大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第31回「諦めの悪い男」

 今回は源頼家が突如として重体に陥ったことに始まる、鎌倉殿の後継者をめぐる政争と、その結果としての比企一族の滅亡が描かれました。頼家の間近の死を前提に幕府要人が暗躍する描写は、脚本家の得意とするところでしょうから期待していましたが、上手く構成されていたと思います。主人公の北条義時の成長はこれまで段階的に描かれてきましたが、比企一族の滅亡は画期といった感じで、でいよいよ源頼朝をも超えるような政治家に成長していくのではないか、と予感させます。今後も憂鬱な展開が続くので、義時の凄みを感じることが多くなりそうです。

 比企能員は今回で退場となります。本作とほぼ舞台が重なる1979年放送の大河ドラマ『草燃える』の比企能員は怜悧な野心家といった感じで、本作の比企能員は野心を見せつつもとぼけたところもある人物として描かれていました。『草燃える』でも本作でも比企能員は存在感を示してきただけに、寂しさはあります。比企一族出身で義時の妻である比奈(姫の前)は北条に付くと決めたようでもありますが、おそらくは史実通り離婚することになりそうですから、比企一族を失脚させることまでは同意していても、族滅までは考えておらず義時には付いていけないと考えたのか、あるいは、北条と比企との架け橋を務められなかったことの責任から、身を引いて離婚することになるのでしょうか。比奈(姫の前)と義時の別れがどう描かれるのかも注目されます。

この記事へのコメント