エピジェネティック変化に基づくハダカデバネズミの加齢測定
エピジェネティック変化に基づくハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)の加齢測定に関する研究(Horvath et al., 2022)が公表されました。ハダカデバネズミは、同じ身体サイズの齧歯類の中できわめて長寿で、37年が最長寿命の記録になっており、加齢に関連した疾患にかかりにくい。これまでの研究では、ハダカデバネズミの加齢が、エピジェネティック変化(DNA自体の変化を伴わない遺伝子発現の変化)に関連している、と指摘されてきました。しかし、こうした修飾による加齢を示堅牢なエピジェネティック「時計」は提示されていませんでした。
この研究は、ハダカデバネズミ(0~26年齢)から採取した組織(11種類)の試料(約400点)を分析し、エピジェネティック変化の1つであるメチル化(自然に起こるDNAの化学修飾)を測定しました。ヒトやその他の生物種において、DNAメチル化レベルと年齢が関連していることから、この研究は、ハダカデバネズミに特異的なDNAメチル化の「時計」を上記の組織について作成し、メチル化レベルによって推定される年齢(メチル化年齢)が実年齢とひじょうによく相関することを明らかにしました。この研究は、雌の非繁殖個体のメチル化年齢と長寿の優位雌の繁殖個体(女王)のメチル化年齢を比較し、女王のメチル化年齢の加齢が非繁殖個体より遅い、という観察結果を得ました。
ハダカデバネズミの観察可能な特徴からは、ハダカデバネズミが「加齢しない」哺乳類であることが示唆されていますが、他の哺乳類と同様にエピジェネティックに加齢している、とこの研究は結論づけています。また、この研究は、エピジェネティック時計を利用すると、野生のハダカデバネズミの年齢を推定できる可能性があり、加齢や寿命や疾患抑制のためのモデル生物としてのハダカデバネズミの可能性を調べる研究にも役立つ可能性がある、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
加齢:ハダカデバネズミの加齢を測定する
ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は、極めて長寿の齧歯類動物で、加齢しないように見える。しかし、分子レベルの加齢は確実に起こっており、それをエピジェネティック変化によって測定できることを報告する論文が、Nature Aging に掲載される。
ハダカデバネズミは、同じ体サイズの齧歯類動物の中で極めて長寿で、37年が最長寿命の記録になっており、加齢に関連した疾患にかかりにくい。これまでの研究では、ハダカデバネズミの加齢が、エピジェネティック変化(DNA自体の変化を伴わない遺伝子発現の変化)に関連しているとされてきた。しかし、こうした修飾による加齢を示すロバストなエピジェネティック「時計」は提示されていなかった。
今回、Steve Horvathたちの研究グループは、ハダカデバネズミ(0~26年齢)から採取した組織(11種類)の試料(約400点)を分析し、エピジェネティック変化の1つであるメチル化(自然に起こるDNAの化学修飾)を測定した。ヒトやその他の生物種において、DNAメチル化レベルと年齢が関連していることから、Horvathたちは、ハダカデバネズミに特異的なDNAメチル化の「時計」を上記の組織について作成し、メチル化レベルによって推定される年齢(メチル化年齢)が実年齢と非常によく相関することを明らかにした。Horvathたちは、雌の非繁殖個体のメチル化年齢と長寿の優位雌の繁殖個体(女王)のメチル化年齢を比較し、女王のメチル化年齢の加齢が非繁殖個体より遅いという観察結果を得た。
ハダカデバネズミの観察可能な特徴からは、ハダカデバネズミが「加齢しない」哺乳類であることが示唆されているが、他の哺乳類と同様にエピジェネティックに加齢しているとHorvathたちは結論付けている。また、Horvathたちは、エピジェネティック時計を利用すると、野生のハダカデバネズミの年齢を推定できる可能性があり、加齢、寿命、疾患抑制のためのモデル生物としてのハダカデバネズミの可能性を調べる研究にも役立つ可能性があると述べている。
参考文献:
Horvath S. et al.(2022): DNA methylation clocks tick in naked mole rats but queens age more slowly than nonbreeders. Nature Aging, 2, 1, 46–59.
