繁殖成功度の低下とヒト遺伝子に働く選択的制約との関連
繁殖成功度の低下とヒト遺伝子に働く選択的制約との関連についての研究(Gardner et al., 2022)が公表されました。ヒト集団のゲノム規模塩基配列解読により、有害な遺伝的多様体に作用する純化選択の強度には遺伝子間で大きな差異がある、と明らかになっています。最も強い選択的制約を受けている遺伝子はメンデル遺伝病との関連でひじょうに多く見られますが、これらの遺伝子のほとんどは疾患と関連していないため、こうした遺伝子に作用する選択の性質は分かっていません。この研究は、これらの遺伝子に有害な遺伝的多様体が、おもに無子(childlessness)の増加に起因して、繁殖成功度の顕著な低下と関連づけられ、この影響が女性よりも男性で強いことを示します。
この研究は、無子の増加が、おそらく遺伝的に関連する認知形質および行動形質を介している、と示す証拠を提示します。これは、男性の保因者が繁殖相手を見つけにくいことを意味するかもしれません。こうした繁殖成功度の低下は、タンパク質コード遺伝子を除去する異型接合多様体に対する純化選択の20%を占めている可能性があります。この遺伝的関連は、とくにより影響力のある社会人口学的要因と比較した場合、無子となる全体的な可能性のごく一部(1%未満)を占めるにすぎないかもしれませんが、遺伝子の経時的な進化の仕方に影響を及ぼす可能性があります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
遺伝学:繁殖成功度の低下はヒト遺伝子に働く選択的制約と関連する
遺伝学:遺伝子に働く選択的制約の有無と無子との関連
大規模な集団のゲノム塩基配列解読の取り組みから、一部の遺伝子は「選択的制約」を受けており、有害な変異を持ちにくいことが明らかになっている。M Hurlesたちは今回、英国バイオバンクのデータを用いて、これらの遺伝子に働く選択的制約の原因と考えられる選択圧を探った。多くの形質を検討した結果、こうした遺伝子における遺伝的バリアントの全体的な負荷が、子の数、特に男性における無子(childlessness)と関連付けられることが示された。こうした影響は統計的に有意で、これらの遺伝子のバリアントに働く純化選択の約20%を占めるが、無子となる全体的な可能性のごく一部(1%未満)を占めるにすぎず、他の生物学的要因や環境要因がより重要な役割を担っていると考えられる。
参考文献:
Gardner EJ. et al.(2022): Reduced reproductive success is associated with selective constraint on human genes. Nature, 603, 7903, 858–863.
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04549-9
この研究は、無子の増加が、おそらく遺伝的に関連する認知形質および行動形質を介している、と示す証拠を提示します。これは、男性の保因者が繁殖相手を見つけにくいことを意味するかもしれません。こうした繁殖成功度の低下は、タンパク質コード遺伝子を除去する異型接合多様体に対する純化選択の20%を占めている可能性があります。この遺伝的関連は、とくにより影響力のある社会人口学的要因と比較した場合、無子となる全体的な可能性のごく一部(1%未満)を占めるにすぎないかもしれませんが、遺伝子の経時的な進化の仕方に影響を及ぼす可能性があります。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
遺伝学:繁殖成功度の低下はヒト遺伝子に働く選択的制約と関連する
遺伝学:遺伝子に働く選択的制約の有無と無子との関連
大規模な集団のゲノム塩基配列解読の取り組みから、一部の遺伝子は「選択的制約」を受けており、有害な変異を持ちにくいことが明らかになっている。M Hurlesたちは今回、英国バイオバンクのデータを用いて、これらの遺伝子に働く選択的制約の原因と考えられる選択圧を探った。多くの形質を検討した結果、こうした遺伝子における遺伝的バリアントの全体的な負荷が、子の数、特に男性における無子(childlessness)と関連付けられることが示された。こうした影響は統計的に有意で、これらの遺伝子のバリアントに働く純化選択の約20%を占めるが、無子となる全体的な可能性のごく一部(1%未満)を占めるにすぎず、他の生物学的要因や環境要因がより重要な役割を担っていると考えられる。
参考文献:
Gardner EJ. et al.(2022): Reduced reproductive success is associated with selective constraint on human genes. Nature, 603, 7903, 858–863.
https://doi.org/10.1038/s41586-022-04549-9
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