大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第17回「助命と宿命」

 今回は木曽義高の最期が描かれました。北条義時は源頼朝から義高を討ち取るよう命じられ、重大な決断を迫られます。これも、上総広常の粛清とともに、当初は頼りなかった義時が大政治家へと成長していく過程での難関という位置づけなのでしょう。ただ、義時はけっきょく義高を殺す決断ができず、義高を助けようとします。義時の成長があまりにも急だと不自然になりますし、まだ1/3程度が終わったところでしょうから、義時の成長をじっくりと描いていくのでしょうか。それでも、義時は頼朝の指示により一条忠頼と藤内光澄を粛清したことで、政治家として一段と成長した、と言えるでしょう。

 本作の義高は一見すると好漢でありながら、深い闇を抱えていることも示唆され、複雑な人物として描かれています。頼朝の娘の大姫は義高を慕っており、義高の殺害により大きな精神的打撃を受け、それが後に頼朝の入内運動とどう関わってくるのかも注目されます。亀の前事件や上総広常粛清とともに、今回も結末は史実(もしくは通説)に従いつつ、その過程はかなり捻ってきました。本作のこうした作風に対して、歴史を馬鹿にしているといったような批判的な声をTwitterで見かけましたが、創作の範囲内だと思いますし、少なくとも現時点では私は本作を高く評価しています。

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