サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物
取り上げるのがたいへん遅れてしまいましたが、サルデーニャ島の絶滅イヌ科動物に関する研究(Ciucani et al., 2021)が公表されました。イヌは家畜としての歴史が他の種よりはるかに長いと考えられ、現代社会では愛玩動物として家庭で飼育されていることが多く、は現代人にとって最も身近な動物とも言えそうです。そのため、イヌは遺伝学でも高い関心が寄せられているようで、イヌの家畜化に関する古代ゲノム研究も盛んです(関連記事)。本論文は、サルデーニャ島とコルシカ島に更新世末まで生息していた、現在では絶滅したサルデーニャドール(Cynotherium sardous)の古代ゲノムデータを報告しています。
●要約
サルデーニャドールは、後期更新世末に絶滅するまで、サルデーニャ島とコルシカ島に固有だったドール象徴的で独特な種です。その特有の歯の形態と小さな身体サイズと固有性の高さから、アジアのドールやアフリカの狩猟犬の祖先を含めて、いくつかの現存イヌ科はサルデーニャドールの近縁かもしれない、と提案されてきました。形態計測分析では、他のイヌ科との進化的関係を明確にできませんでした。本論文は、サルデーニャドールのゲノム史を理解し、その系統的位置を明確にするため、21000年前頃のサルデーニャドールのゲノムを配列決定しました。
その結果、サルデーニャドールはユーラシアとアフリカと北アメリカ大陸の全ての他の現生イヌ科とは別の分類群を表しており、サルデーニャドール系統はアジアのドールと885000年前頃に分岐した、と分かりました。さらに、サルデーニャドールとアジアのドールの系統間の遺伝子流動が検出され、これは50万~30万年前頃に終了し、その頃には、個体群を接続していたサルデーニャ島とイタリア本土との間の陸橋がすでに断絶していました。この研究の標本は、他の現存イヌ科と比較して低いゲノム規模多様性を示しており、それは恐らく長期の孤立の結果で、サルデーニャドールのその後の絶滅につながったかもしれません。
●分析結果と考察
この研究は、サルデーニャ島のコルベッドゥ洞窟(Corbeddu Cave)のサルデーニャドール(SD)のゲノムの再配列決定に成功し(図1A・B)、平均網羅率は約5倍です。この標本は放射性炭素年代測定では較正年代で21000年前頃となり(図1C)、マッピング(多少の違いを許容しつつ、ヒトゲノム配列内の類似性が高い処理を同定する情報処理)された読み取り分析は高水準のDNA損傷を示しました。家畜イヌの参照ゲノムの性染色体および常染色体でマッピングされた読み取り網羅率の深度を比較すると、この標本はSDの雌に由来する、と分かりました。以下は本論文の図1です。
他のイヌ科とともに進化史の文脈においてSDを位置づけるため、以前に刊行されたイヌ科49個体のゲノムとともにSDが分析されました。参照データセットに用いられた標本のゲノム規模の網羅率の範囲は4.4~28.2倍で、ユーラシアとアフリカとアメリカ大陸のオオカミ的なイヌ科の種の多様性が網羅されており、外群として、アフリカの猟犬リカオン(Lycaon pictus)、アジアのドール(Cuon alpinus、アカオオカミ)、アビシニアジャッカル(Canis simensis)、コヨーテ(Canis latrans)、アフリカンゴールデンウルフ(Canis lupaster)、キンイロジャッカル(Canis aureus Linnaeus)、ハイイロオオカミ(Canis lupus)、家畜イヌ(Canis lupus familiaris)、クルペオギツネ(Lycalopex culpaeus)が含まれます。ダイアウルフ(Canis dirus)とユーラシアのドール(アカオオカミ)の3点以上の古代標本は、ミトコンドリアの系統を推定するためだけに用いられました。
他のイヌ科におけるSDの系統的位置を調べ、とくにアジアのドール(アカオオカミ)との関係を理解するため、ASTRAL-IIIを用いて、核ゲノム全体の無作為選択の5000塩基対領域から推定された1000の遺伝子系統樹を組み合わせることにより、この研究に含まれるイヌ科の種系統樹が推定されました。推定された種系統樹は、クルペオギツネを外群として用いて、作成されました(図2A)。ASTRAL-IIIにより推定された複数種合着(合祖)系統樹では、SDはアカオオカミ内で異なる系統を形成し、イヌ属とは姉妹系統です。データセットにおいて50点のミトコンドリアゲノムを用いて計算されたミトコンドリア系統は、SDを現代および古代両方のドールの基底部に位置づけ(図2B)、SDの、ドール属系統との関係およびドール属の古代と現代の個体群間の多様化前の分岐が確証されます。以下は本論文の図2です。
