大河ドラマ『どうする家康』第15回「姉川でどうする!」

 今回は姉川の戦いが描かれました。金ヶ崎からの徳川家康と木下藤吉郎(羽柴秀吉)の撤退戦は具体的には描写されませんでしたが、家康の生涯は長く、その事績は逸話的なものも含めてよく知られており、1年間の放送ではどこかを省略もしくは簡略化しないといけませんので、金ヶ崎から撤退後の織田信長への報告で家康と藤吉郎のやり取りが描かれたこともあり、金ヶ崎からの撤退戦の具体的描写は省略してもとくに問題はないように思います。

 金ヶ崎から撤退した後に家康は浅井・朝倉との戦いに動員され、ここで信長から先陣を命じられるとともに、岡崎城を息子の竹千代(信康)に任せ、浜松(曳馬)に移すよう、勧告されたことで、ますます信長への反感を強めていきます。家康はそれでも相変わらず信長を恐れており、一方で信長も家康を警戒しているようで、そこへ浅井長政から信長を裏切るよう誘いがあったことで、家康は信長を裏切ろうとして、鳥居元忠と本多忠勝は賛同しますが、酒井忠次は反対します。

 家康が悩む中、信長はそれを見越して鉄砲を撃ちかけ、激昂して信長を裏切る、と喚く家康を諭したのが酒井忠次と石川数正でした。家康はけっきょく信長を裏切らず、織田軍とともに浅井・朝倉軍を破りましたが、信長は戦後に家康と会い、その逡巡を指摘して恫喝します。信長は、家康が迷いつつも自分を裏切れない、と考えていたようですが、それが願望でもあることを認識しており、木下藤吉郎に徳川軍を監視させていたのかな、とも思います。

 家康が信長を裏切るとするのは、当時家康が武田との関係悪化を認識していただろうことからやや考えにくく、とくに近江の戦場で裏切るのは、仮に信長を討ち取ったとしても、美濃と尾張を通過しての三河への帰国になることから、さすがに無理があるのではないか、とも思いますが、本作の信長と家康の関係は独特なので、これが今後の展開に活かされるかもしれず、現時点では断定的に評価できません。まあ、この時点で武田は北条と敵対関係にあったので、畿内とその周辺に敵対勢力のいる織田を裏切り、武田と敵対しても窮地に陥らない、との判断もできるかもしれませんが。まあ、こうした後知恵での判断に意味はなく、今回の描写からは、家康が信長への反感を募らせて冷静な判断ができなくなっており、酒井忠次と石川数正に諭された、と素直に解釈すべきでしょうか。

 すでに瀬名(築山)の死が本作の山場になると明かされていますが、瀬名と信康の死は、信長の家康への不信感と、それでも信じたい家康を試した、という話になるのでしょうか。家康と信長との関係が本能寺の変までにどう変わっていくのかも、今後の見どころになりそうです。今回、最後に家康を襲ったのは井伊虎松(直政)で、直政がここからどう家康の寵臣となるのか、注目されます。公式サイトの井伊直政の紹介では、「女城主直虎によって大切に育てられた」とあるので、1回だけでも井伊直虎が登場し、柴咲コウ氏が演じてくれると嬉しいのですが。

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