放送の『おんな城主 直虎』の時とは異なり、本作ではずっと優等生として描かれているわけではありません。瀬名は信康の精神的変調を見て、覚悟を決めて武田家重臣との面会を千代に求め、やって来たのは明の医師と偽った武田家重臣の穴山信君でした。瀬名が何を画策しているのか、今回はまだ明示されていませんが、信康にもその構想を語ったようですから、瀬名と信康が武田との内通の嫌疑で信長から死を命じられる、という話になりそうです。家康がどう対応するのか、家康の戦国大名としての成長という観点からも、瀬名と信康の死は注目されます。

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