その後、種系統樹と核ゲノムに基づく遺伝子系統樹との間の不一致が検証され、SDとアカオオカミとイヌ属と基底イヌ科を分ける枝の不確実性が定量化されました。上述の枝により導かられる二分裂の頻度(図2Aにおいて枝16として識別されます)は、種系統樹内の全ての枝についての類似の測定とともに、図2Cに示されます。枝16により導かれる3通りのあり得る二分裂のうち2通りは、真の接続形態を識別するのに必要と以前に示されている切捨値である33%以上の頻度を有しています。
本質的に、SDとアカオオカミをクラスタ化する(まとめる)遺伝子系統樹の方が可能性は高そうですが、両方の接続形態、つまりSDとアカオオカミもしくはイヌ属とのクラスタ化は、全ての遺伝子系統樹の33%以上で観察され、両方の接続形態が真の系統を表しているかもしれない、と示唆されます。さらに、Twisst分析が実行されました。Twisst分析は、下位系統樹の反復標本抽出により接続形態の重みづけを実行して、SDのさまざまな系統発生的位置づけを裏づけるゲノムの割合を推定します。Twisstの結果から、ゲノムの約60%がSDとアカオオカミとのクラスタ化を裏づける、と推定されました。
次に、外群を除く46個体で主成分分析(principal component analysi、略してPCA)が実行されました。先行研究と一致して、主成分1(55.9%)と主成分2(8.45%)に沿って、アフリカの猟犬リカオン(AHD)はともにクラスタ化し、この研究で含まれる他のイヌ科とは区別される、と分かりました。同時に、SDは独特な配置を保持しており、最初の2主成分に沿って、2頭の現代の代表的なアカオオカミの近くに位置します(図2D)。主成分2はドール標本をイヌ属から分離します。同様に、AHDを除外してPCAを実行すると、主成分1はSDをアカオオカミとイヌ属集団との間に位置づけます。SDと他のイヌ科との間の関係をさらに調べるため、クルペオギツネを除く全ての標本について、遺伝子型尤度に基づいて混合分析が実行されました(図2E)。
明らかに、2つの祖先のクラスタ(系統構成要素数であるK=2)のみが推定された場合、最初の分岐系統であるAHDはイヌ属から分離し、ドール属の2種はこれら2クラスタの混合として表されます。推定される祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)クラスタを4に増やすと(K=4)、AHDとドール属とハイイロオオカミ/イヌとイヌ科の残りとの間の区分が観察されました。具体的には、AHDが同じ構造を維持したのに対して、SDとアカオオカミは自身のクラスタへと分類されました。推定される祖先系統クラスタの数を増やすと、標本は種および/もしくは個体群に応じてクラスタへと収まり、SDはアカオオカミ2頭とクラスタ化します。
系統樹でのSDの不確実な配置から、SDと他のイヌ科との間の歴史的な遺伝子流動事象が調べられることになりました。4個体群/標本を用いるD統計が、イヌ科系統間の遺伝子流動の特定に適用されました。外群としてクルペオギツネを用いて、標本の全てのあり得る3組を用いて、D統計が計算されました。更新世ヨーロッパにおけるAHDとドール属の祖先の過去の存在を考慮して、AHDが姉妹クレード(単系統群)である接続形態が調べられ、内群ではSDとアカオオカミが用いられました。つまり、D形式(アカオオカミ、SD;AHD、クルペオギツネ)です。その結果は、AHDとSDとの間のアレル共有と比較して、アカオオカミとAHDとの間のアレル(対立遺伝子)共有の有意な過剰を示唆します(図3A)。以下は本論文の図3です。
次に、SDと他のイヌ属種との間の遺伝子流動の兆候が探されました。異なる3通りの組み合わせ、つまり1:(イヌ属、キンイロジャッカル;SD、クルペオギツネ)、2:(イヌ属、アビシニアジャッカル;SD、クルペオギツネ)、3:(イヌ属、アフリカンゴールデンウルフ;SD、クルペオギツネ)が検証され、D統計はハイイロオオカミとSDとの間でより高いアレル共有を示唆しました。この結果は、2つのシナリオを提起しているかもしれません。それは、(1)ハイイロオオカミとSDとの間でじっさいに遺伝子流動があったか、(2)アビシニアジャッカルとアフリカンゴールデンウルフとキンイロジャッカルという関連する3種が、系統ではSDの外に位置し、この研究では表されていない1種と祖先系統を共有している、というものです。このシナリオは、未知のイヌ科からハイイロオオカミとコヨーテの祖先への未知のイヌ科からの遺伝子流動を仮定した、基底部のイヌ科に関する先行研究の調査結果と一致します。
