大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第9回「決戦前夜」

 今回は富士川の戦いが描かれました。その過程で源頼朝は、伊東を討つよう、和田義盛と畠山重忠に命じます。北条義時は八重を救うべく三浦義村とともに伊東の館に急行し、八重を救うとともに、祖父の伊東祐親の助命を頼朝に願い出ます。頼朝は祐親と八重を三浦に預けるよう、命じますが、八重は頼朝の侍女として近くにいたい、と義時に要求します。八重はおそらく北条泰時の母親となり、本作では前半のメインヒロイン的な役割を担うのでしょうが、かなり我儘な性格で、異端的なヒロインと言えそうです。

 武田信義と頼朝は初めて対面し、どちらも優位に立とうとしているところが描かれ、両者の緊張関係が窺えたのはよかったように思います。本作は、頼朝の源氏の棟梁としての地位が挙兵当初から確立していなかったことを明示しており、この点は歴史ドラマとして優れているように思います。また、富士川の戦いで平家軍が敗走した後の方針をめぐる議論で、頼朝の意向がまだ通じないところも描かれており、この点も歴史ドラマとして魅力的になっています。頼朝と義経の対面も描かれ、義経は良くも悪くも純粋な人物という設定のようです。頼朝が孤独を感じていたところに義経が登場し、頼朝が義経を熱烈に歓迎したことは、上手く話が構成されているように思います。この時の頼朝の対応が、その後の義経の頼朝への想いを決定づけた、という話になるのでしょうか。

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