高橋のぼる『劉邦』第14集(小学館)
電子書籍での購入です。第14集は、広武山で劉邦率いる漢軍と項羽率いる楚軍が対峙するなか、項羽が劉邦を弩で射抜いた場面から始まります。劉邦は瀕死状態に陥りますが、何とか回復します。しかし、漢軍兵士の動揺は激しく、案じた蕭何は、兵士の前で無事であると振舞うよう進言し、劉邦は盧綰の助けを借りて何事もなかったかのように兵士の前で振舞います。兵糧不足で士気が下がっている楚軍を倒す好機と劉邦の家臣は考えますが、劉邦に策を問われた張良は和睦を提案します。劉邦は中華の民のために挙兵したのであり、楚軍の兵士も中華の民である、というわけです。蕭何も夏侯嬰もこれに不満ですが、陳平は張良に同意し、劉邦も和睦と決めます。天下を東西に二分しよう、との和睦提案に項羽は激昂しますが、不治の病に冒された虞の進言を受け入れて、劉邦との和睦を決断します。
劉邦と項羽がともに出席して和睦の儀式が行なわれて和睦が成立し、劉邦も漢の重臣も兵士安堵して久々の休みを楽しみにしていたところへ、張良が楚軍の追撃を提案します。疲れ果てた楚軍を今追撃すれば、確実に項羽を討ち取れる、というわけです。この提案は卑劣だとして劉邦も盧綰も蕭何も反対しますが、張良は劉邦に、今項羽を討ち取るか、本拠地に戻って勢力を回復した項羽に討ち取られるか、と問いかけます。劉邦は激昂しますが、その夜、張良と二人きりになり、項羽は劉邦がいる限り戦いを止めないだろうか、今項羽を討たねば戦乱が続き、民は困窮するばかりだ、と説得されます。劉邦は出陣を決断しますが、その顔には悪相とも死相とも思えるような表情が浮かんでいました。
斉王と劉邦に認められた韓信が漢軍本隊と合流しますが、韓信は漢の重臣の雰囲気がおかしいことに気づきます。張良と会い、項羽打倒を誓った韓信は劉邦と再会します。韓信は劉邦に、自分が勝ち続けてきたのは、劉邦が自分を信じてくれたからで、大将が信じてくれたら部下は強い、と進言し、劉邦も項羽打倒の覚悟を決めます。劉邦の裏切りを知った項羽は激昂し、虞は愕然とします。漢軍を率いるのは韓信で、劉邦を囮にして楚軍を誘い込みます。韓信は十面埋伏の計で項羽を討ち取ろうとしますが、激昂した項羽の強さは鬼神の如くで、劉邦も韓信も張良も唖然とします。しかし、韓信は項羽が劉邦を単独でも追撃すると考え、多数の兵士を潜ませていました。ところが、項羽は引き返します。とはいえ、楚軍の戦力はほとんど削がれ、韓信は夜明けとともに攻撃しようとしますが、張良は漢軍の兵士に楚の詩を歌わせ、楚軍に敗北を悟らせます。項羽は亡くなった虞を見送った後、漢軍に突撃しますが、多勢に無勢で兵士は残り百人ほどとなります。季布は項羽に江南での再起を進言しますが、せめて愛馬の騅だけは逃して、討ち死にしようとします。しかし、騅が自分から離れようとしないのを見た項羽が、騅とともに漢軍に突撃するところで第14集は終了です。
第14集では、劉邦と項羽の戦いの終盤が描かれました。劉邦は項羽との和議を破ることにかなり逡巡しており、張良に説得されて項羽を裏切ったわけですが、この時の表情から、劉邦は「闇落ち」したようにも思えます。本作の劉邦の人物造形と皇帝即位後の功臣粛清がどうにもつながらなかったので、呂雉(呂后)を悪役に仕立てるのかな、とも思っていましたが、「中華の民のため」という「大義」により功臣を粛清していく、という話になるのでしょうか。ただ、予告では第15集で完結とされており、項羽の最期にはそれなりの分量が割かれるでしょうから、韓信も含めて功臣の粛清や、後継者争いや、匈奴との戦いでの敗北はほとんど描かれないのかもしれません。第15集を読まねば最終的な判断はできませんが、途中からやや駆け足気味になった感があり、皇帝即位後の劉邦も詳しく描かれるのではないか、と期待していただけに、残念ではあります。なお、本作の過去記事は以下の通りです。
第1集~第10集
https://sicambre.seesaa.net/article/202107article_17.html
第11集