https://doi.org/10.1038/s43587-021-00152-1
この研究は、ハダカデバネズミ(0~26年齢)から採取した組織(11種類)の試料(約400点)を分析し、エピジェネティック変化の1つであるメチル化(自然に起こるDNAの化学修飾)を測定しました。ヒトやその他の生物種において、DNAメチル化レベルと年齢が関連していることから、この研究は、ハダカデバネズミに特異的なDNAメチル化の「時計」を上記の組織について作成し、メチル化レベルによって推定される年齢(メチル化年齢)が実年齢とひじょうによく相関することを明らかにしました。この研究は、雌の非繁殖個体のメチル化年齢と長寿の優位雌の繁殖個体(女王)のメチル化年齢を比較し、女王のメチル化年齢の加齢が非繁殖個体より遅い、という観察結果を得ました。
ハダカデバネズミの観察可能な特徴からは、ハダカデバネズミが「加齢しない」哺乳類であることが示唆されていますが、他の哺乳類と同様にエピジェネティックに加齢している、とこの研究は結論づけています。また、この研究は、エピジェネティック時計を利用すると、野生のハダカデバネズミの年齢を推定できる可能性があり、加齢や寿命や疾患抑制のためのモデル生物としてのハダカデバネズミの可能性を調べる研究にも役立つ可能性がある、と指摘しています。以下は『ネイチャー』の日本語サイトからの引用です。
加齢:ハダカデバネズミの加齢を測定する
ハダカデバネズミ(Heterocephalus glaber)は、極めて長寿の齧歯類動物で、加齢しないように見える。しかし、分子レベルの加齢は確実に起こっており、それをエピジェネティック変化によって測定できることを報告する論文が、Nature Aging に掲載される。
ハダカデバネズミは、同じ体サイズの齧歯類動物の中で極めて長寿で、37年が最長寿命の記録になっており、加齢に関連した疾患にかかりにくい。これまでの研究では、ハダカデバネズミの加齢が、エピジェネティック変化(DNA自体の変化を伴わない遺伝子発現の変化)に関連しているとされてきた。しかし、こうした修飾による加齢を示すロバストなエピジェネティック「時計」は提示されていなかった。
今回、Steve Horvathたちの研究グループは、ハダカデバネズミ(0~26年齢)から採取した組織(11種類)の試料(約400点)を分析し、エピジェネティック変化の1つであるメチル化(自然に起こるDNAの化学修飾)を測定した。ヒトやその他の生物種において、DNAメチル化レベルと年齢が関連していることから、Horvathたちは、ハダカデバネズミに特異的なDNAメチル化の「時計」を上記の組織について作成し、メチル化レベルによって推定される年齢(メチル化年齢)が実年齢と非常によく相関することを明らかにした。Horvathたちは、雌の非繁殖個体のメチル化年齢と長寿の優位雌の繁殖個体(女王)のメチル化年齢を比較し、女王のメチル化年齢の加齢が非繁殖個体より遅いという観察結果を得た。
ハダカデバネズミの観察可能な特徴からは、ハダカデバネズミが「加齢しない」哺乳類であることが示唆されているが、他の哺乳類と同様にエピジェネティックに加齢しているとHorvathたちは結論付けている。また、Horvathたちは、エピジェネティック時計を利用すると、野生のハダカデバネズミの年齢を推定できる可能性があり、加齢、寿命、疾患抑制のためのモデル生物としてのハダカデバネズミの可能性を調べる研究にも役立つ可能性があると述べている。
参考文献:
Horvath S. et al.(2022): DNA methylation clocks tick in naked mole rats but queens age more slowly than nonbreeders. Nature Aging, 2, 1, 46–59.
https://doi.org/10.1038/s43587-021-00152-1
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