SDの祖先がサルデーニャ島とコルシカ島へと両島とヨーロッパ本土の間の陸のつながりを通って到来した、と仮定すると、これはサルデーニャ島とコルシカ島への移住の可能性が、メッシニアン塩分危機(Messinian salinity crisis、略してMSC)となる500万年前頃か、鮮新世~更新世の境界に近い300万年前頃となります。しかし、それ以降には両島とヨーロッパ本土との間にSD(の祖先)の移動を可能とする陸橋の証拠はありません。それにも関わらず、サルデーニャ島の更新世の哺乳類は現在、前期更新世末までに起きた分類群組成の変化を表す、2つの主要な動物相複合に区別されます。より古いネソゴラル動物相複合(Nesogoral Faunal Complex)がネソゴラル・メロニイ(Nesogoral melonii)やマカク・マイオリ(Macaca maiori)や小型ブタ(Sus sondaari)により特徴づけられるのに対して、より新しいティッレニコラ動物相複合(Tyrrhenicola Faunal Complex)はティッレニコラ・ヘンセリ(Tyrrenicola henseli)やシカ科のメガロセロス・キャズィオティ(Megaloceros cazioti)により表されます。
この観察された移行はおそらく、長い置換過程の結果で、その過程ではわずかな新種が既存の系統の子孫を表している一方で、置換はおもに大陸部の種による水を渡っての移住でなされました。この複雑なシナリオを考えると、多くの以前の研究はSDを、前期更新世と中期更新世の移行期に一掃もしくは消極的拡散によりサルデーニャ島とコルシカ島に到達したかもしれない、クセノキオン(Xenocyon)属の亜属かドール属の亜属かイヌ属の派生的亜属とみなしました。この現象は、とくに海水準の変動期にあり得ることで、サルデーニャ島における動物相転換に寄与した、と知られています。
したがって、ドール属の集団の歴史をさらに調べるため、混合図を用いて、拡散祖先系統がアカオオカミにおけるAHD的混合と、SDにおけるイヌ属的混合のどちらにより説明できるのか、検証されました。まず、AHDとドール属とアビシニアジャッカルとクルペオギツネを外群として用いて、SDへのアカオオカミの祖先に由来する祖先系統の割合が推定されました。その結果、アカオオカミとSDの祖先集団を表す分岐点は過去にAHDの祖先集団から分岐した分岐点に60%が由来する、と分かりました(図3C)。第二の混合事象は、AHD祖先系統の25%をアカオオカミの祖先にのみもたらします。その後、上述の図にポルトガルのオオカミを含めると、アビシニアジャッカルとドール属の祖先間の1回以上の混合事象をモデル化する必要がある、と分かりました。アビシニアジャッカルは、ドール属と関連する祖先集団から4%と、イヌ属系統から96%の混合として最適にモデル化されました。この最後の混合事象は、アビシニアジャッカルがドール属と祖先系統の一部を共有するとした、4祖先系統構成要素(図2E)を用いての混合分析で得られた結果を確証しました。
サルデーニャ島とコルシカ島の地質学的歴史を、長期の孤立および移住の周期とともに考慮し、ゲノム規模異型接合性と有効個体群規模の推定値を用いて、SDにおける遺伝的多様性に関する孤立の影響が調べられました。したがって、まず本論文のデータセットにおける全ての代表的なイヌ科種について、滑動解析単位(sliding window)で異型接合性が推測され、SDは、アビシニアジャッカルやAHDなど小さな有効個体群規模の他の孤立したイヌ科と比較して、全ゲノムにわたって顕著に低水準の異型接合性を示す、と分かりました(図4A)。以下は本論文の図4です。
他のドール属2集団は、異型接合性の分布では高い領域とひじょうに低い領域があり、二峰性分布を強く示しました。これは恐らく、その最近の集団史と飼育下での繁殖の結果です。ボトルネック(瓶首効果)もしくは個体数現象を経たさまざまなイヌ科種では、安定して長期の個体数減少を経たジンバブエやケニアや南アフリカ共和国のAHDと比較して、SDは全ゲノムにわたって遺伝的多様性の減少を示しました。この結果は、SDの過去の集団動態の明確な全体像と、長期の孤立がそのゲノムをどのように形成したのか、表しています。ゲノムの全領域にわたるSDの低水準の異型接合性は、長期の小さな有効個体群規模を強く示唆しており、マウンテンゴリラ(Gorilla beringei beringei)と類似した集団動態を示します。
次に、個体B(アカオオカミ)において異型接合である部位で派生的アレルを有する個体A(SD)の確率を推定する統計F(A|B)を用いて、SDと同時代のアカオオカミとの間の分岐時間が計算されました。この手法の背景にある仮定は、2集団が分岐し始める時に両者は、孤立に起因し、他の集団と共有されないだろう変異も蓄積するだろう、というものです。SDはアカオオカミでは異型接合だった部位の2%で派生的アレルを有していた、と推定されました。次に、派生的アレルの割合が要約統計量として用いられ、複数の分岐時間の模擬実験から、SDとアカオオカミ分岐時間が推定されました。対での逐次マルコフ合着(pairwise sequentially Markovian coalescent、略してPSMC、関連記事)を用いて推定された、アカオオカミの有効個体群規模を用いて、模擬実験が較正されました。PSMCは、単一の二倍体個体における異型接合部位の量と密度から有効個体群規模を推定します。ハイイロオオカミの変異率(1世代あたり4×10⁻⁹塩基対)と1世代3年との仮定を用いて、模擬実験が較正されました。F(A|B)を用いて、SDとアカオオカミは885000年前頃(90万~87万年前頃)に分岐した、と結論づけられます(図4B)。
