大河ドラマ『青天を衝け』第35回「栄一、もてなす」
アメリカ合衆国前大統領のグラントが日本を訪れ、栄一は民間を代表してグラントをもてなすことになります。今回は、近代化の様相が外交の面から描かれました。女性たちのやり取りにも結構な時間が割かれ、昔からの声が大きい大河ドラマ愛好者の中には、こうした描写を毛嫌いし、大河ドラマに相応しくない、と考えている人も少なくないかもしれませんが、女性も公的な場に出るようになり、江戸時代までの習慣や考えを変えていく、という近代化の側面を女性視点で描くという意味で、少なくとも悪い試みではなかった、と思います。
栄一たち男性同士のやり取りも描かれ、当時の日本人の近代化への焦慮がドラマの範囲でよく示されていたように思います。ただ、栄一たち民も岩倉具視たち官の側も、前大統領のグラントに過大な期待をかけていることがグラントから示唆され、日本側の上滑りも描かれていました。伊藤博文がそれを冷ややかに察していたのは、伊藤が当時の政治家でも頭一つ抜けた存在であることを示した描写でしょうか。いわゆる鹿鳴館外交も、近代化を急速に進める日本側の上滑りといった文脈でも描かれるのかもしれません。派手な動きがないとも言える回でしたが、見どころは少なくなかったように思います。
栄一たち男性同士のやり取りも描かれ、当時の日本人の近代化への焦慮がドラマの範囲でよく示されていたように思います。ただ、栄一たち民も岩倉具視たち官の側も、前大統領のグラントに過大な期待をかけていることがグラントから示唆され、日本側の上滑りも描かれていました。伊藤博文がそれを冷ややかに察していたのは、伊藤が当時の政治家でも頭一つ抜けた存在であることを示した描写でしょうか。いわゆる鹿鳴館外交も、近代化を急速に進める日本側の上滑りといった文脈でも描かれるのかもしれません。派手な動きがないとも言える回でしたが、見どころは少なくなかったように思います。
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