『卑弥呼』第84話「闇と光」
『ビッグコミックオリジナル』2022年4月20日号掲載分の感想です。前回は、ヤノハが息子のヤエトを手放す、と決心したところで終了しました。今回は、ヤエトを弟のチカラオ(ナツハ)に託したヤノハが、千穂(現在の高千穂でしょうか)の洞窟の中で目覚める場面から始まります。薪も尽きて暗闇の中、このまま朽ち果ててしまうことも覚悟したヤノハは、人の声が近づいていることに気づきます。邑人とともにヤノハの救出に向かったオオヒコは、ナツハから詳しい状況を聞こうとしますが、ヌカデもナツハの行方を知らず、天照大御神様のご慈悲にすがるしかないだろう、と言います。オオヒコも同意し、渡河して洞窟へと登ろうとします。
出雲では、金砂(カナスナ)国のミクマ王が事代主(コトシロヌシ)と面会し、覚悟を決めた、と伝えます。すると事代主は、この2日間、ミクマ王が都の汗入(アセイリ、後の伯耆国の汗入郡でしょうか)にいなかった、との噂を聞いている、とミクマ王に問いかけます。するとミクマ王は、神の御使いには嘘をつけない、と言って実は吉備津彦(キビツヒコ)と会っており、吉備津彦は鬼国(キノクニ)との和議を仲介してもよいと言ってきた、と打ち明けます。事代主にどう覚悟を決めたのか、と問われたミクマ王は、鬼国の背後には日下(ヒノモト)がおり、自分は日下の傀儡たる吉備国を信じられない、と答えます。ようやく意見が合いましたね、と言った事代主は、自分が提案した策(鬼国に攻め込も、タタラ集団を捕らえること)を了承してもらえるのか、とミクマ王に尋ねます。少し考える時間をくれ、というミクマ王に、鬼国の戦人は金砂国の邑を襲って人々を虐殺しており、一刻の猶予もない、と事代主は必死に訴えます。それでもミクマ王は、少し時間をくれと言い、もう一度この策について考えてもらえないか、と事代主に頼みます。ミクマ王の帰還後、事代主はシラヒコを呼び、ミクマ王が戦を決断すると思うか、尋ねます。シラヒコは、事代主が戦の先陣を切ることに反対で、まずは出雲の勇猛果敢な神守(カミモ)りに任を託すべきではないか、と進言します。事代主はシラヒコの気遣いに感謝しつつ、タタラ人を捕らえるという奇策が正しいのか間違っているのか自分にも分からないので、命を捨てる危険を冒すのは自分でなければならない、と言って出陣の準備を命じます。
千穂では、渡河したオオヒコたちが、洞窟の前の巨岩をどう動かすか、検討していました。ヌカデも巨岩と洞窟の間の隙間に入り、オオヒコたちとともに巨岩を押し、ついに巨岩を落下させることに成功します。そこへ朝日が見え、オオヒコとヌカデたちは天照大御神に感謝します。暗闇の洞窟にいるヤノハに光が見え、オオヒコとヌカデたちの呼びかけを聞いたヤノハが、自分はまだ日見子(ヒミコ)のようだ、と呟くところで今回は終了です。
今回は、洞窟に閉じ込められたヤノハとともに、金砂国と出雲をめぐる駆け引きが描かれました。鬼国の金砂国への侵攻の背後には日下がおり、すでに九州に限らず西日本全域の壮大な話になっています。当分は、四国と山陽も抑えた日下と、日見子たるヤノハを盟主とする九州諸国連合との対峙を軸に話が進んでいきそうです。九州には、この連合に加わっておらず、裏では和平協定を結んでいるものの、緊張関係にある大国の暈(クマ)も存在し、これが醸成を複雑にするとともに、話を面白くしています。ヤノハは次回で洞窟から脱出できそうですから、次は、トメ将軍とミマアキの帰還とともに、暈で捕らえられたアカメの運命が注目されます。
出雲では、金砂(カナスナ)国のミクマ王が事代主(コトシロヌシ)と面会し、覚悟を決めた、と伝えます。すると事代主は、この2日間、ミクマ王が都の汗入(アセイリ、後の伯耆国の汗入郡でしょうか)にいなかった、との噂を聞いている、とミクマ王に問いかけます。するとミクマ王は、神の御使いには嘘をつけない、と言って実は吉備津彦(キビツヒコ)と会っており、吉備津彦は鬼国(キノクニ)との和議を仲介してもよいと言ってきた、と打ち明けます。事代主にどう覚悟を決めたのか、と問われたミクマ王は、鬼国の背後には日下(ヒノモト)がおり、自分は日下の傀儡たる吉備国を信じられない、と答えます。ようやく意見が合いましたね、と言った事代主は、自分が提案した策(鬼国に攻め込も、タタラ集団を捕らえること)を了承してもらえるのか、とミクマ王に尋ねます。少し考える時間をくれ、というミクマ王に、鬼国の戦人は金砂国の邑を襲って人々を虐殺しており、一刻の猶予もない、と事代主は必死に訴えます。それでもミクマ王は、少し時間をくれと言い、もう一度この策について考えてもらえないか、と事代主に頼みます。ミクマ王の帰還後、事代主はシラヒコを呼び、ミクマ王が戦を決断すると思うか、尋ねます。シラヒコは、事代主が戦の先陣を切ることに反対で、まずは出雲の勇猛果敢な神守(カミモ)りに任を託すべきではないか、と進言します。事代主はシラヒコの気遣いに感謝しつつ、タタラ人を捕らえるという奇策が正しいのか間違っているのか自分にも分からないので、命を捨てる危険を冒すのは自分でなければならない、と言って出陣の準備を命じます。
千穂では、渡河したオオヒコたちが、洞窟の前の巨岩をどう動かすか、検討していました。ヌカデも巨岩と洞窟の間の隙間に入り、オオヒコたちとともに巨岩を押し、ついに巨岩を落下させることに成功します。そこへ朝日が見え、オオヒコとヌカデたちは天照大御神に感謝します。暗闇の洞窟にいるヤノハに光が見え、オオヒコとヌカデたちの呼びかけを聞いたヤノハが、自分はまだ日見子(ヒミコ)のようだ、と呟くところで今回は終了です。
今回は、洞窟に閉じ込められたヤノハとともに、金砂国と出雲をめぐる駆け引きが描かれました。鬼国の金砂国への侵攻の背後には日下がおり、すでに九州に限らず西日本全域の壮大な話になっています。当分は、四国と山陽も抑えた日下と、日見子たるヤノハを盟主とする九州諸国連合との対峙を軸に話が進んでいきそうです。九州には、この連合に加わっておらず、裏では和平協定を結んでいるものの、緊張関係にある大国の暈(クマ)も存在し、これが醸成を複雑にするとともに、話を面白くしています。ヤノハは次回で洞窟から脱出できそうですから、次は、トメ将軍とミマアキの帰還とともに、暈で捕らえられたアカメの運命が注目されます。
この記事へのコメント