身長から推測されるヨーロッパ初期農耕民の健康悪化
身長からヨーロッパ初期農耕民の健康悪化を推測した研究(Marciniak et al., 2022)が公表されました。肥沃な三日月地帯で12000年前頃に始まった農耕革命と、地球上の生息地の大半におけるその後の拡大もしくは独立した農耕開始は、ヒトの生計と社会体系と健康に顕著な変化を促進しました。一見すると逆説的ですが、農耕への移行は、初期農耕共同体に相反する生物学的利益と負担をもたらしたかもしれません。具体的には、考古学および集団遺伝学の記録からの人口統計学的再構築では、農耕への移行が、おそらく部分的には新たな食料生産と貯蔵能力のため、個体の適応度増大と人口増加をもたらした、と示唆されています。しかし、この文化期のヒト骨格遺骸の生物考古学的分析は、個人の生理学的幸福および健康が同時に低下したことを示唆します。それは、(1)栄養不足および/または、(2)人口密度増加、定住生活様式、家畜への近接の作用としての病原体負荷の増加に起因する、と推定されています。
これまで、人類学者は二つの主要な手法を用いて、多様な世界規模の地域における採食から農耕への移行にわたる健康を研究してきました。最初の手法は、成人の骨格遺骸へと持続する幼児期の古病理学的指標の特定を含みます。たとえば、骨萎縮性外骨症(頭蓋冠の多孔性傷害)や眼窩篩(眼窩屋根の多孔性)は、感染症や代謝不全や栄養失調および/もしくは慢性病から生じる骨髄肥大もしくは肥厚化の歴史を反映しています。一方、線型エナメル質形成不全(歯のエナメル質の厚さが減少した横方向の領域)は、発達中の永久歯列のエナメル質形成を妨げる、類似の幼児期の生理学的ストレス要因(たとえば、疾患や代謝不全や栄養や離乳)に応じて発生します。大まかには、幼児期のストレスのこれら病理学的指標は、初期農耕共同体の個体群で、それ以前の期間と比較して高い割合で観察される傾向にあり、その全体的な「より悪い」健康を反映している可能性があります。
第二の手法は、骨格に基づく成人到達身長の推定値を、幼児期の成長および発達期の健康の代理として用います。身長は栄養と疾患負荷の影響を他の要因とともに受けるため、比較的低い「年齢に対する身長」(もしくは発育阻害)は、現代および生物考古学両方の文脈におけるより悪い健康の指標として用いられてきました。過去を研究する場合、個人の身長は長骨の測定と回帰式から推定できます。これらの手法を用いて、複数の先行研究では、ヨーロッパと北アメリカ大陸とレヴァントとアジアの初期農耕共同体の個体群の身長は比較的低い、という一般的概要が報告されてきました。たとえば、初期農耕民の推定平均成人身長は、ヨーロッパ西部(女性で8cm、男性で14cm)と地中海東部(女性で11cm、男性で8cm)の両方で、先行する狩猟採集民と比較して約10cm低い、と示されています。いくつかの研究ではそうした変化が報告されていないように、このパターンは普遍的なものではありません。この差異は、潜在的な根底要因を特定するうえで情報をもたらす可能性があります。
しかし、幼児期の栄養摂取や疾患のような環境的影響に加えて、遺伝的変異も最終的な身長に大きな影響を及ぼす可能性があり、多くの現代の人口集団内の80%となるかなりの程度の身長差は、遺伝的変異により説明可能です。さらに、ヒトの先史時代には移住と遺伝子流動では多くの生計移行が伴っていました。たとえば、先史時代ヨーロッパ全域で、広範な人口集団置換のかなりの古ゲノム証拠が今ではあります(関連記事)。したがって、骨学的研究だけでは、身長の時間的変化が幼児期の健康と、身長と関連するアレル(対立遺伝子)の頻度の変化・違いのどちらとどの程度反映しているのか、定量化できません。
本論文では、ヒトの古ゲノムおよび骨学的データの統合分析が実行されました。両方とも同じ先史時代ヨーロッパの167個体が利用され、その文化期は上部旧石器時代から鉄器時代までとなります(38000~2400年前頃)。この手法により、身長への予測される遺伝的寄与と到達成人身長との間の個人差から推測されるように、「健康」が新石器時代の農耕への文化的移行において変化したのかどうか、調査が可能となります。頭蓋歯要素が保存され、分析に利用可能な場合(167個体のうち98個体)、骨萎縮性外骨症と眼窩篩と線型エナメル質形成不全の病理学的データも収集され、骨学的身長と身長への遺伝的寄与との間の違いのパターンが、幼児期もしくは幼児期を含む時期のこれらストレス指標の有無により部分的に説明できるのかどうか、調べられました。
●標本
利用可能なゲノム規模データ(ショットガン配列もしくはDNA捕獲に基づく手法のどちらかと、刊行された研究および進行中の研究から)と、長骨測定に基づく身長推定値のある古代ヨーロッパの成人167個体のデータベースとが開発されました(図1A)。本論文のデータセットで表されている文化的および時間的期間は、上部旧石器時代(38000~12000年前頃、8個体)、中石器時代(11000~6400年前頃、15個体)、新石器時代(7100~3500年前頃、46個体)、銅器時代(6300~3400年前頃、60個体)、青銅器時代(4500~2500年前頃、31個体)、鉄器時代(2600~2400年前頃、7個体)です。以下は本論文の図1です。
