サメとガンギエイとアカエイへの白亜紀から古第三紀の大量絶滅の影響

 サメとガンギエイとアカエイへの白亜紀から古第三紀の大量絶滅の影響に関する研究(Guinot, and Condamine., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。白亜紀と古第三紀の間(K-Pg)の6600万年前頃に最後の大量絶滅事象が起き【現在、大量絶滅が進行中との見解も有力かもしれません】、地球上の55~76%の種が消えた、と推測されています。最近の研究から、K-Pg境界にわたる絶滅パターンは複雑で、分岐群・生態系・地理的地域の間で深刻さが異なる、と示されています。しかし、その影響や種水準の海洋脊椎動物の多様性に関する長期的な影響は、まだほとんど解明されていません。

 この研究は、白亜紀後期から暁新世までの675種、3200件以上の化石を用いて、白亜紀末の種分化と絶滅と生態的変化を地球規模で定量的に明らかにしました。白亜紀と暁新世の境界で軟骨魚類(サメやガンギエイやアカエイ)は62%以上減少し、暁新世でも完全には回復しませんでしたが、この絶滅のパターンには差異がありました。有殻類を食べるアカエイなどの種および古いサメ種は絶滅率が最も高最も高く(72%以上)、他のサメ種と有殻類を食べない種はあまり影響を受けず、その後の回復も早かった、と明らかになりました。また、地理的に広い範囲に生息する種や高緯度に限定された種は生存率が高いことも示されました。K-Pg境界の絶滅事象は、海洋生態系の進化史を劇的に変化させました。


参考文献:
Guinot G, and Condamine FL.(2023): Expanded geographic distribution and dietary strategies of the earliest Oldowan hominins and Paranthropus. Science, 379, 6634, 802–806.
https://doi.org/10.1126/science.abn2080

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