この時期は、サルデーニャ島とヨーロッパ本土との間の陸橋の最期の出現の後となりますが、サルデーニャドール属の祖先が海水準の低下した95万~85万年前頃にサルデーニャ島に到来した、と証明した先行研究と一致します。サルデーニャドール属の未知の種の単一の鮮新世~更新世の化石により証明されているように、他のドール属的系統がこれ以前にサルデーニャ島に入ったこともあり得ます。しかし、中期更新世まで標本が少ないことから、アカオオカミとSDとの間の最終共通祖先が前期更新世末(885000年前頃)までにサルデーニャ島に入り、それ以降に2系統が分岐し始めた、と仮定されます。
最後に、hPSMCを用いての疑似二倍体集団統計学的分析の実行により、SD/アカオオカミとSD/エチオピアハイイロオオカミと家畜イヌとの間の遺伝子流動の時期が調べられました。その結果、SDと現代のアカオオカミの祖先との間の遺伝子流動が51万~31万年前頃に終わったのに対して、SDとユーラシアのオオカミ的な祖先との間の遺伝子流動は51万~36万年前頃に終わった、と示唆されます。これは、SDと他の2系統との間の遺伝子流動が51万~31万年前頃と同じ頃に終わった可能性を示します。疑似交雑種の集団史(図4C)はほぼ同一と分かり、遺伝子流動は中期更新世に終了し、それはサルデーニャ島に移住したさまざまな動物相複合を検討した多くの文献とも一致する時期である、と示唆されます。
さらに、SD/AHDとアカオオカミ/AHDの交雑種を用いての推定では、AHDとドール属2系統との間の遺伝子流動の終了期間が105万~30万年前頃になる、と判断されました。本論文で報告されたような広い間隔は、2種間の分岐後のひじょうに低水準の遺伝子流動アの結果かもしれません。さらに、ヨーロッパで発見されたリカオン属の最後の化石の年代は83万年前頃で、リカオン属はヨーロッパで前期更新世末に向かって局所的に絶滅した、と示唆されます。
考古学的証拠とhPSMC分析を組み合わせて、リカオン属とヨーロッパにおいてSDおよびドール属の現代的な形態を生み出した系統との間の分岐は、105万~83万年前頃に絞り込める、と仮定されます。AHDの祖先とアカオオカミ系統との間の混合事象は、2種が現在の範囲に限定されていなかった過去に他の場所で起きたかもしれません。たとえば、中期更新世にさかのぼるリカオン属の最初の化石はイスラエルで発見されており、これら2種を分離する生態学的境界線はまだ現在の位置になかった、と示唆されます。これは、恐らくSD系統がサルデーニャ島とコルシカ島で孤立するようになった後に起きた、アカオオカミでのみ観察されたAHDに由来する25%の祖先系統(図3C)を説明できるかもしれません。
結論として、SDの最初の全ゲノムの生成により、ユーラシアとアフリカと北アメリカ大陸の現生イヌ科のゲノム多様性において、SDの系統ゲノム的位置づけが明らかになりました。SDとアカオオカミ系統との間の歴史的な遺伝子流動と、アカオオカミ系統へのAHDの祖先からの過去の混合の証拠が検出されました。SD系統はアカオオカミから885000年前頃に分岐し、その後で遺伝子流動が56万~31万年前頃に終わった、と分かり、これはSDが更新世に何回かサルデーニャ島へと渡った可能性を意味します。しかし、これらの結果から、おそらく中期更新世において時には、サルデーニャ島を世は大陸から分離する海により作られた物理的障壁が、さらなるイヌ科の移動を効率的に終わらせた、と推測できます。
本論文で提示されたSD標本が、サルデーニャ島での長期の孤立とともに、その絶滅に寄与したかもしれない、ゲノム規模多様性の減少を示したことも分かりました。この複雑で微妙な状況では、ヒトが更新世末の哺乳類の絶滅に重要な役割を果たした、との仮定を除外できません。しかし、サルデーニャ島のSD個体群に作用した直接的もしくは間接的な人為的圧力が、長期の孤立や遺伝的多様性の喪失や有効個体群規模(Ne)の減少とともに、SDの絶滅へとつながったかもしれません。本論文で提示された結果は、絶滅種の過去の進化や定着や移住事象に関する知識を改善するための、島嶼生態系からの古代ゲノムの配列決定の重要性も浮き彫りにします。
参考文献:
