大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第48回(最終回)「報いの時」

 いよいよ最終回となります。この1年間、楽しんで視聴し続けてきただけに、かなりの寂しさがあります。冒頭で来年の大河ドラマの主役である徳川家康が『吾妻鏡』を読んでおり、しかも演者が来年と同じく松本潤氏だったのは驚きました。2016年放送の大河ドラマ『真田丸』で、翌年の大河ドラマ『おんな城主 直虎』との関連で井伊家に言及されていただけに、『吾妻鏡』関連で家康が語りにて取り上げられるのかな、とは予想していましたが、まさか来年の主演が直接登場するとは思いませんでした。

 前回は承久の乱の勃発までが描かれ、兵力は鎌倉方が圧倒的に優勢であるものの、三浦義村が相変わらず裏切りを画策するなど、不穏なところも描かれました。しかし、史実通り承久の乱は比較的あっさりと決着し、後鳥羽院は隠岐に配流となりました。久々の登場となる文覚は、後鳥羽院が配流と決定したさいに後鳥羽院と短くやり取りをしただけで、義時の最期にも関わってくるのかな、とも予想していただけに、やや残念ではありました。

 承久の乱の終結後、いよいよ脚本家と出演者が視聴者の期待を煽ってきた結末へと向かい、義時の最期がどう描かれるのか、「報いの時」とは何を意味するのか、若干の不安を抱きつつも、大いに期待していました。義時の最期へと直接的につながる話は、まず体調不良から始まり、それは「のえ(伊賀の方)」に毒を盛られたからなのですが、その毒を調達したのは三浦義村だと「のえ」に明かされました。義時が伊賀の方に毒を盛られたとの噂は当時からあったので、ここはある程度予想していました。

 義時は義村を呼び、毒入りの酒を飲ませようとして、義村は拒否し続けるものの、ついに覚悟を決めて飲み、義時に対する積年の恨みと羨望を打ち明けます。しかし義時は、じっさいには毒を入れておらず、義村は自分の負けを悟り、ともかく北条を支える、と誓います。初回から最終回までずっと登場してきたこの二人の関係の結末としては、なかなか上手い落としどころだったように思います。義時の最期は、義時がうっかり頼家の殺害を政子に語ってしまい、政子が動揺し、泰時のために悪事を全て引き受ける、との義時の覚悟を知って、そこまで苦しむことはない、と言って義時に薬を渡さず死なせる、というものでした。

 確かに、これまでの描写を踏まえてよく考えられた結末ではありましたが、率直に言ってさほど驚きはなく、『おんな城主 直虎』第33回「嫌われ政次の一生」の時ほどの衝撃(関連記事)はありませんでした。正直なところ、脚本家と出演者が少々煽りすぎたのではないか、と思います。ただ、大河ドラマの最終回としては、これまでの人物描写を踏まえてよかった、と思います。期待値が高すぎたためにやや失望はしたものの、最終回前の煽りがなければ、素直に高水準と思える最終回でした。

この記事へのコメント

Gくん
2022年12月20日 11:35
こんにちは!!拝読いたしました→期待値が高すぎたためにやや失望はしたものの・・<< ですね。文覚登場< 何か意味があるのですかね!? 義時の最期は、伊賀の方(のえ)による毒殺説を採用していました。政村流北条氏は、幕府の要職を歴任していますので、毒殺説は弱い!と思いますがそれもアリですかね!ドラマ的には。
管理人
2022年12月20日 19:45
作中では義時が妻に対してあまりにも配慮が足りませんでしたから、妻が毒殺を計画しても無理はないな、とは思いました。まあ、息子の政村を後継者としたいのなら、義時ではなく泰時と朝時と重時の方を殺すか失脚させるべきだとは思いますが、「のえ(伊賀の方)」は賢くないと描かれていたので、作中世界では整合的な物語になっていたと思います。