大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第19回「果たせぬ凱旋」

 今回は源頼朝と源義経の対立が中心に描かれました。本作の頼朝に対して冷酷な印象を抱いている視聴者は多いでしょうが、弟の義経を頼朝が大事に思っていることも確かで、単に冷酷な人物として描かれているわけではありません。頼朝と義経の対立は、周囲の人物の思惑も絡んで、行き違いの連鎖といった感じで、本作らしく創作も交えた話になっていました。ただ、義経の正妻(里)と義経に寵愛さされている静御前との対立が、義経と頼朝との対立を決定的にした、との創作はさすがにやり過ぎたかな、との感もあります。

 北条義時・時政が逃亡中の義経と会い、義経を見逃したことも、創作としてはやり過ぎたように思います。ただ、本作では義経と北条家との親しさが描かれてきたので、あくまでも娯楽創作である大河ドラマとしては有でしょうか。本作では出番の少ない奥州藤原氏が今回少し描かれ、秀衡は大人物の雰囲気を出しており、息子たちは小物のように見えます。これは、過去の大河ドラマではおおむねそうした人物造形だったので、つい偏見でそのように思えてしまうのかもしれませんが、秀衡は少なくとも次回までは出番があり、義経の死はその次になりそうですから、奥州藤原氏は次の2回でそれなりに描かれそうで、注目しています。

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