Ciucani MM. et al.(2021): Evolutionary history of the extinct Sardinian dhole. Current Biology, 31, 24, 5571–5579.E6.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.09.059
●要約
サルデーニャドールは、後期更新世末に絶滅するまで、サルデーニャ島とコルシカ島に固有だったドール象徴的で独特な種です。その特有の歯の形態と小さな身体サイズと固有性の高さから、アジアのドールやアフリカの狩猟犬の祖先を含めて、いくつかの現存イヌ科はサルデーニャドールの近縁かもしれない、と提案されてきました。形態計測分析では、他のイヌ科との進化的関係を明確にできませんでした。本論文は、サルデーニャドールのゲノム史を理解し、その系統的位置を明確にするため、21000年前頃のサルデーニャドールのゲノムを配列決定しました。
その結果、サルデーニャドールはユーラシアとアフリカと北アメリカ大陸の全ての他の現生イヌ科とは別の分類群を表しており、サルデーニャドール系統はアジアのドールと885000年前頃に分岐した、と分かりました。さらに、サルデーニャドールとアジアのドールの系統間の遺伝子流動が検出され、これは50万~30万年前頃に終了し、その頃には、個体群を接続していたサルデーニャ島とイタリア本土との間の陸橋がすでに断絶していました。この研究の標本は、他の現存イヌ科と比較して低いゲノム規模多様性を示しており、それは恐らく長期の孤立の結果で、サルデーニャドールのその後の絶滅につながったかもしれません。
●分析結果と考察
この研究は、サルデーニャ島のコルベッドゥ洞窟(Corbeddu Cave)のサルデーニャドール(SD)のゲノムの再配列決定に成功し(図1A・B)、平均網羅率は約5倍です。この標本は放射性炭素年代測定では較正年代で21000年前頃となり(図1C)、マッピング(多少の違いを許容しつつ、ヒトゲノム配列内の類似性が高い処理を同定する情報処理)された読み取り分析は高水準のDNA損傷を示しました。家畜イヌの参照ゲノムの性染色体および常染色体でマッピングされた読み取り網羅率の深度を比較すると、この標本はSDの雌に由来する、と分かりました。以下は本論文の図1です。
他のイヌ科とともに進化史の文脈においてSDを位置づけるため、以前に刊行されたイヌ科49個体のゲノムとともにSDが分析されました。参照データセットに用いられた標本のゲノム規模の網羅率の範囲は4.4~28.2倍で、ユーラシアとアフリカとアメリカ大陸のオオカミ的なイヌ科の種の多様性が網羅されており、外群として、アフリカの猟犬リカオン(Lycaon pictus)、アジアのドール(Cuon alpinus、アカオオカミ)、アビシニアジャッカル(Canis simensis)、コヨーテ(Canis latrans)、アフリカンゴールデンウルフ(Canis lupaster)、キンイロジャッカル(Canis aureus Linnaeus)、ハイイロオオカミ(Canis lupus)、家畜イヌ(Canis lupus familiaris)、クルペオギツネ(Lycalopex culpaeus)が含まれます。ダイアウルフ(Canis dirus)とユーラシアのドール(アカオオカミ)の3点以上の古代標本は、ミトコンドリアの系統を推定するためだけに用いられました。
他のイヌ科におけるSDの系統的位置を調べ、とくにアジアのドール(アカオオカミ)との関係を理解するため、ASTRAL-IIIを用いて、核ゲノム全体の無作為選択の5000塩基対領域から推定された1000の遺伝子系統樹を組み合わせることにより、この研究に含まれるイヌ科の種系統樹が推定されました。推定された種系統樹は、クルペオギツネを外群として用いて、作成されました(図2A)。ASTRAL-IIIにより推定された複数種合着(合祖)系統樹では、SDはアカオオカミ内で異なる系統を形成し、イヌ属とは姉妹系統です。データセットにおいて50点のミトコンドリアゲノムを用いて計算されたミトコンドリア系統は、SDを現代および古代両方のドールの基底部に位置づけ(図2B)、SDの、ドール属系統との関係およびドール属の古代と現代の個体群間の多様化前の分岐が確証されます。以下は本論文の図2です。
その後、種系統樹と核ゲノムに基づく遺伝子系統樹との間の不一致が検証され、SDとアカオオカミとイヌ属と基底イヌ科を分ける枝の不確実性が定量化されました。上述の枝により導かられる二分裂の頻度(図2Aにおいて枝16として識別されます)は、種系統樹内の全ての枝についての類似の測定とともに、図2Cに示されます。枝16により導かれる3通りのあり得る二分裂のうち2通りは、真の接続形態を識別するのに必要と以前に示されている切捨値である33%以上の頻度を有しています。
