大河ドラマ『どうする家康』第2回「兎と狼」

 今回は、桶狭間の戦いで今川義元が討ち取られた後の松平軍の窮地が描かれました。松平軍は大高城に兵糧を運搬したところで義元の討ち死にを知り、圧倒的に優勢な織田信長の率いる軍勢が迫ってくる、という危機的状況を松平元康(徳川家康)がどう切り抜けるのか、注目されました。しかし、信長は撤兵し、岡崎城から今川勢が撤退したことで、家康は駿府へ向かおうとするものの、家臣は岡崎城に入るよう、進言します。ここは、「都会の」駿府育ちの家康が、「故郷」ではあるものの「田舎」の岡崎よりも駿府の方に親しみを覚えているのは、あり得そうなことだと思います。ところが、家康軍は大草松平家の松平昌久に攻撃され、大樹寺へと退却し、家康は切腹を覚悟します。

 ここまで、大高城に籠るか撤退するか、当初は味方を装った松平昌久を信用するか否か、切腹するか否か、という具合に、家康は次々と選択を迫られます。『どうする家康』の表題通り、家康が次々と陥る危機にどう選択するのか、という構造の話になりそうです。これが、恐らくは大坂の陣、あるいはその最期まで続くのでしょう。家康は当時としては長命で、知名度の高い人物と次々と関わっていきますから、松平家当主としての未熟さを見せ、大損害を受けつつも、この危機を切り抜けて岡崎城へと入ります。

 初回で信長と家康との間に因縁があることは示唆されましたが、今回は回想場面で少年時代の両者の関係が描かれました。織田家にいた子供時代の家康は、当主の信秀から殺されかけたところを信長に救われ、信長から鍛えられるというか、いいように弄ばれていたようにも見えます。ただ、信長は子供時代の家康を見込んでいるようでもあり、信長と家康との関係は本作前半の見どころになりそうです。家康の少年時代は基本的に回想で描かれ、物語の本筋は桶狭間の戦いから始まる、という構成のようです。今後もたびたび少年時代の家康の回想が描かれそうですが、なかなか面白くなりそうな構成ではあるものの、やや複雑な話になる可能性もあるだけに、視聴率の点では心配されます。ただ、いかに未熟とはいえ、家康をあまりにも情けなく描いている場面が多いのはどうかと思うものの、なかなか面白い構成になりそうですから、初回の懸念は杞憂になりそうで、最終回まで楽しめるのではないかな、と期待しています。

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