島嶼化による人為的絶滅への影響
島嶼化による人為的絶滅への影響に関する研究(Rozzi et al., 2023)が公表されました。日本語の解説記事もあります。島嶼は地球表面のわずか7%足しか占めていませんが、地理的に孤立しているため、特徴的な進化史に伴う多様性が見られます。島嶼環境における重要な進化的形態である島嶼化は、きょくたんな小型分類群や大型分類群のような形態的に分岐した種を生み出し、島嶼は特徴的な進化の場と古くから認識されてきました。具体的には、小型のゾウ類や巨大な齧歯類です。ただ、島嶼は絶滅、とくに人為的な絶滅の多さも知られており、極端に身体サイズが変化した種ほど、大きな絶滅危険性に曝されている、と考えられています。
この研究は、身体サイズの進化と絶滅に対する脆弱性との関係について理解を深めるため、過去2300万年間にわたる世界中の島と古島に生息する1231種の現生哺乳類種と、かつて生息していた350種の絶滅哺乳類種のデータを統合し、島の哺乳類の体格進化がその脆弱性を悪化させた可能性と、人類の到来が島の哺乳類の過去と現在の絶滅にどう寄与したのか、絶滅の危険性と速度の経時的データを評価しました。
その結果、絶滅の可能性と絶滅の危機が最も高いのは、最も極端な島の小型分類群や大型分類群と分かりました。現在進行中の生物多様性損失は、10万年以上前に始まった島嶼の長期絶滅事象と考えられますが、12000年前頃の末期更新世およびその後の完新世に、現生人類(Homo sapiens)が遠方の島嶼部に定住し始めたことで絶滅率はさらに10倍以上に高まり、島嶼部の進化の象徴である極端な小型もしくは大型種がほぼ完全に滅亡する結果となりました。
島嶼部での哺乳類の絶滅危険性は、現生人類の到来により飛躍的に高まったわけです。現生人類以外の人類の一部も島嶼部に到達しており、たとえばインドネシア領フローレス島のホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)がよく知られています。ただ、人口規模が小さいためなのか、認知能力とも関わっているかもしれない技術的な問題のためなのか、ホモ・フロレシエンシスはフローレス島の動物相に直接的に大きな影響を及ぼさなかったようです(関連記事)。また、そもそもホモ・フロレシエンシス自体が、島嶼化により小型化したと考えられています(関連記事)。
参考文献:
Rozzi R. et al.(2023): Dwarfism and gigantism drive human-mediated extinctions on islands. Science, 379, 6636, 1054-1059.
https://doi.org/10.1126/science.add8606
この研究は、身体サイズの進化と絶滅に対する脆弱性との関係について理解を深めるため、過去2300万年間にわたる世界中の島と古島に生息する1231種の現生哺乳類種と、かつて生息していた350種の絶滅哺乳類種のデータを統合し、島の哺乳類の体格進化がその脆弱性を悪化させた可能性と、人類の到来が島の哺乳類の過去と現在の絶滅にどう寄与したのか、絶滅の危険性と速度の経時的データを評価しました。
その結果、絶滅の可能性と絶滅の危機が最も高いのは、最も極端な島の小型分類群や大型分類群と分かりました。現在進行中の生物多様性損失は、10万年以上前に始まった島嶼の長期絶滅事象と考えられますが、12000年前頃の末期更新世およびその後の完新世に、現生人類(Homo sapiens)が遠方の島嶼部に定住し始めたことで絶滅率はさらに10倍以上に高まり、島嶼部の進化の象徴である極端な小型もしくは大型種がほぼ完全に滅亡する結果となりました。
島嶼部での哺乳類の絶滅危険性は、現生人類の到来により飛躍的に高まったわけです。現生人類以外の人類の一部も島嶼部に到達しており、たとえばインドネシア領フローレス島のホモ・フロレシエンシス(Homo floresiensis)がよく知られています。ただ、人口規模が小さいためなのか、認知能力とも関わっているかもしれない技術的な問題のためなのか、ホモ・フロレシエンシスはフローレス島の動物相に直接的に大きな影響を及ぼさなかったようです(関連記事)。また、そもそもホモ・フロレシエンシス自体が、島嶼化により小型化したと考えられています(関連記事)。
参考文献:
Rozzi R. et al.(2023): Dwarfism and gigantism drive human-mediated extinctions on islands. Science, 379, 6636, 1054-1059.
https://doi.org/10.1126/science.add8606
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