本質的に、SDとアカオオカミをクラスタ化する(まとめる)遺伝子系統樹の方が可能性は高そうですが、両方の接続形態、つまりSDとアカオオカミもしくはイヌ属とのクラスタ化は、全ての遺伝子系統樹の33%以上で観察され、両方の接続形態が真の系統を表しているかもしれない、と示唆されます。さらに、Twisst分析が実行されました。Twisst分析は、下位系統樹の反復標本抽出により接続形態の重みづけを実行して、SDのさまざまな系統発生的位置づけを裏づけるゲノムの割合を推定します。Twisstの結果から、ゲノムの約60%がSDとアカオオカミとのクラスタ化を裏づける、と推定されました。
次に、外群を除く46個体で主成分分析(principal component analysi、略してPCA)が実行されました。先行研究と一致して、主成分1(55.9%)と主成分2(8.45%)に沿って、アフリカの猟犬リカオン(AHD)はともにクラスタ化し、この研究で含まれる他のイヌ科とは区別される、と分かりました。同時に、SDは独特な配置を保持しており、最初の2主成分に沿って、2頭の現代の代表的なアカオオカミの近くに位置します(図2D)。主成分2はドール標本をイヌ属から分離します。同様に、AHDを除外してPCAを実行すると、主成分1はSDをアカオオカミとイヌ属集団との間に位置づけます。SDと他のイヌ科との間の関係をさらに調べるため、クルペオギツネを除く全ての標本について、遺伝子型尤度に基づいて混合分析が実行されました(図2E)。
明らかに、2つの祖先のクラスタ(系統構成要素数であるK=2)のみが推定された場合、最初の分岐系統であるAHDはイヌ属から分離し、ドール属の2種はこれら2クラスタの混合として表されます。推定される祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)クラスタを4に増やすと(K=4)、AHDとドール属とハイイロオオカミ/イヌとイヌ科の残りとの間の区分が観察されました。具体的には、AHDが同じ構造を維持したのに対して、SDとアカオオカミは自身のクラスタへと分類されました。推定される祖先系統クラスタの数を増やすと、標本は種および/もしくは個体群に応じてクラスタへと収まり、SDはアカオオカミ2頭とクラスタ化します。
系統樹でのSDの不確実な配置から、SDと他のイヌ科との間の歴史的な遺伝子流動事象が調べられることになりました。4個体群/標本を用いるD統計が、イヌ科系統間の遺伝子流動の特定に適用されました。外群としてクルペオギツネを用いて、標本の全てのあり得る3組を用いて、D統計が計算されました。更新世ヨーロッパにおけるAHDとドール属の祖先の過去の存在を考慮して、AHDが姉妹クレード(単系統群)である接続形態が調べられ、内群ではSDとアカオオカミが用いられました。つまり、D形式(アカオオカミ、SD;AHD、クルペオギツネ)です。その結果は、AHDとSDとの間のアレル共有と比較して、アカオオカミとAHDとの間のアレル(対立遺伝子)共有の有意な過剰を示唆します(図3A)。以下は本論文の図3です。
次に、SDと他のイヌ属種との間の遺伝子流動の兆候が探されました。異なる3通りの組み合わせ、つまり1:(イヌ属、キンイロジャッカル;SD、クルペオギツネ)、2:(イヌ属、アビシニアジャッカル;SD、クルペオギツネ)、3:(イヌ属、アフリカンゴールデンウルフ;SD、クルペオギツネ)が検証され、D統計はハイイロオオカミとSDとの間でより高いアレル共有を示唆しました。この結果は、2つのシナリオを提起しているかもしれません。それは、(1)ハイイロオオカミとSDとの間でじっさいに遺伝子流動があったか、(2)アビシニアジャッカルとアフリカンゴールデンウルフとキンイロジャッカルという関連する3種が、系統ではSDの外に位置し、この研究では表されていない1種と祖先系統を共有している、というものです。このシナリオは、未知のイヌ科からハイイロオオカミとコヨーテの祖先への未知のイヌ科からの遺伝子流動を仮定した、基底部のイヌ科に関する先行研究の調査結果と一致します。
SDの祖先がサルデーニャ島とコルシカ島へと両島とヨーロッパ本土の間の陸のつながりを通って到来した、と仮定すると、これはサルデーニャ島とコルシカ島への移住の可能性が、メッシニアン塩分危機(Messinian salinity crisis、略してMSC)となる500万年前頃か、鮮新世~更新世の境界に近い300万年前頃となります。しかし、それ以降には両島とヨーロッパ本土との間にSD(の祖先)の移動を可能とする陸橋の証拠はありません。それにも関わらず、サルデーニャ島の更新世の哺乳類は現在、前期更新世末までに起きた分類群組成の変化を表す、2つの主要な動物相複合に区別されます。より古いネソゴラル動物相複合(Nesogoral Faunal Complex)がネソゴラル・メロニイ(Nesogoral melonii)やマカク・マイオリ(Macaca maiori)や小型ブタ(Sus sondaari)により特徴づけられるのに対して、より新しいティッレニコラ動物相複合(Tyrrhenicola Faunal Complex)はティッレニコラ・ヘンセリ(Tyrrenicola henseli)やシカ科のメガロセロス・キャズィオティ(Megaloceros cazioti)により表されます。
