『卑弥呼』第77話「天照の神託」
『ビッグコミックオリジナル』2022年1月5日号掲載分の感想です。前回は、暈(クマ)の国の5人のタケル王が、田油津日女(タブラツヒメ)に日見子(ヒミコ)となるよう要請するところで終了しました。今回は、山社(ヤマト)の国の千穂(現在の高千穂でしょうか)で、出産のさいに死んだ妻を夫たちが悼んでいる場面から始まります。暈(クマ)の国の飽田里(アキタノサト)では、暈の5人のタケル王が集まり、日見子(ヒミコ)にしてやると言ったのに、田油津日女(タブラツヒメ)が即答しないことに不満を言い合っていましたが、これほど。の大役なので躊躇するのも当然だ、との意見も出ます。田油津日女は5人のタケル王の要請を一度断り、それでも5人のタケル王から強引に要請されたため、天照大神次第と返答しました。5人のタケル王は田油津日女を監視して返答を待ちます。竪穴住居に籠っていた田油津日女が出てきて、配下の男性に何かを告げます。
一方、暈国の鞠智(ククチ)の里(現在の熊本県菊池市でしょうか)では、鞠智彦(ククチヒコ)が配下の志能備(シノビ)から、5人のタケル王が田油津日女を日見子として擁立し、鞠智彦に対抗しようと考えている、と報告します。5人のタケル王は自分が考えているほど阿呆ではなかった、と呟く鞠智彦に、志能備の頭領は危険な田油津日女を早く始末するよう、進言します。田油津日女が5人のタケル王の要請を受けて天照大神の神託を俟っている、と報告を受けた鞠智彦は、たとえ5人のタケル王が田油津日女を日見子に擁立しようとも、民がそれを認めることはよういではない、と答えます。暈の民は田油津日女を慕っている、と言う配下のウガヤに対して、厲鬼(レイキ)、つまり疫病に家族を殺されて心が塞いだ民を、田油津日女が勇気づけたことは認めるが、田油津日女の言う通りに1年後に厲鬼が消えるのかまだ不明で、やすやすと日見子になることは不可能だから、徒に騒がず様子を見よう、と鞠智彦は答えます。すると志能備たちは、そもそも田油津日女がどうも気に入らないと言いますが、鞠智彦は意味ありげな表情を浮かべます。
千穂では、ヌカデがヤノハに食事を用意していました。妊娠中のヤノハの腹はすでにかなり大きくなっており、ヌカデは、里で赤子の取り上げ方はしっかり学んだので、安心して自分に任せろ、と言います。するとヤノハは、その赤子の母は昨日死んだと聞いている、と言います。筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)では子を産んだ母親の5人に1人は死ぬ、と言うヤノハを、弱気なことを言うな、大丈夫だ、とヌカデは励まします。するとヤノハはヌカデに、自分に万一のことがあれば子を育ててくれないか、と依頼します。
暈国では、籠っていた竪穴住居から出てきた田油津日女が、5人のタケル王を連れて道を進んでいましたが、どこに行くのか分からず、それどころか鞠智の里に近づいていることから、カワカミ家のタケル王は鞠智彦の兵に襲われるのではないか、と案じます。するとサジキ家のタケル王は、いかに田油津日女が豪胆とはいえ、鞠智彦に会うつもりはないだろう、と楽観的に言います。到着した場所はトンカラリンで、田油津日女の配下の男性は、ここで三日三晩待つよう、5人のタケル王に要請します。田油津日女が受けた天照大神の神託とは、トンカラリンに入って3日の間に田油津日女が生還できたなら日見子になる、というものでした。つまりはトンカラリンの儀式を行なうわけです。田油津日女がトンカラリンの洞窟に入っていくところで、今回は終了です。
今回もヤノハはほとんど登場せず、田油津日女をめぐる暈の有力者の思惑が中心に描かれました。ヤノハは自分に万一のことがあれば子を育ててくれ、と依頼しますが、無事に出産しても日見子としての立場上、自身が子供を育てることは難しいでしょうから、誰かに預けることになります。ヤノハは事情を知る出雲の事代主(コトシロヌシ)に子供を託すのかな、と予想していましたが、ヌカデが出雲までヤノハの子供を連れていくのでしょうか。ヤノハは主人公ですから、さすがに出産で死ぬことはないでしょう。この子供も、今後重要な役割を担うことになりそうで、その動向が注目されます。
田油津日女の正体については、重要な手がかりが得られたように思います。トンカラリンの儀式に挑むことや、鞠智彦の配下の志能備たちの反応や、ヤノハの指示を受けていると考えられることから、田油津日女がアカメである可能性は高そうです。田油津日女の正体がアカメだとすると、アカメはすでにトンカラリンの洞窟の内部構造を知っていますから、脱出は難しくないでしょう。鞠智彦の配下の志能備たちが田油津日女を気に入らないのも、かつて自分たちを裏切ったアカメだと気づきかけているからだと考えられます。鞠智彦の意味ありげな表情も、すでに田油津日女の正体をある程度以上知っているからだと思います。ただ、田油津日女の正体がアカメだとすると、これまでの行動はヤノハの指示に従ったものでしょうが、日見子としてのヤノハの権威を脅かすような行動をなぜヤノハが命じたのかは、よく分かりません。あるいは、アカメが日見子と認められれば、自分は弟のチカラオ(ナツハ)とともにどこかに姿を消すつもりなのでしょうか。ヤノハと鞠智彦の思惑が読みにくく、今後どのように話が展開されるのか、楽しみです。
