新生代における哺乳類の「進化の減速」
新生代における哺乳類の「進化の減速」に関する研究(Goswami et al., 2022)が公表されました。日本語の解説記事もあります。最初に地球を歩き回った有胎盤哺乳類は小型で、恐らくハツカネズミやトガリネズミほどの大きさでした。しかし現在判明しているように、哺乳類はヒトの親指ほどのキティブタバナコウモリから海に生きる体長約30mのシロナガスクジラまで、種々さまざまな生態系と形態を持つ驚くほど膨大な数の種へと進化しました。しかし、進化生物学者の間では長年、これほどの変異はどのように生じたのかが問われており、その時期と速度と進化の推進力については、依然としてほとんど分かっていません。
この研究は、現存種と絶滅種の哺乳類322種の3次元の頭蓋骨形状から構成されるデータセットを用いて、動物の進化的変化の速度は白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅期頃に頂点に達し、断続する爆発的な革新的進化が起きている時を除き、この6600万年間でおおむね次第に減速していった、と示しました。この研究はまた、社会性動物や水生動物や草食動物など特定の生活様式を持つ種が最も速く進化した一方で、齧歯動物や霊長類やコウモリなどの種はかなりゆっくり多様化したことも明らかにしました。
こうした大量絶滅の頃の爆発的な革新的進化と、その後の長期にわたる多様化の減速の断続は、「進化の減速」と命名されました。この研究は、多くの解剖学的特性を包含する頭蓋骨の形状を調査することで、同時に多様化の生態学的および機能的推進力を多数調査している、と指摘されています。また、この研究の解析範囲も高く評価されており、形態学的進化についての大半の研究によくあるような限定的な分類群ではなく、有胎盤区の全ての種が含まれています。
参考文献:
Goswami A. et al.(2022): Attenuated evolution of mammals through the Cenozoic. Science, 378, 6583, 377–383.
https://doi.org/10.1126/science.abm7525
この研究は、現存種と絶滅種の哺乳類322種の3次元の頭蓋骨形状から構成されるデータセットを用いて、動物の進化的変化の速度は白亜紀と古第三紀の間の大量絶滅期頃に頂点に達し、断続する爆発的な革新的進化が起きている時を除き、この6600万年間でおおむね次第に減速していった、と示しました。この研究はまた、社会性動物や水生動物や草食動物など特定の生活様式を持つ種が最も速く進化した一方で、齧歯動物や霊長類やコウモリなどの種はかなりゆっくり多様化したことも明らかにしました。
こうした大量絶滅の頃の爆発的な革新的進化と、その後の長期にわたる多様化の減速の断続は、「進化の減速」と命名されました。この研究は、多くの解剖学的特性を包含する頭蓋骨の形状を調査することで、同時に多様化の生態学的および機能的推進力を多数調査している、と指摘されています。また、この研究の解析範囲も高く評価されており、形態学的進化についての大半の研究によくあるような限定的な分類群ではなく、有胎盤区の全ての種が含まれています。
参考文献:
Goswami A. et al.(2022): Attenuated evolution of mammals through the Cenozoic. Science, 378, 6583, 377–383.
https://doi.org/10.1126/science.abm7525
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