この観察された移行はおそらく、長い置換過程の結果で、その過程ではわずかな新種が既存の系統の子孫を表している一方で、置換はおもに大陸部の種による水を渡っての移住でなされました。この複雑なシナリオを考えると、多くの以前の研究はSDを、前期更新世と中期更新世の移行期に一掃もしくは消極的拡散によりサルデーニャ島とコルシカ島に到達したかもしれない、クセノキオン(Xenocyon)属の亜属かドール属の亜属かイヌ属の派生的亜属とみなしました。この現象は、とくに海水準の変動期にあり得ることで、サルデーニャ島における動物相転換に寄与した、と知られています。
したがって、ドール属の集団の歴史をさらに調べるため、混合図を用いて、拡散祖先系統がアカオオカミにおけるAHD的混合と、SDにおけるイヌ属的混合のどちらにより説明できるのか、検証されました。まず、AHDとドール属とアビシニアジャッカルとクルペオギツネを外群として用いて、SDへのアカオオカミの祖先に由来する祖先系統の割合が推定されました。その結果、アカオオカミとSDの祖先集団を表す分岐点は過去にAHDの祖先集団から分岐した分岐点に60%が由来する、と分かりました(図3C)。第二の混合事象は、AHD祖先系統の25%をアカオオカミの祖先にのみもたらします。その後、上述の図にポルトガルのオオカミを含めると、アビシニアジャッカルとドール属の祖先間の1回以上の混合事象をモデル化する必要がある、と分かりました。アビシニアジャッカルは、ドール属と関連する祖先集団から4%と、イヌ属系統から96%の混合として最適にモデル化されました。この最後の混合事象は、アビシニアジャッカルがドール属と祖先系統の一部を共有するとした、4祖先系統構成要素(図2E)を用いての混合分析で得られた結果を確証しました。
サルデーニャ島とコルシカ島の地質学的歴史を、長期の孤立および移住の周期とともに考慮し、ゲノム規模異型接合性と有効個体群規模の推定値を用いて、SDにおける遺伝的多様性に関する孤立の影響が調べられました。したがって、まず本論文のデータセットにおける全ての代表的なイヌ科種について、滑動解析単位(sliding window)で異型接合性が推測され、SDは、アビシニアジャッカルやAHDなど小さな有効個体群規模の他の孤立したイヌ科と比較して、全ゲノムにわたって顕著に低水準の異型接合性を示す、と分かりました(図4A)。以下は本論文の図4です。
他のドール属2集団は、異型接合性の分布では高い領域とひじょうに低い領域があり、二峰性分布を強く示しました。これは恐らく、その最近の集団史と飼育下での繁殖の結果です。ボトルネック(瓶首効果)もしくは個体数現象を経たさまざまなイヌ科種では、安定して長期の個体数減少を経たジンバブエやケニアや南アフリカ共和国のAHDと比較して、SDは全ゲノムにわたって遺伝的多様性の減少を示しました。この結果は、SDの過去の集団動態の明確な全体像と、長期の孤立がそのゲノムをどのように形成したのか、表しています。ゲノムの全領域にわたるSDの低水準の異型接合性は、長期の小さな有効個体群規模を強く示唆しており、マウンテンゴリラ(Gorilla beringei beringei)と類似した集団動態を示します。
次に、個体B(アカオオカミ)において異型接合である部位で派生的アレルを有する個体A(SD)の確率を推定する統計F(A|B)を用いて、SDと同時代のアカオオカミとの間の分岐時間が計算されました。この手法の背景にある仮定は、2集団が分岐し始める時に両者は、孤立に起因し、他の集団と共有されないだろう変異も蓄積するだろう、というものです。SDはアカオオカミでは異型接合だった部位の2%で派生的アレルを有していた、と推定されました。次に、派生的アレルの割合が要約統計量として用いられ、複数の分岐時間の模擬実験から、SDとアカオオカミ分岐時間が推定されました。対での逐次マルコフ合着(pairwise sequentially Markovian coalescent、略してPSMC、関連記事)を用いて推定された、アカオオカミの有効個体群規模を用いて、模擬実験が較正されました。PSMCは、単一の二倍体個体における異型接合部位の量と密度から有効個体群規模を推定します。ハイイロオオカミの変異率(1世代あたり4×10⁻⁹塩基対)と1世代3年との仮定を用いて、模擬実験が較正されました。F(A|B)を用いて、SDとアカオオカミは885000年前頃(90万~87万年前頃)に分岐した、と結論づけられます(図4B)。
