複数の遺伝子多様体と形質の関係
複数の遺伝子多様体と形質の関係に関する研究(Abell et al., 2022)が公表されました。日本語の解説記事もあります。ヒト遺伝子研究の主要な目的は、ヒトの形質、とくに健康に関連があるものに必然的に影響を及ぼす遺伝子多様体を特定することです 。ゲノム規模関連研究(GWAS)は、個々の遺伝子多様体が特定の性質に及ぼす影響を評価する貴重な手段だと示されていますが、関連する複数の多様体の中から単一の原因多様体を特定することは依然として困難です。また、原因遺伝子多様体に、量的形質遺伝子座(QTL、特定の表現型と統計学的に関連するゲノムの領域)をマッピングすることは困難です。ほとんどの標的座がゲノムの非コード領域に位置し、間隔が狭い複数の多様体を含む領域にあるためです。しかし、これらの領域内では、単一の原因遺伝子多様体が特定の表現型を担当している、とよく推測されます。
この研究は、遺伝子と表現型がどのように関連しているかをよりよく理解するために、超並列レポーターアッセイ(MPRA)をゲノムの標的領域に適用して、遺伝子多様体と質的なヒトの表現型との関連を明らかにしました。この研究は、評価した調節領域の少なくとも17.7%に2つ以上の原因多様体が含まれており(多発性硬化症やクローン病や過敏性腸症候群など、複雑な炎症性疾患に関連する形質を含むヒトのいくつかの形質)、多様体の影響は以前に考えられていたよりも弱いことが多い、と明らかにしました。これは、表現型の遺伝的基盤が、関連する複数の原因遺伝子多様体に起因する可能性があることを示唆している、と考えられます
参考文献:
Abell NS. et al.(2020): Multiple causal variants underlie genetic associations in humans. Science, 378, 6586, 1247–1254.
https://doi.org/10.1126/science.abj5117
この研究は、遺伝子と表現型がどのように関連しているかをよりよく理解するために、超並列レポーターアッセイ(MPRA)をゲノムの標的領域に適用して、遺伝子多様体と質的なヒトの表現型との関連を明らかにしました。この研究は、評価した調節領域の少なくとも17.7%に2つ以上の原因多様体が含まれており(多発性硬化症やクローン病や過敏性腸症候群など、複雑な炎症性疾患に関連する形質を含むヒトのいくつかの形質)、多様体の影響は以前に考えられていたよりも弱いことが多い、と明らかにしました。これは、表現型の遺伝的基盤が、関連する複数の原因遺伝子多様体に起因する可能性があることを示唆している、と考えられます
参考文献:
Abell NS. et al.(2020): Multiple causal variants underlie genetic associations in humans. Science, 378, 6586, 1247–1254.
https://doi.org/10.1126/science.abj5117
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