大河ドラマ『どうする家康』第19回「お手付きしてどうする!」

 今回は徳川家康と結城秀康の母親であるお万(長勝院殿)との関係が描かれました。秀康は築山殿(瀬名)の死後に家康の子供と認知されましたが、これは、秀康の母親が築山殿から家康の妾として承認されなかったからで、この経緯が江戸時代前期には築山殿の「嫉妬」のためと矮小化されていきます(関連記事)。本作はこうした人間関係について近年の研究成果を取り入れているようなので、この件をどう描くのか注目していましたが、近年の研究成果に則って、江戸時代前期の逸話を採用しつつ、これまで描かれてきた瀬名の人柄と齟齬しない話になっていました。お万はかなりしたたかな人物でしたが、なかなか長命でしたし、秀康も登場するでしょうから、今後も出番があるのではないか、と注目しています。

 武田信玄は今回で退場となります。信玄は家康にとって最強の敵といった位置づけですが、それだけではなく、家康にとって今川義元とともに戦国大名としての師匠といった感もあり、信玄は本作において登場場面こそ少なかったものの、存在感は大きなものがあったように思います。信玄は息子の武田勝頼に自分を超える逸材だと言い残しましたが、勝頼はとても父には及ばないと考えているようです。この信玄の遺言が勝頼にとって重圧となり、長篠での敗戦と、ついには滅亡につながるのでしょうか。勝頼は本作でかなり重要な人物のようなので、今後の武田の動向も注目されます。

 足利義昭は都から追放され、明智光秀は織田信長への忠誠を誓いますが、これまでの描写では単に狡猾なお調子者に見え、優秀なところが示されていないので、不気味な感じを漂わせているものの、あまり怖さがないように思います。まあ、一視聴者としては、本能寺の変で信長を死に追いやる、という結末から人物像を想定しているところもありますし、今後光秀の人物像が深く描かれ、本能寺の変へと上手くつながっていくのではないか、とも期待しています。浅井家が滅亡し、羽柴秀吉はお市の方の救出に成功しますが、お市の方からはかなり嫌われたようです。これが、お市の方の自害へとつながるのでしょうか。お市の方は本作では重要人物の一人と位置づけられているようですし、その長女の茶々(淀殿)は本作後半の最重要人物かもしれないので、お市の方と三人の娘、とくに茶々との関係がどう描かれるのかも注目されます。

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