上部旧石器時代と中石器時代の生計戦略は、おもに食料の採集と収集と狩猟でした。新石器時代は、植物栽培と動物の家畜化(混合の程度と速度はさまざまです)、より大きな人口集団、社会的複雑性増加の出現により特徴づけられます。こうした過程は、その後の期間に強化され、拡大されました。さまざまな文化期間の重複する年代は、文化的変化の時期の地理的違いと、単一地域内における複数の文化的伝統の共存の可能性の両方を反映しています。
●新石器時代における平均的な骨学的身長の確認
骨測定計器盤が用いられ、本論文のデータベースの167個体のうち93個体(55.7%)で、長骨の長さが新たに推定されました。追加の54個体で、刊行されているか(以前に収集された)未刊行の長骨の長さの推定値も記録されました。これらの事例で、長骨の長さのデータから骨学的身長が推定されました。最後に、20個体について、事前に計算された最終的な身長推定値のみが利用可能になります。
文化期で、骨学的身長の違いが観察されました(図1B)。男女の骨学的身長の再構築は、新石器時代の前後の期間と比較して、新石器時代の農耕への初期移行においてはより低くなっています。具体的には、先新石器時代期の個体群(平均身長は女性が157.28±7.0cm、男性が168.6±7.6cm)は、新石器時代個体群(平均身長は女性が151.0±6.7cm、男性が164.5±7.4cm)よりも4cmほど高くなります。次に、新石器時代個体群の身長は平均して、新石器時代の後の個体全て(女性が155.06±5.7cm、男性が166.16±5.82cm)より2~5cm低く、銅器時代(女性が154.8±6.2cm、男性が165.5±5.5cm)と青銅器時代(女性が155.6±4.8cm、男性が167.3±6.3cm)と鉄器時代(女性が158.2±7.8cm、男性が165.18±1.3cm)で着実に高くなっています。
本論文のデータの全体的パターンは、以前に刊行された報告とほぼ一致します。具体的には、(1)上部旧石器時代から中石器時代にはわずかに身長が低下し、(2)顕著な身長低下は新石器時代の初期の農耕中に起き(これは普遍的ではありませんが)、(3)新石器時代の後の農耕集約化期間に身長が上昇しました。
●多遺伝子身長得点からの予測より比較的低い初期農耕民の身長
次に、同じ個体群での古代DNAに基づく多遺伝子身長得点の文脈で、骨学的身長推定値が検討されました。古代DNA遺伝子型データ処理で確立した手法を用いて、現代ヨーロッパ人の身長の違いの大規模なゲノム規模関連研究(GWAS)の結果(関連記事)の文脈で、利用可能なゲノム規模表現型に基づき先史時代各個体の多遺伝子得点が推定されました。本文と図で提示された結果については、脱アミノ化に基づく古代DNAの損傷の影響を受けたかもしれない全ての多様体が隠された(masked)、多様体の種類が用いられました。そうした多様体が隠されていないデータセットでも全ての分析が実行され、類似の結果が得られました。
先行研究に基づいて予測されたように、167個体で推定された多遺伝子得点が文化期全体にわたってやや変動しましたが、本論文が最も関心を寄せたのは、これらのデータを用いて、個体ごとに到達成人身長への遺伝的寄与を説明し始めることです。多遺伝子身長得点と骨学的身長推定値は、男女の統合されたデータセットで正に相関しました。これらの結果は、古ゲノムおよび骨学的データの統合分析の一般的な生物学的妥当性を裏づけます。
重要かつ予測されることに、多遺伝子身長得点と到達成人身長との間の関係には、依然としてかなりの個体間の違いがあり、不完全な遺伝的情報のあらゆる組み合わせを反映しているかもしれません。それは、長骨測定誤差、多遺伝子身長得点もしくは身長推定値誤差、幼児期の栄養摂取や疾患や成長に関する他の環境変数です。したがって次に、組み合わされた性別の骨学的身長と古代DNAに基づく多遺伝子得点モデルの残差が分析され、個体がさまざまな文化期にわたって、その多遺伝子得点と比較して成人身長が高いのか低いのか、どちらの傾向にあるのか検証されました。これらの残差は、個体ごとに予測される身長からの長短のcmで表されます。
文化期全体にわたって、平均残差間の違い(性別を考慮した後の、骨学的身長と遺伝的身長得点との間の違いを反映しています)として結果が提示されます。そうして、この本文での相対的な叙述における「予測される」という用語の以下の使用は、より広範な人類学的仮説の検証についての解説ではなく、全体的なデータセットの統計的特性を反映しています。