この時期は、サルデーニャ島とヨーロッパ本土との間の陸橋の最期の出現の後となりますが、サルデーニャドール属の祖先が海水準の低下した95万~85万年前頃にサルデーニャ島に到来した、と証明した先行研究と一致します。サルデーニャドール属の未知の種の単一の鮮新世~更新世の化石により証明されているように、他のドール属的系統がこれ以前にサルデーニャ島に入ったこともあり得ます。しかし、中期更新世まで標本が少ないことから、アカオオカミとSDとの間の最終共通祖先が前期更新世末(885000年前頃)までにサルデーニャ島に入り、それ以降に2系統が分岐し始めた、と仮定されます。
最後に、hPSMCを用いての疑似二倍体集団統計学的分析の実行により、SD/アカオオカミとSD/エチオピアハイイロオオカミと家畜イヌとの間の遺伝子流動の時期が調べられました。その結果、SDと現代のアカオオカミの祖先との間の遺伝子流動が51万~31万年前頃に終わったのに対して、SDとユーラシアのオオカミ的な祖先との間の遺伝子流動は51万~36万年前頃に終わった、と示唆されます。これは、SDと他の2系統との間の遺伝子流動が51万~31万年前頃と同じ頃に終わった可能性を示します。疑似交雑種の集団史(図4C)はほぼ同一と分かり、遺伝子流動は中期更新世に終了し、それはサルデーニャ島に移住したさまざまな動物相複合を検討した多くの文献とも一致する時期である、と示唆されます。
さらに、SD/AHDとアカオオカミ/AHDの交雑種を用いての推定では、AHDとドール属2系統との間の遺伝子流動の終了期間が105万~30万年前頃になる、と判断されました。本論文で報告されたような広い間隔は、2種間の分岐後のひじょうに低水準の遺伝子流動アの結果かもしれません。さらに、ヨーロッパで発見されたリカオン属の最後の化石の年代は83万年前頃で、リカオン属はヨーロッパで前期更新世末に向かって局所的に絶滅した、と示唆されます。
考古学的証拠とhPSMC分析を組み合わせて、リカオン属とヨーロッパにおいてSDおよびドール属の現代的な形態を生み出した系統との間の分岐は、105万~83万年前頃に絞り込める、と仮定されます。AHDの祖先とアカオオカミ系統との間の混合事象は、2種が現在の範囲に限定されていなかった過去に他の場所で起きたかもしれません。たとえば、中期更新世にさかのぼるリカオン属の最初の化石はイスラエルで発見されており、これら2種を分離する生態学的境界線はまだ現在の位置になかった、と示唆されます。これは、恐らくSD系統がサルデーニャ島とコルシカ島で孤立するようになった後に起きた、アカオオカミでのみ観察されたAHDに由来する25%の祖先系統(図3C)を説明できるかもしれません。
結論として、SDの最初の全ゲノムの生成により、ユーラシアとアフリカと北アメリカ大陸の現生イヌ科のゲノム多様性において、SDの系統ゲノム的位置づけが明らかになりました。SDとアカオオカミ系統との間の歴史的な遺伝子流動と、アカオオカミ系統へのAHDの祖先からの過去の混合の証拠が検出されました。SD系統はアカオオカミから885000年前頃に分岐し、その後で遺伝子流動が56万~31万年前頃に終わった、と分かり、これはSDが更新世に何回かサルデーニャ島へと渡った可能性を意味します。しかし、これらの結果から、おそらく中期更新世において時には、サルデーニャ島を世は大陸から分離する海により作られた物理的障壁が、さらなるイヌ科の移動を効率的に終わらせた、と推測できます。
本論文で提示されたSD標本が、サルデーニャ島での長期の孤立とともに、その絶滅に寄与したかもしれない、ゲノム規模多様性の減少を示したことも分かりました。この複雑で微妙な状況では、ヒトが更新世末の哺乳類の絶滅に重要な役割を果たした、との仮定を除外できません。しかし、サルデーニャ島のSD個体群に作用した直接的もしくは間接的な人為的圧力が、長期の孤立や遺伝的多様性の喪失や有効個体群規模(Ne)の減少とともに、SDの絶滅へとつながったかもしれません。本論文で提示された結果は、絶滅種の過去の進化や定着や移住事象に関する知識を改善するための、島嶼生態系からの古代ゲノムの配列決定の重要性も浮き彫りにします。
参考文献:
Ciucani MM. et al.(2021): Evolutionary history of the extinct Sardinian dhole. Current Biology, 31, 24, 5571–5579.E6.
https://doi.org/10.1016/j.cub.2021.09.059
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