大相撲夏場所千秋楽

 今場所は番付発表後に逸ノ城関の引退が発表され、昨年(2022年)名古屋場所で優勝してからまだ1年も経っておらず、先場所は不祥事による処分のため降格していた十両で優勝していたので、本当に驚くとともに、2014年の新入幕の頃からずっと応援してきただけに、たいへん残念に思いました。逸ノ城関については近年色々と醜聞が報じられており、それがどれだけ実際にあったことなのか、私は的確に判断できませんが、その醜聞がかなりのところ事実だったとしても、逸ノ城関にはそこから立ち直ってもらいたかったものです。さらに、今場所6日目には新入幕の頃からずっと応援してきた栃ノ心関も引退を発表し、さらに落ち込んでしまいましたが、これで熱心に応援している力士がいなくなり、より公平にというか客観的に相撲を楽しめるところもあるように思います。

 今場所は、4場所連続で休場、直近3場所は全休していた横綱の照ノ富士関が、久々に出場しました。照ノ富士関は終始先頭に立ち、14日目に8回目の優勝を決め、千秋楽には貴景勝関に勝って14勝1敗で今場所を終えました。照ノ富士関は優勝したとはいえ、横綱昇進前後の強さを取り戻したとは言えない、と考えていますが、かなり復調したように思います。やはり、しっかりと休場したことがよかったのでしょう。照ノ富士関は、最初の大関時代には無理に出場して状態がさらに悪化したように思いますが、横綱は地位が下がらないだけに、思い切って休場することも可能なのでしょう。もちろん、横綱として一定以上の状態に戻るまで復帰できない、との判断もあったのでしょう。ただ、照ノ富士関はいつ引退しても不思議ではなく、今後、長期にわたって横綱不在になる可能性は低くないように思います。

 大関昇進のかかった霧馬山関は、勝っていても序盤の相撲内容が悪かったので、やや不安でしたが、次第に相撲内容がよくなり、11勝4敗で大関昇進を決めました。大関に昇進すると、その重圧から不振に陥る力士も少なくないように思いますが、今場所の序盤の相撲内容からは、霧馬山関も年に2場所か3場所二桁勝つくらいの並以下の大関になる可能性もあるとは思います。ただ、大関に昇進して自信をつけるとすると、並以上の大関になり、さらには横綱に昇進する可能性も低くはないと思います。

 今場所は霧馬山関も含めて関脇陣が好調で、盛り上がったように思います。豊昇龍関は11勝4敗として最近2場所で合計21勝、若元春関は10勝5敗として最近2場所で合計21勝となり、大栄翔関も10勝5敗として最近2場所で合計22勝なので、来場所はこの3関脇の中から大関昇進があっても不思議ではありません。今場所8勝7敗と何とか勝ち越して角番を脱した貴景勝関は、怪我が多く近いうちに大関から陥落する可能性も低くないだけに、日本相撲協会としては、さらに2人くらい大関に昇進してもらいたいところでしょうか。

 北青鵬関は終盤に5連敗して8勝7敗に終わりましたが、「規格外」の相撲内容で大きな注目を集めたように思います。私は、北青鵬関が新十両だった2021年秋場所の時点で将来の大関候補に挙げていましたが(関連記事)、研究されると上位で大勝ちするのはなかなか難しそうですし、何よりも怪我をしやすい取り口のように思うので、過度に期待はできないかな、と今では考えています。北青鵬関が今後どこまで昇進できるのか、師匠である宮城野親方(元横綱の白鵬関)の手腕も問われるように思います。幕内に復帰した朝乃山関は優勝争いに絡んで12勝3敗としました。朝乃山関の謹慎期間中に上位が力をつけてきたので、大関復帰は難しそうですが、関脇までは近いうちに戻れそうです。

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