成人身長への遺伝的変異の予測される寄与を部分的に説明する、古代DNAに基づく手法を用いると、新石器時代個体群は他の文化期の個体群と比較して、予測よりもじっさいに骨学的に低い(つまり、多遺伝子身長得点に基づき、本論文の全体的な標本の文脈で)、と観察されます(図1F)。具体的には、先新石器時代個体群(平均残差は+1.96±7.06cm)は、新石器時代個体群(平均残差は-1.87±7.08cm)と比較して3.82cm高くなります。次に、新石器時代個体群は新石器時代の後の個体群(平均残差は0.341±5.48cm)と比較して、平均で予測されるより2.21cm低くなります。新石器時代個体群は、負の平均残差を示す唯一の文化期集団でした。
これらの結果は本論文の標本における地理的違いでは説明できない、と確証されました。男女を別々に分析し、再構築された身長推定値に対して個体の長骨を別々に分析した場合でも(とくに、標本規模の限界はありますが)、類似の結果が得られました。
対照的に、モデルに遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を明示的に反映する変数を含めると、結果は弱まりました。上述の本論文の主要な手法は、多遺伝子得点の個体水準の計算を介して祖先系統の違いをすでに説明しています。しかし、多遺伝子身長得点は、全体的な遺伝性の違いの一部しか説明しません。したがって、古代人167個体全てについてゲノム規模遺伝子型データでMDS(多次元尺度構成法)分析の実行後に仮説検定が繰り返され、次に更新された線形モデルでの要素として4つのMDS構成要素が含められました。主成分分析(PCA)と同様に、MDSはGWAS枠組みにおいて祖先系統の不均一性の影響を軽減するのに使えます。モデルにMDS構成要素を含めると、先新石器時代個体群(平均残差は+2.22±6.98cm)は、新石器時代個体群(平均残差は-0.594±6.9cm)と比較して平均で予測より2.82cm高くなります。新石器時代個体群は、新石器時代の後の個体群(平均残差は-0.21±5.16cm)と比較して、平均で0.38cm低くなります。
●非特異的ストレスの古病理学的指標
有害な初期の生活条件は、成人身長に悪影響を及ぼす可能性があります。先史時代の身長への個体水準の初期の生活の影響が識別できるのかどうか、調査を始めるため、幼児期から成人期の骨格遺骸まで持続するかもしれない、非特異的ストレスの古病理学的指標の観察結果が分析モデルに組み込まれました。そのために、167個体のうち98個体(58.7%)について(新たに特徴づけられた82個体と既知の16個体)、眼窩篩(眼窩屋根の多孔性)や骨萎縮性外骨症(頭蓋冠の多孔性傷害)や線型エナメル質形成不全(歯のエナメル質の厚さが減少した領域)の一つもしくは複数の有無が特徴づけられました。
98個体のうち58個体で(59.2%)、この3つのストレス指標全ての有無の評価が完全にできました(図2A)。この二次標本のうち、1つもしくは複数の指標が41個体(70.7%)に存在し、2つもしくはそれ以上の指標が18個体(31.0%)で観察され、3つの古病理学的指標すべてが存在したのは2個体(3.4)だけでした。したがって、健康へのストレスは、先史時代ヨーロッパでは比較的一般的でした。以下は本論文の図2です。
新石器時代個体群のうち77.8%とかなりの割合(18個体のうち14個体)が、1つもしくは複数のストレスの指標を有していました(図2A)。1つもしくは複数の指標を有する銅器時代個体群(18個体のうち10個体、55.6%)は、新石器時代個体群と比較して低い割合となっていますが、新石器時代の結果は特殊ではなく、青銅器時代標本でも1個体を除いて全ての個体(13個体のうち12個体、92.3%)で1つもしくは複数のストレス指標が記録されます。
標本規模の最大化のため、少なくとも1つのストレス指標について、有無のデータのある98個体のより大規模なデータセットを検証すると、新石器時代と青銅器時代のパターン間で明確な違いが観察されました(図2B)。具体的には、新石器時代標本では骨萎縮性外骨症が一般的ですが(22個体のうち15個体、68.2%)、線型エナメル質形成不全は比較的稀です(25個体のうち7個体、28.0%)。青銅器時代には逆が当てはまり、骨萎縮性外骨症は17個体のうち4個体(23.5%)ですが、線型エナメル質形成不全は17個体のうち13個体(76.5%)で見られます。
次に、ストレスの古病理学的指標の存在が、骨学的身長と多遺伝子身長得点推定値との間の全体的な関係から個体水準の偏差を予測できるのかどうか、検証されました。3つの古病理学的指標すべてで有無のデータのある個体群の部分集合に基づいて、1つもしくは複数のストレス指標のある41個体は、ストレス指標のない17個体と比較して、平均で0.917cm低くなります。この違いが中程度で、この分析で利用可能な標本規模では、この結果は偶然の予測に基づく可能性は低くありません。2つもしくはそれ以上のストレス指標のある18個体は、ストレス指標のない個体群と比較して、平均で予測より1.175cm低くなります。
次により大きなデータセットを用いて、骨学的身長と多遺伝子身長得点の関係について、それぞれの古病理学的ストレス指標の影響が別々に分析されました。その結果、眼窩篩のある21個体は、眼窩篩のない60個体と比較して平均で、わずかではあるものの有意に予測より低い(1.23cm)、と分かりました。線型エナメル質形成不全と骨萎縮性外骨症の有無は、骨学的身長および多遺伝子身長得点の残差の違いとは、無視できるほどの関連性でした(図2D)。これらのパターンは、それぞれの分析から強い眼窩篩もしくは骨萎縮性外骨症傷害のある数個体を除外しても変わりませんでした。ただ、強い傷害は成人期ストレスを反映していますが、幼児期の傷害の証拠を隠す可能性があります。
最後に文化期の文脈で、眼窩篩と骨萎縮性外骨症と線型エナメル質形成不全の有無と、骨学的身長対多遺伝子身長得点の残差との間の関係が調べられました。注目すべきは、眼窩篩のある新石器時代の6個体が、眼窩篩のない同じ文化期の19個体群と比較して、平均で4.12cm低いことです(図2D)。この予備的ではあるものの示唆的な影響は、分析に充分な有無を判定できる標本規模のある他の期間(銅器時代)では、ほとんど存在しませんでした(+0.065cmの違い)。
●考察
生物考古学者は、新石器時代における比較的低い平均成人身長の繰り返される観察を、新石器時代個体群の一般的な健康悪化の可能性と同一視しました。栄養摂取多様性の低下、予測できない食料の入手可能性(たとえば、不作や貯蔵損失)、増大する感染症疾患負荷の組み合わせは、幼児期の健康と成長に悪影響を及ぼしたかもしれません。当然、そうした先行研究は、成人身長への遺伝的要因の組み合わせにおける個体間の差異の寄与を考慮していませんでした。しかし、この考慮事項は、さまざまな農耕への移行と関連する、かなりの移住と遺伝子流動の過程についての更新された理解の観点ではとくに重要です。
本論文では、ゲノム規模古代DNAデータと完全な長骨の両方が分析に利用可能な、先史時代ヨーロッパの167個体が標本抽出され、身長への個体水準の遺伝的寄与を(少なくとも部分的に)考慮する場合に、新石器時代個体群が依然として骨学的に予測より低いのかどうか、検証することが可能になりました。この手法を用いて分かったのは、平均的な新石器時代農耕民の身長は、先新石器時代個体群と比較して、予測より実際に相対的に低かった、ということです(図1F)。次に、平均的な骨学的身長対予測される身長は、新石器時代の後の期間ごとに増加しました。この漸進的な回復は、継続的な(変動はあるものの)文化的および技術的革新の歴史を反映している可能性があり、そうした革新は、最初の農耕民が直面した初期の栄養学的および疾患ストレス要因を、改善および/もしくは克服しました。
本論文の枠組みは、先史時代ヨーロッパ全域の人口集団水準の骨学的身長推定値(1159個体)と古代DNAに基づく多遺伝子身長得点(1071)を比較した以前の研究と関連しているものの、異なります。これら2つの推定値は別々に計算され(つまり、通常は同じ個体ではありません)、それにより大きな標本規模が容易となります。対照的に、本論文の手法は、これら2つの変数間の関係において、個体水準の動態を明確に考慮しており、標本規模に限界はあるものの、潜在的に洞察に満ちています。興味深いことに、以前の研究では、平均骨学的身長と多遺伝子身長得点は両方、ヨーロッパの中石器時代と新石器時代の間では類似していた、と観察されました。この結果は、本論文の骨学的身長推定値観察および以前の生物考古学的研究とは対照的で、生計変化の根底にある微妙な複雑性の一部として、興味深い人口集団間の変動性を反映しているかもしれません。
この研究には、身長と遺伝子との関連の全容が解明されているわけではないことや、不完全な古代DNA遺伝子型データに基づいていることなど、限界もありますが、時空間的に広範囲の多数の古代ゲノムデータが用いられており、意義深いと思います。この規模の研究が可能なのは、現時点ではヨーロッパだけでしょうが、今後は他地域での同様の研究の進展が期待されます。新石器時代になりそれ以前と比較して、個体水準では健康悪化も珍しくないことは、日本でも評判となった『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』でも指摘されており(関連記事)、この見解自体はさほど意外ではないでしょうが、本論文のように遺伝的データも活用して改めて具体的に検証することは重要だと思います。
参考文献:
Marciniak S. et al.(2022): An integrative skeletal and paleogenomic analysis of stature variation suggests relatively reduced health for early European farmers. PNAS, 119, 15, e2106743119.
https://doi.org/10.1073/pnas.2106743119
これまで、人類学者は二つの主要な手法を用いて、多様な世界規模の地域における採食から農耕への移行にわたる健康を研究してきました。最初の手法は、成人の骨格遺骸へと持続する幼児期の古病理学的指標の特定を含みます。たとえば、骨萎縮性外骨症(頭蓋冠の多孔性傷害)や眼窩篩(眼窩屋根の多孔性)は、感染症や代謝不全や栄養失調および/もしくは慢性病から生じる骨髄肥大もしくは肥厚化の歴史を反映しています。一方、線型エナメル質形成不全(歯のエナメル質の厚さが減少した横方向の領域)は、発達中の永久歯列のエナメル質形成を妨げる、類似の幼児期の生理学的ストレス要因(たとえば、疾患や代謝不全や栄養や離乳)に応じて発生します。大まかには、幼児期のストレスのこれら病理学的指標は、初期農耕共同体の個体群で、それ以前の期間と比較して高い割合で観察される傾向にあり、その全体的な「より悪い」健康を反映している可能性があります。
第二の手法は、骨格に基づく成人到達身長の推定値を、幼児期の成長および発達期の健康の代理として用います。身長は栄養と疾患負荷の影響を他の要因とともに受けるため、比較的低い「年齢に対する身長」(もしくは発育阻害)は、現代および生物考古学両方の文脈におけるより悪い健康の指標として用いられてきました。過去を研究する場合、個人の身長は長骨の測定と回帰式から推定できます。これらの手法を用いて、複数の先行研究では、ヨーロッパと北アメリカ大陸とレヴァントとアジアの初期農耕共同体の個体群の身長は比較的低い、という一般的概要が報告されてきました。たとえば、初期農耕民の推定平均成人身長は、ヨーロッパ西部(女性で8cm、男性で14cm)と地中海東部(女性で11cm、男性で8cm)の両方で、先行する狩猟採集民と比較して約10cm低い、と示されています。いくつかの研究ではそうした変化が報告されていないように、このパターンは普遍的なものではありません。この差異は、潜在的な根底要因を特定するうえで情報をもたらす可能性があります。
しかし、幼児期の栄養摂取や疾患のような環境的影響に加えて、遺伝的変異も最終的な身長に大きな影響を及ぼす可能性があり、多くの現代の人口集団内の80%となるかなりの程度の身長差は、遺伝的変異により説明可能です。さらに、ヒトの先史時代には移住と遺伝子流動では多くの生計移行が伴っていました。たとえば、先史時代ヨーロッパ全域で、広範な人口集団置換のかなりの古ゲノム証拠が今ではあります(関連記事)。したがって、骨学的研究だけでは、身長の時間的変化が幼児期の健康と、身長と関連するアレル(対立遺伝子)の頻度の変化・違いのどちらとどの程度反映しているのか、定量化できません。
本論文では、ヒトの古ゲノムおよび骨学的データの統合分析が実行されました。両方とも同じ先史時代ヨーロッパの167個体が利用され、その文化期は上部旧石器時代から鉄器時代までとなります(38000~2400年前頃)。この手法により、身長への予測される遺伝的寄与と到達成人身長との間の個人差から推測されるように、「健康」が新石器時代の農耕への文化的移行において変化したのかどうか、調査が可能となります。頭蓋歯要素が保存され、分析に利用可能な場合(167個体のうち98個体)、骨萎縮性外骨症と眼窩篩と線型エナメル質形成不全の病理学的データも収集され、骨学的身長と身長への遺伝的寄与との間の違いのパターンが、幼児期もしくは幼児期を含む時期のこれらストレス指標の有無により部分的に説明できるのかどうか、調べられました。
●標本
利用可能なゲノム規模データ(ショットガン配列もしくはDNA捕獲に基づく手法のどちらかと、刊行された研究および進行中の研究から)と、長骨測定に基づく身長推定値のある古代ヨーロッパの成人167個体のデータベースとが開発されました(図1A)。本論文のデータセットで表されている文化的および時間的期間は、上部旧石器時代(38000~12000年前頃、8個体)、中石器時代(11000~6400年前頃、15個体)、新石器時代(7100~3500年前頃、46個体)、銅器時代(6300~3400年前頃、60個体)、青銅器時代(4500~2500年前頃、31個体)、鉄器時代(2600~2400年前頃、7個体)です。以下は本論文の図1です。
上部旧石器時代と中石器時代の生計戦略は、おもに食料の採集と収集と狩猟でした。新石器時代は、植物栽培と動物の家畜化(混合の程度と速度はさまざまです)、より大きな人口集団、社会的複雑性増加の出現により特徴づけられます。こうした過程は、その後の期間に強化され、拡大されました。さまざまな文化期間の重複する年代は、文化的変化の時期の地理的違いと、単一地域内における複数の文化的伝統の共存の可能性の両方を反映しています。
●新石器時代における平均的な骨学的身長の確認
骨測定計器盤が用いられ、本論文のデータベースの167個体のうち93個体(55.7%)で、長骨の長さが新たに推定されました。追加の54個体で、刊行されているか(以前に収集された)未刊行の長骨の長さの推定値も記録されました。これらの事例で、長骨の長さのデータから骨学的身長が推定されました。最後に、20個体について、事前に計算された最終的な身長推定値のみが利用可能になります。
文化期で、骨学的身長の違いが観察されました(図1B)。男女の骨学的身長の再構築は、新石器時代の前後の期間と比較して、新石器時代の農耕への初期移行においてはより低くなっています。具体的には、先新石器時代期の個体群(平均身長は女性が157.28±7.0cm、男性が168.6±7.6cm)は、新石器時代個体群(平均身長は女性が151.0±6.7cm、男性が164.5±7.4cm)よりも4cmほど高くなります。次に、新石器時代個体群の身長は平均して、新石器時代の後の個体全て(女性が155.06±5.7cm、男性が166.16±5.82cm)より2~5cm低く、銅器時代(女性が154.8±6.2cm、男性が165.5±5.5cm)と青銅器時代(女性が155.6±4.8cm、男性が167.3±6.3cm)と鉄器時代(女性が158.2±7.8cm、男性が165.18±1.3cm)で着実に高くなっています。
本論文のデータの全体的パターンは、以前に刊行された報告とほぼ一致します。具体的には、(1)上部旧石器時代から中石器時代にはわずかに身長が低下し、(2)顕著な身長低下は新石器時代の初期の農耕中に起き(これは普遍的ではありませんが)、(3)新石器時代の後の農耕集約化期間に身長が上昇しました。
●多遺伝子身長得点からの予測より比較的低い初期農耕民の身長
次に、同じ個体群での古代DNAに基づく多遺伝子身長得点の文脈で、骨学的身長推定値が検討されました。古代DNA遺伝子型データ処理で確立した手法を用いて、現代ヨーロッパ人の身長の違いの大規模なゲノム規模関連研究(GWAS)の結果(関連記事)の文脈で、利用可能なゲノム規模表現型に基づき先史時代各個体の多遺伝子得点が推定されました。本文と図で提示された結果については、脱アミノ化に基づく古代DNAの損傷の影響を受けたかもしれない全ての多様体が隠された(masked)、多様体の種類が用いられました。そうした多様体が隠されていないデータセットでも全ての分析が実行され、類似の結果が得られました。
先行研究に基づいて予測されたように、167個体で推定された多遺伝子得点が文化期全体にわたってやや変動しましたが、本論文が最も関心を寄せたのは、これらのデータを用いて、個体ごとに到達成人身長への遺伝的寄与を説明し始めることです。多遺伝子身長得点と骨学的身長推定値は、男女の統合されたデータセットで正に相関しました。これらの結果は、古ゲノムおよび骨学的データの統合分析の一般的な生物学的妥当性を裏づけます。
重要かつ予測されることに、多遺伝子身長得点と到達成人身長との間の関係には、依然としてかなりの個体間の違いがあり、不完全な遺伝的情報のあらゆる組み合わせを反映しているかもしれません。それは、長骨測定誤差、多遺伝子身長得点もしくは身長推定値誤差、幼児期の栄養摂取や疾患や成長に関する他の環境変数です。したがって次に、組み合わされた性別の骨学的身長と古代DNAに基づく多遺伝子得点モデルの残差が分析され、個体がさまざまな文化期にわたって、その多遺伝子得点と比較して成人身長が高いのか低いのか、どちらの傾向にあるのか検証されました。これらの残差は、個体ごとに予測される身長からの長短のcmで表されます。
文化期全体にわたって、平均残差間の違い(性別を考慮した後の、骨学的身長と遺伝的身長得点との間の違いを反映しています)として結果が提示されます。そうして、この本文での相対的な叙述における「予測される」という用語の以下の使用は、より広範な人類学的仮説の検証についての解説ではなく、全体的なデータセットの統計的特性を反映しています。
成人身長への遺伝的変異の予測される寄与を部分的に説明する、古代DNAに基づく手法を用いると、新石器時代個体群は他の文化期の個体群と比較して、予測よりもじっさいに骨学的に低い(つまり、多遺伝子身長得点に基づき、本論文の全体的な標本の文脈で)、と観察されます(図1F)。具体的には、先新石器時代個体群(平均残差は+1.96±7.06cm)は、新石器時代個体群(平均残差は-1.87±7.08cm)と比較して3.82cm高くなります。次に、新石器時代個体群は新石器時代の後の個体群(平均残差は0.341±5.48cm)と比較して、平均で予測されるより2.21cm低くなります。新石器時代個体群は、負の平均残差を示す唯一の文化期集団でした。
