大河ドラマ『鎌倉殿の13人』第10回「根拠なき自信」

 前回、異母兄の源頼朝と対面した義経とともに、頼朝の異母弟の阿野全成およよび源範頼の人物像が今回はさらに詳しく描かれました。義経は身勝手な人物として描かれていますが、純粋なところもあり、それゆえに異母兄の頼朝を刺激するところもあって、それが後の兄弟の対立につながっていくのでしょうか。また、義経が頼朝に、藤原秀衡に援軍を要請したことも、頼朝に平泉からの援軍を期待させ、結局は裏切られたことで、義経への不満を募らせた理由になるのかもしれません。義経の軍才が示されたことも注目されます。秀衡はしたたかで大物感のある人物として描かれており、本作では登場場面が少ないでしょうが、その存在感には期待できそうです。

 今回は、頼朝の館で仕えることになった八重をめぐる話にもかなりの時間が割かれました。八重や政子や実衣や「りく」や亀やの話は全体的に喜劇調で、女性陣のやり取りは陰惨な物語を中和する効果もあるのでしょうが、八重の扱いが大きいことを考えると、それだけではないように思います。すでに何度か述べましたが、本作後半の重要人物らしい北条泰時の母が八重なのでしょう。八重は頼朝と再会し、頼朝は八重と密会を試みましたから、頼朝はまだ八重へ想っており、そのために泰時を重用したのでしょうか。あるいは、頼朝は八重との間に今後も関係を持ち、泰時を自分の子と考えて重用したのかもしれません。

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