大河ドラマ『どうする家康』第10回「側室をどうする!」

 今回は本多忠勝も榊原康政も石川数正も登場せず、ほぼ松平(徳川)家康の家庭事情が描かれました。喜劇調でしたが、外してしまった感は否めないというか、かなり賛否が分かれそうな演出だったので、さらに視聴率が低下するのではないか、と懸念されます。当時、大名も含めて領主の正妻あるいは「家」妻(家康にとってこの時点では瀬名)の家政への権限は強く、側室、さらには正妻あるいは「家」妻以外の女性と領主との間に生まれた子供を領主の子供の認定権は正妻あるいは「家」妻にあったようで。家康の次男と後に認められた結城秀康が当初は家康の息子と認められなかったのは、瀬名(築山殿)が認めなかったからだ、と指摘されています(関連記事)。

 家康が側室を持つになったのは、家康の母親の於大の方が、家康と瀬名との間に近年子供が生まれていないことを懸念したからで、本作では於大の方が現在の価値観からは外れているような当時の常識を語る役といった感じです。一方、家康は戦国時代の領主としては甘いところを見せており、それは未熟さを表しているのでしょうが、一方で現代的価値観に寄せているところもあるように思われ、それにより視聴者を惹きつけようとしているのかな、とも思います。瀬名も現代的価値観に寄っているところがありますが、於大の方に近いところも見せています。ただ、瀬名は、家康が当初苦手に思っていた、於大の方と瀬名が側室に勧めた鵜殿一族のお葉を気に入るようになると、複雑な心情を一瞬見せるなど、基本的には家康と同じ現代的価値観に寄せている人物造形のように思います。お葉(西郡局)が男性を苦手に思っており、娘(督姫)を産んだ後に側室の役目を辞退したのは意外な設定でしたが、お葉はこの後子供を産んでいないようなので、こうした創作もありでしょうか。

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