これらの結果は本論文の標本における地理的違いでは説明できない、と確証されました。男女を別々に分析し、再構築された身長推定値に対して個体の長骨を別々に分析した場合でも(とくに、標本規模の限界はありますが)、類似の結果が得られました。
対照的に、モデルに遺伝的祖先系統(祖先系譜、祖先成分、祖先構成、ancestry)を明示的に反映する変数を含めると、結果は弱まりました。上述の本論文の主要な手法は、多遺伝子得点の個体水準の計算を介して祖先系統の違いをすでに説明しています。しかし、多遺伝子身長得点は、全体的な遺伝性の違いの一部しか説明しません。したがって、古代人167個体全てについてゲノム規模遺伝子型データでMDS(多次元尺度構成法)分析の実行後に仮説検定が繰り返され、次に更新された線形モデルでの要素として4つのMDS構成要素が含められました。主成分分析(PCA)と同様に、MDSはGWAS枠組みにおいて祖先系統の不均一性の影響を軽減するのに使えます。モデルにMDS構成要素を含めると、先新石器時代個体群(平均残差は+2.22±6.98cm)は、新石器時代個体群(平均残差は-0.594±6.9cm)と比較して平均で予測より2.82cm高くなります。新石器時代個体群は、新石器時代の後の個体群(平均残差は-0.21±5.16cm)と比較して、平均で0.38cm低くなります。
●非特異的ストレスの古病理学的指標
有害な初期の生活条件は、成人身長に悪影響を及ぼす可能性があります。先史時代の身長への個体水準の初期の生活の影響が識別できるのかどうか、調査を始めるため、幼児期から成人期の骨格遺骸まで持続するかもしれない、非特異的ストレスの古病理学的指標の観察結果が分析モデルに組み込まれました。そのために、167個体のうち98個体(58.7%)について(新たに特徴づけられた82個体と既知の16個体)、眼窩篩(眼窩屋根の多孔性)や骨萎縮性外骨症(頭蓋冠の多孔性傷害)や線型エナメル質形成不全(歯のエナメル質の厚さが減少した領域)の一つもしくは複数の有無が特徴づけられました。
98個体のうち58個体で(59.2%)、この3つのストレス指標全ての有無の評価が完全にできました(図2A)。この二次標本のうち、1つもしくは複数の指標が41個体(70.7%)に存在し、2つもしくはそれ以上の指標が18個体(31.0%)で観察され、3つの古病理学的指標すべてが存在したのは2個体(3.4)だけでした。したがって、健康へのストレスは、先史時代ヨーロッパでは比較的一般的でした。以下は本論文の図2です。
新石器時代個体群のうち77.8%とかなりの割合(18個体のうち14個体)が、1つもしくは複数のストレスの指標を有していました(図2A)。1つもしくは複数の指標を有する銅器時代個体群(18個体のうち10個体、55.6%)は、新石器時代個体群と比較して低い割合となっていますが、新石器時代の結果は特殊ではなく、青銅器時代標本でも1個体を除いて全ての個体(13個体のうち12個体、92.3%)で1つもしくは複数のストレス指標が記録されます。
標本規模の最大化のため、少なくとも1つのストレス指標について、有無のデータのある98個体のより大規模なデータセットを検証すると、新石器時代と青銅器時代のパターン間で明確な違いが観察されました(図2B)。具体的には、新石器時代標本では骨萎縮性外骨症が一般的ですが(22個体のうち15個体、68.2%)、線型エナメル質形成不全は比較的稀です(25個体のうち7個体、28.0%)。青銅器時代には逆が当てはまり、骨萎縮性外骨症は17個体のうち4個体(23.5%)ですが、線型エナメル質形成不全は17個体のうち13個体(76.5%)で見られます。
次に、ストレスの古病理学的指標の存在が、骨学的身長と多遺伝子身長得点推定値との間の全体的な関係から個体水準の偏差を予測できるのかどうか、検証されました。3つの古病理学的指標すべてで有無のデータのある個体群の部分集合に基づいて、1つもしくは複数のストレス指標のある41個体は、ストレス指標のない17個体と比較して、平均で0.917cm低くなります。この違いが中程度で、この分析で利用可能な標本規模では、この結果は偶然の予測に基づく可能性は低くありません。2つもしくはそれ以上のストレス指標のある18個体は、ストレス指標のない個体群と比較して、平均で予測より1.175cm低くなります。
次により大きなデータセットを用いて、骨学的身長と多遺伝子身長得点の関係について、それぞれの古病理学的ストレス指標の影響が別々に分析されました。その結果、眼窩篩のある21個体は、眼窩篩のない60個体と比較して平均で、わずかではあるものの有意に予測より低い(1.23cm)、と分かりました。線型エナメル質形成不全と骨萎縮性外骨症の有無は、骨学的身長および多遺伝子身長得点の残差の違いとは、無視できるほどの関連性でした(図2D)。これらのパターンは、それぞれの分析から強い眼窩篩もしくは骨萎縮性外骨症傷害のある数個体を除外しても変わりませんでした。ただ、強い傷害は成人期ストレスを反映していますが、幼児期の傷害の証拠を隠す可能性があります。
