大河ドラマ『どうする家康』第17回「三方ヶ原合戦」

 今回は三方ヶ原合戦が描かれましたが、徳川家康と織田信長の交渉と関係、家康が今生の別れになると覚悟して瀬名に会ったことも含めて、三方ヶ原合戦へと至る過程こそ詳しかったものの、あっさりと三方ヶ原合戦での徳川軍の大敗まで進み、詳細は次回の「真・三方ヶ原合戦」にて回想で語られるようです。井伊虎松(直政)をこの徳川と武田の戦いにおける遠江の傍観者とすることも含めて、この構成はなかなか工夫されているように思いますが、その評価は次回を俟たねばならないでしょう。

 2回にわたって描くとは、家康の当時としては長い生涯でも有数の危機とされている三方ヶ原合戦は、本作ではかなり重視されているようで、家康を成長させた重要な契機になった、との位置づけなのでしょう。本作の武田信玄は、家康を翻弄する大物として描かれており、家康とは敵対的関係にある局面が多いものの、今川義元とともに、家康にとっての師匠であるようにも思われます。その意味で、やはり三方ヶ原合戦は本作の山場の一つになりそうです。

 やや気になるのは、同じく徳川家康を主人公とする1983年放送の大河ドラマ『徳川家康』では、第13回で三方ヶ原合戦が描かれたことです。本作はすでに統一地方選挙で1回放送が休止になっていますし、近年の大河ドラマの傾向からは、おそらく47回か48回の放送になりそうですから、『徳川家康』よりも2~3回ほど話数が少なくなりそうです。そうすると、『徳川家康』もかなり駆け足気味の作品だったので、本作の今後の展開にはやや不安が残ります。『徳川家康』では小牧長久手の戦いもあっさり風味でしたし、本作もどこかで視聴者に違和感を抱かせるほど急な展開があるのではないか、と懸念されます。

 ただ、『徳川家康』は三方ヶ原合戦から松平信康と築山殿(瀬名)の死までをかなり詳しく描いており、この間、一時は大賀(本作では近年の研究の進展を踏まえて大岡)弥四郎が主人公とも言えるほど目立っていたので、本作がこの間を『徳川家康』ほどには詳しく描かないとしたら、本能寺の変や伊賀越えや関ヶ原合戦や大坂の陣を描くだけの時間的余裕があるかな、とは思います。信康とその妻である五徳も今回から成人役で登場し、すでに本作の山場と明かされている築山殿の死がその息子である信康の死と絡めてどう描かれるのか、注目されます。

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