大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第12回「亀の前事件」

 今回は亀の前をめぐる騒動が描かれました。本作の亀の前はかなり野心的で強気な人物として描かれており、本作と題材がほぼ重なる1979年放送の大河ドラマ『草燃える』の亀の前とはかなり異なるように思いますが、本作の人物造形もなかなか魅力的です。亀の前事件に「りく」が関わっていることは、「りく」の政子への複雑な想いを活かした上手い話になっていたと思います。さらに、源義経が義姉の政子を慕っていることや、軽率な北条時政の言動で事件が大きくなってしまったことも上手く構成されています。義経と梶原景時との因縁がさらに深くなったことも、今後の話で注目されます。本作は今後の展開も踏まえて上手く人間関係が描かれており、『草燃える』並の傑作になるのではないか、と期待しています。

 今回は大江広元が初登場となります。大江広元は鎌倉幕府草創期の重要人物なので、今回はまだ顔見世程度の出番でしたが、今後の活躍が注目されます。源頼朝が坂東武者の統制に苦慮していることも描かれ、とくに上総広常の自己主張の強さが印象的です。上総広常の最期を考えるとこの描写は必要で、今後も上総広常の「増長」というか自己主張の強さが描かれていくのでしょう。今回は北条の後継者をめぐる思惑も少し描かれ、本作は北条義時が主人公ですから、これは今後の展開を考えると重要なやり取りだったように思います。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック