大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第26回「悲しむ前に」

 今回は、源頼朝の後の鎌倉の体制をどうすべきか、さまざまな人物の思惑と駆け引きが描かれました。これまでの人物描写を踏まえた話になっており、『真田丸』を見ても、こうした比較的狭い範囲内のやり取りは脚本家の得意とするところでしょうから、今後も面白さには期待できそうです。今回、頼朝は意識を失ったままであるもののまだ没しておらず、そのことで主要人物の駆け引きがより面白く描かれていたように思います。大河ドラマでは(多くの)視聴者には結果が分かっていますが、当時の人々にはそれが見えていないわけで、今回はそうした様相がとくによく描写されていました。

 鎌倉の武家体制はまだ成立途上で、後代ほどには安定していないため、鎌倉の要人は試行錯誤しており、それによる新たな火種も見えてきて、今後の話が楽しみです。とくに、北条時政と北条義時・政子の親子の対立が明確に描かれたことは、後に時政が義時・政子に追放される流れを自然に見せるためにも重要だったと思います。今後は、まず梶原景時の追放が、その後で比企一族の滅亡と源頼家の殺害が描かれることになるでしょう。その後には畠山重忠や和田義盛の敗死があるわけで、ますます陰惨な話になりそうですが、喜劇調の話も入れることでそれが緩和されるのでしょうか。北条と比企との対立が激しくなるなか、義時と比奈(姫の前)との関係がどう描かれるかも注目されます。

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