https://sicambre.seesaa.net/article/202109article_4.html
第12集
https://sicambre.seesaa.net/article/202111article_20.html
第13集
https://sicambre.seesaa.net/article/202206article_4.html
劉邦と項羽がともに出席して和睦の儀式が行なわれて和睦が成立し、劉邦も漢の重臣も兵士安堵して久々の休みを楽しみにしていたところへ、張良が楚軍の追撃を提案します。疲れ果てた楚軍を今追撃すれば、確実に項羽を討ち取れる、というわけです。この提案は卑劣だとして劉邦も盧綰も蕭何も反対しますが、張良は劉邦に、今項羽を討ち取るか、本拠地に戻って勢力を回復した項羽に討ち取られるか、と問いかけます。劉邦は激昂しますが、その夜、張良と二人きりになり、項羽は劉邦がいる限り戦いを止めないだろうか、今項羽を討たねば戦乱が続き、民は困窮するばかりだ、と説得されます。劉邦は出陣を決断しますが、その顔には悪相とも死相とも思えるような表情が浮かんでいました。
斉王と劉邦に認められた韓信が漢軍本隊と合流しますが、韓信は漢の重臣の雰囲気がおかしいことに気づきます。張良と会い、項羽打倒を誓った韓信は劉邦と再会します。韓信は劉邦に、自分が勝ち続けてきたのは、劉邦が自分を信じてくれたからで、大将が信じてくれたら部下は強い、と進言し、劉邦も項羽打倒の覚悟を決めます。劉邦の裏切りを知った項羽は激昂し、虞は愕然とします。漢軍を率いるのは韓信で、劉邦を囮にして楚軍を誘い込みます。韓信は十面埋伏の計で項羽を討ち取ろうとしますが、激昂した項羽の強さは鬼神の如くで、劉邦も韓信も張良も唖然とします。しかし、韓信は項羽が劉邦を単独でも追撃すると考え、多数の兵士を潜ませていました。ところが、項羽は引き返します。とはいえ、楚軍の戦力はほとんど削がれ、韓信は夜明けとともに攻撃しようとしますが、張良は漢軍の兵士に楚の詩を歌わせ、楚軍に敗北を悟らせます。項羽は亡くなった虞を見送った後、漢軍に突撃しますが、多勢に無勢で兵士は残り百人ほどとなります。季布は項羽に江南での再起を進言しますが、せめて愛馬の騅だけは逃して、討ち死にしようとします。しかし、騅が自分から離れようとしないのを見た項羽が、騅とともに漢軍に突撃するところで第14集は終了です。
第14集では、劉邦と項羽の戦いの終盤が描かれました。劉邦は項羽との和議を破ることにかなり逡巡しており、張良に説得されて項羽を裏切ったわけですが、この時の表情から、劉邦は「闇落ち」したようにも思えます。本作の劉邦の人物造形と皇帝即位後の功臣粛清がどうにもつながらなかったので、呂雉(呂后)を悪役に仕立てるのかな、とも思っていましたが、「中華の民のため」という「大義」により功臣を粛清していく、という話になるのでしょうか。ただ、予告では第15集で完結とされており、項羽の最期にはそれなりの分量が割かれるでしょうから、韓信も含めて功臣の粛清や、後継者争いや、匈奴との戦いでの敗北はほとんど描かれないのかもしれません。第15集を読まねば最終的な判断はできませんが、途中からやや駆け足気味になった感があり、皇帝即位後の劉邦も詳しく描かれるのではないか、と期待していただけに、残念ではあります。なお、本作の過去記事は以下の通りです。
第1集~第10集
https://sicambre.seesaa.net/article/202107article_17.html
第11集
https://sicambre.seesaa.net/article/202109article_4.html
第12集
https://sicambre.seesaa.net/article/202111article_20.html
第13集
https://sicambre.seesaa.net/article/202206article_4.html
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