大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第32回「災いの種」

　今回は、源頼家の死を前提としていた政争で比企一族を滅ぼした北条一族が頼家の回復に困惑しつつ、義時を中心にどう対処すべきか、悩みつつ決断する政治劇が描かれました。頼家は出家させられたものの、政務には意欲的で、北条一族はその扱いに困りますが、母の政子が頼家に比企一族は自害した、と伝えますが、さすがに頼家はこうした嘘に騙されず、北条が比企一族を殺害したと悟り、北条一族を許さない、と母に告げます。一幡は泰時が逃していましたが、義時に殺すよう命じられた善児は、拒否します。善児が初めて見せた人間らしさとも言え、善児の最期とどう関わってくるのか、注目されます。善哉（公暁）が見た比企尼をどう解釈すべきは難しいところですが、ともかく、これで善哉の運命が決まった、ということでしょうか。

　今回は、北条一族だけではなく、三浦義村や後鳥羽上皇の思惑も描かれました。したたかな二人の今後の言動も注目されます。平賀朝雅は今回が初登場となりますが、今後重要な役割を担いそうなので、もっと早くから登場してもよかったのではないか、とも思います。仁田忠常は今回で退場となります。頼家と北条一族との間で板挟みとなっての自害で、これまでの人物造形を活かした最期だったように思います。比奈（姫の前）は自ら義時に離縁を申し出て、別れることになりました。比奈はお気に入りの人物だっただけに、あっさりとした描写だったのはやや残念でしたが、余韻があって悪くなかったかな、とも思います。まあ、比奈というよりは演じる堀田真由氏がお気に入りと言うべきかもしれませんが。