大河ドラマ『青天を衝け』第8回「栄一の祝言」

 今回は、農村部の話では渋沢栄一と千代の結婚をめぐる喜作も交えた三角関係と、その決着としての栄一と千代との結婚、および喜作と「よし」との出会いが、「中央政界」の話では安政の大獄が描かれました。栄一と喜作との関係は後腐れのないもので、一層結びつきが強くなったようです。農村部の話は青春群像劇といった感があり、青春群像劇と激動期は一般的に相性がよいと言えそうですから、幕末の激動期を迎えての栄一とその周辺の人物の描写も楽しみです。

 「中央政界」の話は、井伊直弼の大老就任から一気に動き出し、これまでよりも長めでした。本作の井伊直弼は、自信がなく頼りなさを自他ともに認めており、これまでの大河ドラマで多かったように思われる、大物感溢れる人物像とはかなり異なります。井伊直弼の伝記を読んだことはなく、その人物像についてもよく知らないので、本作の描写がどこまで妥当なのか判断できませんが、将軍の徳川家定から重用され、その恩に報いようとして張り切りながらも、自信を持てないので疑心暗鬼に陥り、家定の命令にしたがって強硬路線に走る、という描写はよかったと思います。徳川慶喜の篤い尊王心が描かれたことも、王政復古後の慶喜の行動を描くうえで重要ですから、しっかりと構想されていることが予感され、今後が楽しみです。

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