一方、暈国の鞠智(ククチ)の里(現在の熊本県菊池市でしょうか)では、鞠智彦(ククチヒコ)が配下の志能備(シノビ)から、5人のタケル王が田油津日女を日見子として擁立し、鞠智彦に対抗しようと考えている、と報告します。5人のタケル王は自分が考えているほど阿呆ではなかった、と呟く鞠智彦に、志能備の頭領は危険な田油津日女を早く始末するよう、進言します。田油津日女が5人のタケル王の要請を受けて天照大神の神託を俟っている、と報告を受けた鞠智彦は、たとえ5人のタケル王が田油津日女を日見子に擁立しようとも、民がそれを認めることはよういではない、と答えます。暈の民は田油津日女を慕っている、と言う配下のウガヤに対して、厲鬼(レイキ)、つまり疫病に家族を殺されて心が塞いだ民を、田油津日女が勇気づけたことは認めるが、田油津日女の言う通りに1年後に厲鬼が消えるのかまだ不明で、やすやすと日見子になることは不可能だから、徒に騒がず様子を見よう、と鞠智彦は答えます。すると志能備たちは、そもそも田油津日女がどうも気に入らないと言いますが、鞠智彦は意味ありげな表情を浮かべます。
千穂では、ヌカデがヤノハに食事を用意していました。妊娠中のヤノハの腹はすでにかなり大きくなっており、ヌカデは、里で赤子の取り上げ方はしっかり学んだので、安心して自分に任せろ、と言います。するとヤノハは、その赤子の母は昨日死んだと聞いている、と言います。筑紫島(ツクシノシマ、九州を指すと思われます)では子を産んだ母親の5人に1人は死ぬ、と言うヤノハを、弱気なことを言うな、大丈夫だ、とヌカデは励まします。するとヤノハはヌカデに、自分に万一のことがあれば子を育ててくれないか、と依頼します。
暈国では、籠っていた竪穴住居から出てきた田油津日女が、5人のタケル王を連れて道を進んでいましたが、どこに行くのか分からず、それどころか鞠智の里に近づいていることから、カワカミ家のタケル王は鞠智彦の兵に襲われるのではないか、と案じます。するとサジキ家のタケル王は、いかに田油津日女が豪胆とはいえ、鞠智彦に会うつもりはないだろう、と楽観的に言います。到着した場所はトンカラリンで、田油津日女の配下の男性は、ここで三日三晩待つよう、5人のタケル王に要請します。田油津日女が受けた天照大神の神託とは、トンカラリンに入って3日の間に田油津日女が生還できたなら日見子になる、というものでした。つまりはトンカラリンの儀式を行なうわけです。田油津日女がトンカラリンの洞窟に入っていくところで、今回は終了です。
今回もヤノハはほとんど登場せず、田油津日女をめぐる暈の有力者の思惑が中心に描かれました。ヤノハは自分に万一のことがあれば子を育ててくれ、と依頼しますが、無事に出産しても日見子としての立場上、自身が子供を育てることは難しいでしょうから、誰かに預けることになります。ヤノハは事情を知る出雲の事代主(コトシロヌシ)に子供を託すのかな、と予想していましたが、ヌカデが出雲までヤノハの子供を連れていくのでしょうか。ヤノハは主人公ですから、さすがに出産で死ぬことはないでしょう。この子供も、今後重要な役割を担うことになりそうで、その動向が注目されます。
田油津日女の正体については、重要な手がかりが得られたように思います。トンカラリンの儀式に挑むことや、鞠智彦の配下の志能備たちの反応や、ヤノハの指示を受けていると考えられることから、田油津日女がアカメである可能性は高そうです。田油津日女の正体がアカメだとすると、アカメはすでにトンカラリンの洞窟の内部構造を知っていますから、脱出は難しくないでしょう。鞠智彦の配下の志能備たちが田油津日女を気に入らないのも、かつて自分たちを裏切ったアカメだと気づきかけているからだと考えられます。鞠智彦の意味ありげな表情も、すでに田油津日女の正体をある程度以上知っているからだと思います。ただ、田油津日女の正体がアカメだとすると、これまでの行動はヤノハの指示に従ったものでしょうが、日見子としてのヤノハの権威を脅かすような行動をなぜヤノハが命じたのかは、よく分かりません。あるいは、アカメが日見子と認められれば、自分は弟のチカラオ(ナツハ)とともにどこかに姿を消すつもりなのでしょうか。ヤノハと鞠智彦の思惑が読みにくく、今後どのように話が展開されるのか、楽しみです。
この記事へのコメント
「ご苦労だったな」
と鞠智彦がアカメを慰労する!?
頭はアカメが卑弥呼の密使であることを最初から知っていて、他のメンバーは最近聞いたって感じかと。
個人的にはアカメと頭&他のメンバーの絡みがみたいです。