最後に文化期の文脈で、眼窩篩と骨萎縮性外骨症と線型エナメル質形成不全の有無と、骨学的身長対多遺伝子身長得点の残差との間の関係が調べられました。注目すべきは、眼窩篩のある新石器時代の6個体が、眼窩篩のない同じ文化期の19個体群と比較して、平均で4.12cm低いことです(図2D)。この予備的ではあるものの示唆的な影響は、分析に充分な有無を判定できる標本規模のある他の期間(銅器時代)では、ほとんど存在しませんでした(+0.065cmの違い)。
●考察
生物考古学者は、新石器時代における比較的低い平均成人身長の繰り返される観察を、新石器時代個体群の一般的な健康悪化の可能性と同一視しました。栄養摂取多様性の低下、予測できない食料の入手可能性(たとえば、不作や貯蔵損失)、増大する感染症疾患負荷の組み合わせは、幼児期の健康と成長に悪影響を及ぼしたかもしれません。当然、そうした先行研究は、成人身長への遺伝的要因の組み合わせにおける個体間の差異の寄与を考慮していませんでした。しかし、この考慮事項は、さまざまな農耕への移行と関連する、かなりの移住と遺伝子流動の過程についての更新された理解の観点ではとくに重要です。
本論文では、ゲノム規模古代DNAデータと完全な長骨の両方が分析に利用可能な、先史時代ヨーロッパの167個体が標本抽出され、身長への個体水準の遺伝的寄与を(少なくとも部分的に)考慮する場合に、新石器時代個体群が依然として骨学的に予測より低いのかどうか、検証することが可能になりました。この手法を用いて分かったのは、平均的な新石器時代農耕民の身長は、先新石器時代個体群と比較して、予測より実際に相対的に低かった、ということです(図1F)。次に、平均的な骨学的身長対予測される身長は、新石器時代の後の期間ごとに増加しました。この漸進的な回復は、継続的な(変動はあるものの)文化的および技術的革新の歴史を反映している可能性があり、そうした革新は、最初の農耕民が直面した初期の栄養学的および疾患ストレス要因を、改善および/もしくは克服しました。
本論文の枠組みは、先史時代ヨーロッパ全域の人口集団水準の骨学的身長推定値(1159個体)と古代DNAに基づく多遺伝子身長得点(1071)を比較した以前の研究と関連しているものの、異なります。これら2つの推定値は別々に計算され(つまり、通常は同じ個体ではありません)、それにより大きな標本規模が容易となります。対照的に、本論文の手法は、これら2つの変数間の関係において、個体水準の動態を明確に考慮しており、標本規模に限界はあるものの、潜在的に洞察に満ちています。興味深いことに、以前の研究では、平均骨学的身長と多遺伝子身長得点は両方、ヨーロッパの中石器時代と新石器時代の間では類似していた、と観察されました。この結果は、本論文の骨学的身長推定値観察および以前の生物考古学的研究とは対照的で、生計変化の根底にある微妙な複雑性の一部として、興味深い人口集団間の変動性を反映しているかもしれません。
この研究には、身長と遺伝子との関連の全容が解明されているわけではないことや、不完全な古代DNA遺伝子型データに基づいていることなど、限界もありますが、時空間的に広範囲の多数の古代ゲノムデータが用いられており、意義深いと思います。この規模の研究が可能なのは、現時点ではヨーロッパだけでしょうが、今後は他地域での同様の研究の進展が期待されます。新石器時代になりそれ以前と比較して、個体水準では健康悪化も珍しくないことは、日本でも評判となった『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』でも指摘されており(関連記事)、この見解自体はさほど意外ではないでしょうが、本論文のように遺伝的データも活用して改めて具体的に検証することは重要だと思います。
参考文献:
Marciniak S. et al.(2022): An integrative skeletal and paleogenomic analysis of stature variation suggests relatively reduced health for early European farmers. PNAS, 119, 15, e2106743119.
https://doi.org/10.1073/pnas.2106743119
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